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いくら思っていても、どんなに考えていても、行動が伴わなければ人には伝わらない・・・
ビジネスマナー講座で、中高生に対していつも伝えていることです。
思いやりの心もって接することは大切だと感じていても、それをどうやって行動で示すか、そこの具体性がなければ相手には伝わらないんですよね。
コミュニケーションの授業でも同じことを言っています。
相手を慮る気持ちがあったとしても、相手が喜ぶような行動や対応をしなければ、それは意味をなさないと。
サービスや接客など「人を喜ばせる仕事」に就く学生が多いため、特に行動で示すことの大切さは常々言っています。
しかしながら、言うは易く行うは難し。
人を思う気持ちを持っていても、行動で示すということの難しさは感じているようです。
特にとっさの行動ができるかどうかは、普段から他者への思いやりを意識しているかどうかにかかっています。
先日も、トランプを使ったグループ分けをしたのですが、そのトランプを回収する際のことです。
あるグループは一人が代表して集めて、しかも数字順に並べて返してくれました。
一方別のグループは、一人ずつバラバラに返しに来ました。
どちらも「返す」という目的は果たしてくれています。
ですが、どちらがより相手に対する思いやりを意識しているかというと・・・やはり前者の行動だとわたしは思います。
「集めたトランプを並べ替えて数を数える、整頓する」という相手の行為が想像できていたかどうか、が行動の違いになって表れたのでしょう。
「相手を慮る」という行為には、想像する、予測する、配慮する、先読みするといった、頭を使って考えるというステップが必要です。
そして考えるためには、自分自身が経験することが何よりも役立ちます。自分がやってみて感じたことが、人にするときに役に立つということです。
「すみませーん」と声を出して手を挙げても気づいてもらえなかった。
だから周囲をよく見て自分から気づいて動けるような接客をしよう。いろんなお店で買い物をしたけど、たくさんの紙袋を持って帰るのが大変だった。
だからお客様に「一つにおまとめしましょうか」と言えるようになろう。印刷した資料を順番に並べてホチキスで止める作業が大変だった。
だからコピーを頼まれたら「揃えておきましょうか」と提案しよう。
このように、「もっとこうしてほしいな」と思えるような体験が、自分の行動のきっかけになるはずです。
「言うは易く行うは難し」の裏にあるのは、
・経験したからこそ、想像できる
・想像できるからこそ、行動で示せる
・経験なきことは行動で示すことは難しい
・でも言葉でなら伝えることはできる
といったことではないかと思います。
ただ、男性が出産を経験できないように、物理的に不可能なこともたくさんあります。
では経験できなければ想像できないのでしょうか?
決してそうではありません。
「言うは易く」というように、言葉にならできます。文章にならできます。
経験ができないのなら、経験した人に聞けばよいのです。
本人と同じように感じ、考え、思いを馳せることが、経験と同等の価値を持ちます。自分ごとに置き換えれば、想像することも可能です。
ちょうど昨日最終回を迎えたドラマ「silent」では、聴覚障害をテーマとした物語がありありと描かれていました。
すべては体験できなくても、ドラマを通じてどのような心模様なのかは知ることができます。
これを見て心が動かされた経験が、自分の想像力を増すことにつながるはずです。
この感覚、実はキャリアカウンセリングにとって大切な要素です。
単に自分の体験に置き換えるのではなく、想像力を働かせて「相手の世界観で物事を見る」という想像力の豊かさが、カウンセラーの技量として重要なものとなります。
まさに慮るということです。
でもこれがまた、「言うは易く行うは難し」なんですが・・・
わたしもまた日々精進です。
その一つとして、いろいろと体験してみること、そして当事者となって想像力を働かせてみることをしています。
経験値は経験知となります。
たくさん体験したら、その分だけ自分の引き出しが増えます。
だから些細なことにも心を働かせて、「わたしだったらこうしてほしい」という思いを形にすることを大切にしています。
今日はどんな体験をしたのか・・・
そして明日はどんな体験ができるのか・・・
いつも楽しみにしています。
明日も佳き日でありますように