あれは僕が中学1年のときだったと思う。偶然買った音楽雑誌(たぶんロッキングオンの増刊のムックか何かだったのだと思う)に、当時、発売されたブルーススプリングスティーンの『THE LIVE』という5枚組のライブアルバムのことが手厚く紹介されていた。それはもう熱をもって。それまで音楽の知識などほとんどなかったが、それを何度も読むうちにすっかり影響されて、お年玉で買って何度も何度も聞いた。偶然の力としかいえないが、あの一冊で一生が決まったようなものなのだ。こうしてすっかりスプリングス
この日は、前日から宿泊行の2日目。袋井駅前のビジネスホテルを7時半に出立して浜松を目指します。 この日も、東海道を歩いていると「東海道?ありがとう!」と声をかけられた。袋井の人は、東海道を歩く人をやけに応援してくれるのです。 東海道歩きの最大の敵は「退屈」です。往時の面影のある道などは歩いてるだけで楽しく、すぐに時間が過ぎる。でも、何もない現代の道をただ歩くのは正直飽きる。そんなとき、こんなブロック塀の風穴とか、電柱の形とか、地域のちょっとした違いを見つけてみるのも、おも
高校生の息子と、各地で紅茶を飲みながら東海道踏破に挑むこの企画。 前回のトライが2023年の12月11日でしたから、実に10ヶ月ぶりの挑戦を2024年10月14日から15日にかけてやってきました。今回は前回、疲労のため途中リタイヤした金谷の駅から袋井までのトライ。 金谷の駅から歩くとほどなくして急坂になり東海道の趣が濃くなる。ここから登っていくと茶畑で名高い牧之原台地になるのです。 金谷から牧之原台地への登りは、風情のある石畳の坂もありいい感じ。ただ、その坂の急さは想像以
ちょっとおもしろい本を2冊読んで、同じ良さだったの備忘録代わりに。 一冊はこちら。エッセイストの岸本葉子さんが、大好きな俳句の魅力を教えてくれる。紹介されていた「探梅」という季語がとてもいい。まだ寒い冬、春を求めて歩く様だという。俳句は、何気ない見える身の回りの世界を楽しむ娯楽だなと知る。 こちらは、和樂という日本カルチャーを紹介する雑誌のwebチームが対談形式で紹介する日本文化。めちゃくちゃおもしろい。歌舞伎やお茶、浮世絵といったものの初歩を楽しく紹介していて、なぜ?ど
8月末から9月初頭の西の旅で注目していたのが、駅のホームのベンチの向きでした。福岡の鉄道会社が、ホームと並行にベンチをおくと、酔っぱらいが立ち上がった拍子にホームから転落するので垂直に置いた、という記事を読んでいていつか確認しようと思っていたのです。東京なんかは、ホームに対して並行ですよね。 このように下関や三宮では垂直。福岡から始まったであろう垂直置きは、どんどん東に広がっているようです。笑ったのは新下関。 ご覧のようにベンチがホームと真逆を向いている。これなら絶対転落
9月1日、前日に広島でサッカーを観たあと下関に。近頃、自転車を借りて、史跡を見て回るのが大変楽しく、幕末史跡が点在する下関を一度走ってみたいと前から思っていたのでした。 JR下関駅にレンタサイクルがあったので予約し行ってみると、楽しいおじさんがいろいろアドバイスもしてくれるいいお店(下関駅北自転車駐輪場)。ここで電動自転車を1000円で借りてレッツゴー。ほどなくして、海が見え、すぐに関門海峡に。 幕末の下関戦争や、壇ノ浦の戦いの舞台。いやー。これは歴史の舞台になるわなーと思
2023年12月11日。この日の東海道を歩くは前回の続きで、宿泊した藤枝のホテルを出発して掛川を目指す。歩いていると、こんな立派な松に出会った。こういう松とか一里塚とかは東海道っぽさがあって実によいものです。 歩いているうちに、島田宿に着く。 この日は宿泊行の二日目で疲れもあり、僕も息子もこのあたりから、ペースが落ちる。ま、もうすぐ大井川だと元気を出しつつ向かうとようやく着いた。 ここが大井川の東側、島田市が整備している「大井川川越遺跡」です。実はこの前年、取材でここを
紅茶熱が高まるなか、いろいろネットで調べ物をしていると「ジャパン・ティーフェスティバル」なるイベントがあることを知りました。サイトにはこう書いてあります。 本来の魅力を引き出した、多様な茶種が集う。 生産者、輸入者、専門店がこだわり抜いたお茶たちを思う存分テイスティングする体験。今までにない、ここでしか手に入らないお茶との出会い。 「思う存分テイスティングする」 なんという心高鳴るフレーズでしょう。調べたら会場は浅草で大人の料金たった1500円。おそらくいろいろ試飲して、
「東海道五十三次グルメ」なるものがあります。 東海道を歩いてる人なら、およそ食べたであろうもの。およそ立ち寄ったであろう食べ物屋。これまで我々が歩いたところでいえば ◎箱根の甘酒茶屋 ◎由比の桜エビ ◎そしてまだまだ先ですが、桑名の焼き蛤 など。そして今回の行程で立ち寄った二つも、きっとそのリストに入るでしょう。 2023年12月10日。この年、最後のトライとなったのは、前回の静岡駅から。歩き始めると、ほどなく到着したのが安倍川餅の「石部(せきべ)屋」さん。 1804年(
さばのゆに行くようになったのは、あの震災の後だから、たぶん十年ほど前のことだと思う。 同じ物書き仕事をやっていたこともあり、何かのパーティーで名刺交換をしたのだろう。突然の連絡をくださった。さばのゆでイベントをやりませんかと。 僕などでいいのかなと思いながらも、お言葉に甘えて僕の本の話をした。経堂という場所にそれほど知り合いもいなかったこともあり、お客さんはそのとき5、6人くらいだったのではないだろうか。なんか申し訳ないなと思ったけれど、須田さんはすごく喜んでくれて、近くの「
2023年11月20日。前回からの宿泊行の2日目で、昨日泊まった薩埵峠先の健康ランドを出て興津→江尻→元追分→府中の27000歩、20キロ。二日連続の長い歩行に初挑戦でしたが、前日が3万歩で終えられたこと、大きな風呂に入れたことなどもあって、この日も足の痛みを感じることなく快調でした。 足は快調でしたが、昨日の眺めの良さから一転、ただただ市街地を歩くだけとちょっと単調な道のり。そんなときこんな自販機で笑う。 さてこの行程、最大の興奮は、偶然入った「とことこカフェ」なる小さ
息子と京都へ向かって歩き始めた東海道の旅。この2023年11月19日で10回目のトライになったのですが、どこが一番よかったかと問われたら、ダントツでこの新富士駅(吉原)から蒲原→由比→興津の手前までの区間。富士山がきれいに見える秋から冬にかけてぜひ多くの方に歩いてもらいたい。最高です。 今回も新幹線に乗って新富士からスタート。車窓からも富士山がこのうえなくきれいに見える。駅に着いて富士山確認。この北に「吉原宿」があります。まずは富士川を渡るべく歩き始めます。 するとほどな
2023年の5月に箱根を超え「ひとつやり遂げた」達成感があったことと、この夏の猛暑でしばらく休んでいた東海道歩きを2023年10月14日に再開しました。 前回の続きで、スタートはJRの三島駅。ついにスタート地点まで新幹線で行く状況になり「それなりに進んだ」ことを実感する。 品川8時4分発のこだま707号に乗ると三島には8時50分に着く。我が家からも2時間かからないので近いともいえるが、出発点まで行くのに2時間もかかるともいえる。この日は、三島の駅から、新富士の駅まで行こうと画
さて、前半戦のクライマックス「箱根峠」越えです。 「箱根八里は馬でも越すが越すに越されぬ大井川」と謳われるように、東海道屈指の名所であり難所。さてどんなところでしょうか。2023年5月28日。今回は、三島まで行ってやろうと朝からロマンスカーに乗って箱根に到着。いざ出発。 噂には聞いていましたが、すごいところですよここは。江戸時代から残る石畳の上を歩けるのですから、こんな貴重なところはなかなかない。登りできついといえばきついですが、楽しさが上回る。 この東海道を歩いて気づきま
ここまで東海道を歩くといっても、近所を散歩するのとさして変わらない格好で挑んでいました。しかし前回、足の痛みでリタイアしたので、モンベルでちょっと高価な中敷を買ってきて挑むことに。そのお値段6000円。中敷にしては高い気もしますが、足の痛みが低減されるなら安いもの。足さえ痛くならなければどこまでも行けるのだ。 そう思って2023年2月25日。この日は、先日リタイヤした二宮から小田原宿を経て箱根湯本まで。このルートは海あり城あり山ありの実に楽しい道。 途中「新宿」を見つけて嬉
東海道歩きの前に挑んでいた「沿線歩き」は実に手軽なもので、疲れたらその駅から電車に乗って帰ればいいし、交通費もそれほどかからりません。 でもこの東海道は、当初はさほどではなかったものの、出発点に行くまで交通費も時間もかかるし、わざわざ遠くまで行ったのだから、すぐに帰るというわけにもいかない。 そんな意識がこの藤沢あたりから強くなり、目標を設定するようになりました。 2023年2月12日。 この日は藤沢から小田原まで行ってやろうと計画します。Googleマップで調べると33キロ