玉砕の美学 42

2,024年10月3週

菊花賞は足の遅い馬を買う。私、これを毎年実行して、近年はさっぱりな成績ではあるが、今年も実行した。ちゃんと根拠はある。菊花賞はクラシックの最終戦で、距離適性を度外視した馬が多く出てくるので、乱ペースの消耗戦になる。

足の遅い馬はこの乱ペースに動じない。というより、足が遅くて、序盤の争いに参加できないのである。そんな前進気勢に欠ける性格なので、長距離戦でも引っ掛かることがない。後方をじっくり走って、みながフラフラになる辺りから進出して、最後まで走り抜ける。それが菊花賞で足の遅い馬を買う理由である。

去年はそれがマイネルラウレアで、もう年明けから足の遅さにワクワクしていたが、それなりの競馬で終わってしまった。今年はそんな早い時期から決めていたわけではないが、神戸新聞杯を経て、ビザンチンドリームは足が遅いと確信した。

それに、今年はかなり危うい気性の馬が多くて、これは乱ペースなると想定できた。菊花賞の1コーナーで、1~5番手にいそうな馬が、来年の天皇賞・春に出ているか?それが1つの基準だ。今年は1頭も出ないはずだ。今年はこの位置をマイラー、下手したら最終的にはスプリンターになりそうな馬が走っているに違いない。

1つ気になったのはメイショウタバルの動きで、この馬がハナを主張して強気の競馬をしたら、乱ペースにはならない可能性がある。最内のピースワンデュックが我慢できずに絡む想定だが、それが出来ない場合は、足の遅い馬は何処にもいないかも知れない。

厩舎の談話から、ふわっと乗りそうな雰囲気なので、消して問題無さそうだが、延々と悩んで、最後まで切れなかった。結局、◎はビザンチンドリーム、〇がアーバンシックで、いつもなら7頭に絞る印が、8頭になってしまった。

いやぁ~、レース自体は面白かった。何度も先頭が交代する乱ペースで、ここまで想定通りだと外す方が難しい。厚めに買っていたアドマイヤテラが早々に前を掃除して、それをアーバンシックが追い掛ける。それらを全てビザンチンドリームが飲み込んで終わりだ。

3角ではできた!と思ったが、肝心のビザンチンドリームが上がって来ないどころか、前が詰まって躓いて後退するのである。あぁ、間に合わない。何しろ足が遅いのだ。動くべき場所で止まったら、もうどうしようもない。

結局、ビザンチンドリームは僅差の5着で終わってしまった。あぁ、足の遅い馬を買うというのはこういうことでもあるのだなと、頭では分かっているのだが、もう少し何とかならなかったのか?と項垂れるのである。

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