なぜモチベーションは続かないのか
「入社した頃はあれだけやる気があったのに…」
「最近どうも熱中するものが見当たらなくて…」
「なんだかいまひとつやる気が出ない…」
こんな言葉を耳にしていませんか?
もしかしたらあなた自身がそうなのかも…
今日は、モチベーション=動機づけについて考えてみようと思います。
そもそもモチベーションとはなんなのでしょう?
ダイナミック(=動的)な状態である以上、やる気は変化し続けるわけです。
ずっと一定で最初から最後まで変わらないということはなく、時間の経過とともに量的・質的変化を起こしています。日ごとどころか、秒単位で変わることすらありえます。
それ自体が悪いことではなく、むしろ変わることを前提にしておく方が健全です。
例えば夏休みの宿題だって、初日はやるぞ!と思うものの、3日目頃にはどうでもよくなり始め、気がつけば数週間過ぎていたでしょう。そしてお盆が終わる頃になって焦り始め、登校前日にピークを迎えます(体験談)。
ではなぜモチベーションが下がるのでしょう?
先ほどの記事では『仕事にやりがいを感じない』『達成感が低い仕事をしている』といった内発的動機づけに基づく要因と、『給与などの待遇に不満がある』といった外発的動機づけに基づく要因を挙げています。
確かにこの要因は大きく影響します。
特に内発的動機づけはやる“気”が削がれます。
「何のためにやっているのか?」
「何の役に立つのか?」
という問いが浮かんできたら、これは内発的動機づけが低下している証拠です。
また、がんばっても報われないことも外せない要素です。これがせめて給与や待遇で報われればよいのですが、それすらないとなると……やる気は上がるはずはありません。
わたしはここにもう一つの要因があると考えています。
それは『馴化』です。
どんなことでも一定の強度で続けていると、人は自然と慣れてしまいます。薬が効かなくなることも、筋トレの効果が薄れてくるのも、刺激に対する慣れ=馴化が起こっているからです。
これはモチベーションにもいえることで、最初は「初体験だから刺激的に感じる」ものですが、一定の刺激が同じように続いたら徐々に慣れてきて「いつも通り」に感じてしまうわけです。
当たり前のことが当たり前に起きて、それを当たり前にこなしていく……のではダイナミックさがありません。だから意図せずやる気が下がってしまうわけです。
ではどうしたらやる気が再び上がるのでしょう?
わたしはモチベーションアップに役立つ2つの可能性を考えています。
1つは「多様な達成感を意識すること」です。
目標をクリアしたというだけが達成感ではないでしょう。仲間とともにがんばった、一人でやり抜いて新たな可能性に気づいた、途中で投げ出さずに最後までやりきった、できないことを克服しできることが増えた……など、達成感にも色々な視点があることに気づきます。
それを紐解いて個々の項目に対する達成度や充足感に置き換えると、達成感という言葉の裏には彩り豊かな自分の可能性があることを感じられるはずです。
一度にすべてを満たすことは難しいため、今回はスピードを、今回は丁寧さを、といった具合にマイルストーン的に目標を細分化でき!それが次なるテーマになっていきます。となれば、毎回異なる=ダイナミックな状態を生み出し、ひいてはモチベーションの向上へとつながるのではないでしょうか?
もう1つは「馴化してからこそが本当のモチベーションと捉えること」です。
何でも最初は、「面白い!」「楽しい!」「難しい…」「どうしよう…」など刺激は大きいものです。その中で、よい刺激(ポジティブフィードバック)は内的動機づけにつながり、面白いから続ける、楽しいからやめられないという行動を起こします。ですが、いつも同じでは刺激に慣れる=馴化してしまうわけです。その結果、以前よりも面白くないから飽きてしまう…となるわけです。
でも、馴化してからも面白さを感じ、楽しく続けられることは、少なくないはず。これがなくなったら自分の楽しみが減ってしまう、できることなら止めたくない、ずっと続けていたいと思えることです。これは惰性ではなく習慣です。
わたしでいえば、このnoteを続けることやキャリコン活動のピアトレーニングを継続していることなどが、これに当たります。
もちろん、初体験のワクワク感という刺激は減りました。ですが、常に前よりもよいものにしていこう、新たな楽しみを見つけようという意識で続けているうちに、その日ごとのわずかな心の変化に気づくことができ、それが新たな刺激となってモチベーションへとつながっていきました。
習慣化することがモチベーション低下にはもっとも役立つと、自身の経験から感じています。
こう考えると、モチベーションが続かない要因は内的動機づけの低下に大きなウェイトが置かれているようです。ですが外的動機づけの低下も内的動機づけを低下させる遠因となります。
こんな流れが見えてきます。
もし給与や待遇などの外的動機づけでモチベーションを挙げるなら、2段階までです。
それ以降の3~4段階になってからは、給与や待遇などの外的動機づけで対処しようとすると、かえって「会社は従業員の気持ちがわかっていない!」と反感を生むことにつながります。これを【アンダーマイニング効果】といいます。
ここまで来たら欲しいのは、労いや感謝・承認などの内的動機づけを低下させないための対処です。これを【エンハンシング効果】といいます。
モチベーションは自分自身でコントロールできる要素も多分にありますが、一方で外部からの影響も受けやすいものです。
「個人と環境の相互作用」とはキャリアカウンセリングの定義の一文ですが、まさにモチベーションは個人(=内的)と環境(=外的)の相互作用の産物です。だからこそ、働きやすい環境を整えることが会社の役割であり、人的資源管理≒タレントマネジメントが必要なのです。
ということで、今回はモチベーションが続かないことからわたしの考えを言語化してみました。
個人・組織・社会それぞれの視点で捉えるとまた違ってくるものもありますので、それはまた別の機会に考えてみようと思います。
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