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仕事選びのアートとサイエンス / 山口周

タイトル : #仕事選びのアートとサイエンス
筆者: #山口周
出版社 ‏ : ‎ #光文社
発売日 ‏ : ‎ 2019/3/13
本の長さ ‏ : ‎ 244ページ

その本を選んだ理由
山口周さんの著作物は基本的に読むようにしている、彼自身がコンサルティングで活躍していた経歴があるので問題提起とそのソリューションが得意なのだろう。
日本はなんで「空白の30年」になってしまったのか、なぜ日本は同じ失敗を繰り返すのかをなどをわかりやすい言葉で説明してくれるので腑に落ちるのである。

最も印象に残ったシーン・一押しポイント
 この本はいわゆる転職本なのだが、より正しく書くべきは天職本である。自分の本当の仕事を見つけるための本。しかしながら、それよりも日本の人事制度や終身雇用制、年控序列が日本の発展にストップをかけて、経済成長をとめてしまったことをわかりやすく書いてくれているのが嬉しい。
そもそも終身雇用と年功序列は昔から日本にあったものではなく太平洋戦争中にできたものらしい。つまり、戦時中に生み出されたものである。終身雇用制の採用理由は、海外に追いつくためには、一個の職業につけて経験を積ませる、キャリアチェンジできないようにし、安い賃金で働かざるを得ないようにする。それによって生じるストレス、不満は年齢と共に溜まっていくので年功序列による恩恵?によって、そのストレスを緩和させている。それが終身雇用制と年功序列の目的で、既得利権ができると、発展させずに守りに入る。改めて見ると、劣悪な体制である。戦時中日本が作ったって言われると納得してしまう。
 これは、日本人だからではなく、この制度が原因で停滞に陥る。これは、すでに日本経済の衰退による海外論文で散見される。技術や成果を出さなくても年功序列で給料があがるのだから、わざわざ何も変える必要がない。結果、会社は生産する場所ではなく、上司などに対する世渡りをするためだけの場所になり、何も生産できなくなる。
 その終身雇用制も日本会社のほとんどが終身になる前に倒産買収されており、終身雇用制自体が無理という自体に陥っている。20年以上も生き残る会社は稀とのこと。最初っから破綻しているシステムなのだ。終身雇用制は。
 つまり、大日本帝国の名残が生んだのが、今の日本の停滞と衰退ってことか。そりゃ戦争と同じく経済でも社会でも負けるわけだ。なお、大日本帝国と敵対していたアメリカは「日本人は同じ失敗をなんども繰り返す」と評価していた。日本軍は、一度だけ成功したやり方、もう通用しなくなった戦法を永遠と繰り返すのだ。なんども同じ失敗をする。それは戦争が終わるまでずっと続いていた、という。 
 神風飛行隊や風船爆弾、人間魚雷、なにもかも成功していなかった。今の日本は大日本帝国と同じように「同じ失敗」をなんども繰り返している。それが「空白の30年」の正体なのだろう。

今後の自分の行動や考え方の変化
 この本を読むまでもなく、日本の経済体制はとっくの昔に崩壊している。IT革命に失敗して、いまなおAI革命にも失敗している。欧米は産業革命を経験しているので、科学が発展すれば、別の産業が生まれることを知っているし、転職が当たり前なので、仕事が変わるのも気にしない。
 しかし、日本人はひとつのことしかできないので、ITやAIに仕事が奪われると何もできなくなる。この国の民族の正体が少しだけわかった気がする。


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