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「どんな意図をもって問いかけましたか?」 質問と基本的傾聴の連鎖~マイクロカウンセリングに学ぶ~

キャリアカウンセリングの技術の一つに「質問・問いかけ」があります。

問題と解答がセットになっていて、答えに対して正解不正解を判断するような質問ではありません。
自分を見つめて深く内省し、「あの時なぜわたしはそう考えたのか」「その行動にどんな意味があったのか」「どんな感情が湧いてきて、それよってどんな反応を示したのか」といった、自分の心の動きを具に捉えるためのきっかけとなるものが「質問・問いかけ」の本質だと考えています。

この質問については、「しつもんマーケティング」の著者マツダミヒロさんが「魔法の質問」として心に響く質問を日々提示していらっしゃいます。

わたしはマツダさんの「しつもん」は、わたしの考える質問・問いかけの本質を表す非常にわかりやすくてなじみ深いものだと感じています。


例えば、5W1Hに沿った質問を考えてみます。
5W1Hに沿うとは「それはいつのことですか」「どこでのできごとですか」など、状況や事実を確かめるために使う質問です。

このときオープンクエスチョン(開かれた質問)を使えば、相手は自由に答えてくれるため、より多くの情報を得るためにはよい方法です。
一方で、答えにくいことだったり、相手の考えがまとまっていないときには別の質問を使います。「それは昨日のできごとですか」「職場でのできごとでしょうか」など、はい/いいえで答えられるクローズドクエスチョン(閉ざされた質問)を使います。相手はどちらかを選べば答えられるので、比較的解答しやすい質問とされています。


ところで先ほど5W1Hは「状況や事実を確かめるため」と言いましたが、これは誰にとって必要な質問なのでしょうか?

キャリアカウンセリングの初期段階では、お互いに共有できている情報が少ないため、まずは相談者の情報収集を行う場合があります。その際に「状況や事実を確かめるため」の質問するとしたら、それは「キャリアカウンセラーが知りたいから」といえます。

一方で、そこで起きたできごとを相談者がどう捉えていて、何を問題とみていて、そこからどのような感情を抱き、どんな行動をし、それがどのような結果を生み、それに対して何を思いどう考えているのかを整理ために質問するのであれば、それは「相談者自身のものの見方・捉え方に、自ら気づくため」に状況や事実を語り直してもらうのだといえます。

誰にとって必要な質問なのか、それはどういう意図をもって問いかけているのかを、キャリアカウンセラーははっきりと説明できなければなりません。それはキャリアカウンセラーの専門性であり、高度なスキルの証ともいえます。なんとなく場を盛り上げるために質問するのとはまったく違うということです。


まもなく行われる国家資格キャリアコンサルタント試験に向けて勉強している方にはぜひ考えておいてもらいたいポイントです。「それはどんな意図をもって問いかけましたか?」と聞かれたときに、「○○です」と言えるようにすることをおススメします。

もちろん質問以前に、信頼関係を築く基本的なかかわり行動は身につけておきたいですし、相手をよく観察することやはげまし・いいかえ・要約といった傾聴の基本も押さえておきたいところです。

これらをわかりやすくまとめたものが『マイクロカウンセリング』の【マイクロ技法】です。

マイクロ技法階層図 日本マイクロカウンセリング学会


開かれた/閉ざされた質問は、基本的傾聴の連鎖の一番下にあります。その上にクライエント観察技法があるということは、「質問によって相談者がどのような反応を示しているかをよく見なさい」という意味なのではないでしょうか?

さらに、はげまし・いいかえ・要約といったキャリアカウンセラーの受け答えは、そのすぐ上ににある「相談者の感情が反映される場面だからよく注意して行いなさい」という意味に見えてきます。

つまりキャリアカウンセラーの一つひとつのかかわりは、すべて相談者の発するメッセージを全身全霊で受け取るためと言えるのではないでしょうか。


いまでも経験代謝ピアトレーニングなどの学びに参加すると、「それはどんな意図をもって問いかけたのですか」とよく聞かれます。明確に答えられるようなかかわりを目指して今もトレーニングに励んでいます。
国家資格キャリアコンサルタント、CDAという資格に出会わなければ、きっと身につけられなかったスキルです。日常のあらゆる場面でものの見方・捉え方が変わる素晴らしい資格だと感じています。

新たな仲間がまた増えることを期待し、応援しています!
がんばってくださいね!!




明日も佳き日でありますように





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