東海道を歩く。息子と紅茶と/12府中→鞠子→岡部→藤枝
「東海道五十三次グルメ」なるものがあります。
東海道を歩いてる人なら、およそ食べたであろうもの。およそ立ち寄ったであろう食べ物屋。これまで我々が歩いたところでいえば
◎箱根の甘酒茶屋
◎由比の桜エビ
◎そしてまだまだ先ですが、桑名の焼き蛤
など。そして今回の行程で立ち寄った二つも、きっとそのリストに入るでしょう。
2023年12月10日。この年、最後のトライとなったのは、前回の静岡駅から。歩き始めると、ほどなく到着したのが安倍川餅の「石部(せきべ)屋」さん。
1804年(文化元年)創業だから、江戸時代の旅人もこの餅を食べていたのだろう。わさびがことのほかおいしい。小さい餅だけど、つき立てなのか、染みる味わい。風情もあわせて実によい。僕が杖を持っていたのか、頑張って歩いてくださいと声をかけてもらえたもの嬉しかったな。そして安倍川を渡る。
そしてここから山間部へと歩いていく。静岡駅は府中宿だが、ほどなくして次の宿場である「鞠子(丸子とも呼ばれる)」に。ここに、もうひとつの東海道グルメといえる「丁子屋」があります。
晴天だったこともあり、多くの観光客も訪れておられ若干待ったが、おいしくいただく。この滋味ある味。いかにも東海道歩きの飯という感じがする。
ちなみにこの店の左側にいる人物が長い棒のようなものを持っているが、これがとろろ汁の材料となる自然薯なんだとか。さて、安倍川餅→とろろ汁と、立て続けに避けては通れない東海道グルメを食べてお腹いっぱい。元気に歩いていきます。
山間部を縫う国道沿いを延々歩くと、到達するのが宇津ノ谷峠。ここがほんとうに素晴らしい。東海道随一の名所ではないでしょうか。
本当に時代が止まったかのようなところ。明治のトンネルは少し旧東海道からそれますが、この歩行者専用のトンネルも実に貴重。本当にここはよいです。興奮しながら山を越えて先に進むと、我々がとりわけ楽しみにしていた岡部宿に到着。僕たちは岡部姓ですから、あちこちに岡部と書いてあるだけで妙に楽しい。
さてここまで、名所続きで実に楽しくあっという間の行程。でもここから宿までがとりわけ見るものものない市街地で約2時間。ここが辛かった。藤枝のホテルに着いたときは疲労困憊でした。
この日は府中→鞠子→岡部→藤枝の26キロを3万7千歩。距離数はさほどでもないにせよ山があったから疲れたのかな。やはり3万歩を越えてからのダメージが大きい。近くの蕎麦屋で親子丼を食べてすぐに寝る。この旅では、夜に名物を食べる気力はないなと改めて感じた。