玉砕の美学 16
2024年4月3週
日曜日、珍しく開催日が誕生日だったので、この日は全レース好き放題に馬券を買おうか?と計画したのである。そのための資金を残しておいたので、土曜のパット残高は心もとなかったが、理想を言えば、土曜に増えたお金で好き放題やりたかったのである。
まぁ、そんな上手いことはいかないんですね。福島の9Rが終わった段階で破産してしまった。いや、この福島の9Rは惜しかったのだ。詳しくは書かないが、馬連が何とかなりそうな大勢から、駄目になって、そこから三連複で巻き返せそうな雰囲気からの何にもないやつだったのだ。うむ、よくある外れではある。
そんなわけで、久しぶりに近くのコンビニまで入金しに出掛けた。最近は血眼になって馬券を買っているわけではないから、記憶にないぐらいの間隔はあるはずだ。最も都合の悪いことを忘れているだけかも知れないので、それほど前ではない可能性もある。もう記憶が遠いのだ。
自転車でぬるぬる進んでいると、桜はもう散ってしまっていたが、芽吹き始めた青葉が眩しかった。犬を連れて散歩している老人の穏やかな相貌に、車の少ない通りなので、走り回る子どもの声も聞こえてくる。何とも平和な午後である。何故、私は毎週引き籠って馬券を買っているのか?そんな疑問が沸々と湧いてきた。
コンビニに到着して、入金を済ませ、既に発売が開始されていた日曜の新聞を買って店を出た後、このままフラフラと何処かへ出掛けてしまおうか?どうせこの後も馬券は当たらないのだから、何度か真面目にそう考えたのだが、気が付くと、真っすぐ帰宅していた。実に愚かだ。
たま~に、この追加の入金が功を奏すこともあるのだが、基本的には何もなく終わるのである。気が付くと、日曜に好き放題やる資金すらなくなっていた。何だかなぁ~と思って、この日は早々にふて寝してしまった。
丸腰でアフガン状態で迎えた日曜日、早々に燃え尽きそうな流れだったが、例のガチガチのワイドで息を繋ぎ、東京10Rの鎌倉特別で、コパノニコルソンが競り勝ってくれたので、何とか最後まで馬券を買うことはできた。
犬でも、こどもでもなく、画面の中の馬に振り回されて、また日曜の午後が終わるのである。別に悪くはないが、正しくもない気がする。でも、なぁ、コパノニコルソンとロードフォンスの馬連は一本で取れた気がするのだ。それさえ達成できていれば、素敵な日曜のはずなのだ。あぁ、何とかなったのではないか、自問自答は続くのである。