楽天証券との連携を達成したプロジェクトマネージャーが考える、必要なスキル5選
【近況報告】私が事業開発を担当するファンズ株式会社では、2022年9月に楽天証券との販売連携をスタートしました。800万超の証券総合口座を有する楽天証券のユーザー様に、これからファンズが提供する運用商品をお届けできるようになります。
(詳細に入る前に、そもそもファンズの事業を簡潔にお伝えすると…)
ファンズは固定利回り投資の資産運用サービス『Funds』を提供しています。主に上場企業を中心とした企業の信用リスクに投資をして固定利回りを得られるサービスで、ざっくりまとめると「個人向け社債っぽいものがオンラインで買える」というものです(厳密には社債とは異なります)。
今回の楽天証券×Fundsの提携において、幸運にもプロジェクトマネージャー(以下、PM)を担当させてもらうことができました。リリースしてからが新たな始まりではありつつも、一つの節目を迎えたということで「PMとしてプロジェクトを成功させるにはどうしたら良いか」について考えてきたことを備忘録を含めて本noteにまとめておきたいと思います。
そもそもPMの位置づけとは?
シンプルにまとめると、PMの役割は上図のように社内の各部門と伴走しながらプロジェクト進行のまとめ役を担うポジションです。また、今回の楽天証券×Fundsの事例でもそうですが、社内で完結しないプロジェクトの場合、Fundsとして社内の各部門をとりまとめる他、提携パートナーである楽天証券のPMとも密に連携を取ることで案件を遂行するという役割もあります。そのため、社内・社外問わず生じる膨大な調整事項を正確に、期限通り、着実にこなしていくということが必要になります。
良いプロジェクトマネジメントとは?
最初に結論をまとめると、私は次のように言えると考えています。
プロジェクトの進行を任せてもらえるとなると、気合が入る反面、誰でも緊張やプレッシャーを感じると思います。そんな私もPMとしての完成度はまだ完璧には程遠いのですが、これまで下記のようにいくつかのプロジェクトをPMとして成功裏にローンチすることができた過程で得られた気づきもあります。
① 国内初、地銀にお金を貸せるファンド(2021年6月)
このプロジェクトで実現したことは下記のポイント。
Fundsのユーザーは、
1. 福岡銀行の信用リスクで1%の利回りがもらえる
2. 福岡銀行の取引先が運営する素敵なホテルの宿泊優待券がもらえる
福岡銀行の取引先は、Fundsユーザーに自社のPRができる
福岡銀行は、取引先のPRの機会提供ができる
融資型クラウドファンディングの中で国内の銀行が借り手となるのは初。ということで、このプロジェクトでは法的な整理を丁寧に進めながら実現しました。※福岡銀行への貸付は個人投資家に代わってファンズレンディング社が行っています。
② 国内初、メガバンクにお金を貸せるファンド(2021年12月)
Fundsのユーザーは、三菱UFJ銀行の信用リスクで1%の利回りがもらえる
三菱UFJ銀行は、
Fundsのユーザーに自社の資産運用プラットフォーム「Money Canvas」をPRできる
本ファンドを「Money Canvas」でもFundsと共同で販売する
銀行に間接的にお金を貸して利回りがもらえるという点では、福岡銀行のファンドと同様です。まさかメガバンクが融資型CFで借り手になるとは…という点もそうですが、今回より一層踏み込んでいるのは、Fundsだけでなく三菱UFJ銀行もファンドの販売主体となっている点です。つまり、「銀行が融資型CFを販売」という世界観をこのプロジェクトで実現できました。※三菱UFJ銀行への貸付は個人投資家に代わってファンズレンディング社が行っています。
③ 楽天証券がFundsの商品の募集取扱いを開始(2022年9月)
そして今回、楽天証券がFundsの提供するファンドを同社HP上でも掲載し、募集の取扱いを実施する座組がローンチとなりました。ポイントは下記2点。
楽天証券との販売連携により800万超の同社ユーザーにFundsの商品をお届けできるようになる
楽天証券HP上では「債券」のカテゴリでFundsの運用商品を掲載
これでFundsは国内最大級の銀行である三菱UFJ銀行に加え、国内最大級のネット証券である楽天証券とも販売におけるタイアップをスタートできたことになります。
①~③のプロジェクトにおいて一介のFintechスタートアップの提案を快く引き受けてくださった福岡銀行様、三菱UFJ銀行様、楽天証券様に感謝…!!
以下では、これらのプロジェクト推進の過程で得たPMとしての気づきを簡潔にまとめます。ここでは社外のビジネスパートナーとプロジェクトを進めることを想定していますが、もちろん社内onlyのプロジェクトでも当てはまるものが多いと思います。
PMとして必要なスキル5選
①プロジェクトメンバーに感謝を伝える
「え、それってスキルなの?!」と意外に思う人もいるかもしれませんが、これはシンプルにして最も重要なことだと感じています。多忙を極めてくると感謝を伝える心の余裕がなくなってくる…という経験は多くの人にも当てはまるのではないでしょうか。
そもそもプロジェクトは複数の関係者が1つのことを成し遂げようとするものであり、当然ながらPM1人の力では何も実現できません。
自ずと社内・社外問わずに自分ができない領域を担当してくれる人がいるはずです。PMは各領域の担当者にタスクを依頼することが他の人よりも多いポジション。例えば依頼したものが成果物として戻してもらえたとき、(完成度とか関係なく)まずはしっかりと感謝の念を伝えるようにすると、物事はうまく回り始めると思います。
※逆に自分の想定と違う完成度だからといって「これじゃあダメで~」と開口一番に言ってしまうのは、個人的には圧倒的に非推奨。
②定例MTGを主導する
毎週曜日や時間を固定するなど、定例でMTGを組みます。社外との定例、社内との定例どちらもセットするのが効果的です。いずれの定例MTGでも議事録の作成は必須です。議事録の作成が必要な理由はいくつかありますが、強引に1つだけ最重要なものを挙げると「ToDoを明確にするため」かと思います。そんな議事録作成ですが、重要なわりに面倒ですよね。おそらく社外MTGの際は先方も面倒に感じているはずです。だからこそ「社外のプロジェクトメンバーが気持ちよく自分の持ち場に集中できる環境」を作るべく、議事録作成は自社で行い、それを先方にも共有しましょう。
社外(先方)との定例MTGをセットする
議事録を作成する
議事録を先方にも送る
社内定例の場合も「社内のプロジェクトメンバーが気持ちよく自分の持ち場に集中できる環境」を作るようにします。会議の最後は「何かお困りごとはないですか?」と問いかけると、「実はここで困っていて…」のような話が出てきて、案外大事な議論に繋がることもあるので効果的です。
社内の定例MTGをセットする
使う議事録は基本的に社外用と同じ
社外との定例MTGで生じたToDoの対応方針、担当者や期限の整理
会議の最後は「何かお困りごとはないですか?」
また、会議は何かを決めるための場だと思いますが、自社(またはPMである自分)が案を提示するという姿勢も重要です。特に新しい領域を開拓するスタートアップの場合、正解がないものを作り上げようとしていることも多く、相手に「何がいいですか」と漠然と聞いても、聞かれた相手側が困ってしまうことになりかねません。
③期限設定
プロジェクトにはローンチのタイミングがあり、そこから逆算して何を・いつまでに完了させるか設計する必要があります。そこで、プロジェクトのガントチャートを作って各タスクとその期限をまとめましょう。
ざっくり書くと、ガントチャートを作成する際の注意点は下記3つです。
なるべく複数の作業を1つの項目としてまとめない
1つの項目に対する作業者は基本的に1人
どの作業領域をどの部署で誰が担当するか明確にする
④期限管理
基本的に③で作成したガントチャートを週次、あるいは特にローンチ1ヶ月前など期近になれば日次で管理します。この過程で、新たな制約条件が発生していないか把握することに努めます。③の期限設定の際に確認していたとしても、プロジェクトが進むと物事が具体化していき、「実はこのプロセスには追加的に承認が必要なので、1ヶ月ローンチを延期せざるを得ない」など予期せぬ事態を未然に防ぐために細部を詰めていきましょう。
例)相手方の承認プロセスは?
取締役会などの会議ベースか、紙の稟議ベースか
会議ベースなら次はいつか、誰が決裁するか
⑤受信確認
PMは社内外のメンバーに依頼事項を発信するケースが多いです。そこで回避すべきは、「依頼を送ったものの、相手がメールに気づいておらず or 失念していて、対応者不在のまま放置。結果、回収すべき期日に間に合わない」という事態です。そのため、「自分が相手に発信した依頼事項を、相手がしっかりと受信しているか」を確認するのが望ましいです。
例えば社内のコミュニケーションでslackなどのチャットツールを使用してメンバーに依頼をかけた場合、自分の投稿に通知機能をセットします。私は社内でslackを使っていて、余裕があるものは「来週」、翌日には回答をもらいたいものは「明日」といった具合で、自分が誰かに依頼した投稿にはリマインダーをセットするようにしています。
まとめ
ここまで意気揚々と書いてきましたが、そんな私もまだまだ未熟なところがあり、プロジェクトの途中で「あれ、このプロジェクトもう無理かも」と途方に暮れそうになることもあれば、不安で文字通り"眠れない夜"が続いたこともあります。そんなとき、プロジェクトメンバーの活躍によって解決への道が切り拓かれる、ということをよく経験してきました。自分一人ではどうにもできないことを成し遂げるからこそ、メンバーの協力を仰ぎプロジェクトを完遂する、その過程を楽しむのがPMの醍醐味なのかなと思います。
最後に
ファンズ株式会社では、「Fundsを国民的な資産運用サービスにする」という目標を掲げて事業を推進しています。Fintechスタートアップとして、金融のど真ん中で幅広く色々なことが学べます。周りに各分野の専門家が多いので気軽に相談できる環境があります。そして何より皆が新しいものを作ろうという気概にあふれた組織です。現在、ビジネスサイドやエンジニアなど幅広いポジションで絶賛採用中です。ご興味ある方、お待ちしています!
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