食物連鎖のトップを走ること
2022年3月15日に有精卵を孵卵器に入れた。
目的は、自給自足の生活に憧れていたこと、循環農業をしたかったこと。
その2つという物凄く簡単に考えた目的だった。
その過程で感じた苦労や収穫、感情の動きを綴ることにする。
孵卵器ってほっとけばいいだけじゃない!
孵卵器に入れた卵は、母親のお腹の中と同一条件にするため、
1日最低4回は、”90度転卵”を繰り返す必要がある。
私が購入した孵卵器は、自動転卵もなければ、温度管理も、湿度管理も大丈夫か?と疑うようなものであった。(製品だけの問題ではなく外的環境もあると思う)
感想は、「うん、安いなりのコスパ。」
結果は、孵化率30%(もちろん孵卵器だけの問題ではない。)
有精卵は、高確率で孵化すると思っていた私にとっては大きな衝撃だった。
生後3日が勝負を分ける!
生後2週間程度は、加温した部屋で過ごす。
専用の設備などない私は、衣装ケースを利用した。
蓋の真ん中に切れ込みを入れ、その切れ込みから薄いビニールを垂らす。まさに暖簾のようなので要領で。
右は無加温、左は60Wの白熱球を灯し、加温していく。
床材は、籾殻をふんだんに敷き詰めた。
母性が働くのを抑えて抑えて。
触りたい気持ちを抑えて抑えて。
野生の世界であれば、口を開けていれば母鶏が餌を与えるが、ここは人間の世界。自分で食べなければならない。自力で食べることができず脱落していくヒナもいた。
それからと言うもの、体温調整も自分でできるようになれば、広い運動場に住まいを移動した。
小屋は自分で設計した。
部材は、基本的にホームセンターにあるものをそのまま利用した。
小屋の基本部分は、キュウリを栽培する際のアーチパイプ。
住んでいる地域で、害獣対策が必須である。
対策点は、2点
1、床材の下にエキスパドメタルを敷く
2、害獣視線の高さ約50センチ弱まで目隠しをする。(防草シートを採用)
周囲は、風通しを重視したネットを採用し、雨風を凌げるように、ハウスサイド巻き上げ機を導入した。(完璧)
インプリンティングを人間と鶏で。
最初は、檻に入れながら移動してたけど、
いつの間にか、逃げないことに気づく。
必ず半径1m以内にはいて、走って逃げたとしてもその後ろをしっかりついてくる。どういうわけか、姿が見えなくても親元にはたどり着ける。
生後30日を境に、子分軍団が生まれた。
そう。
つまり、このヒナにとっては、生後30日のヒナが親として刷り込まれたのだ。
なんでも食べる!
基本の餌は、古々米、米糠、市販のバードフードをミックスしていた。
できるだけ、餌代のコストは下げたかったので、いただけるものや人間が食べない(賞味期限切れ)ものなどを使った。
近所のスーパーから週に1回アラをいただいた。さらに、6月からは、トウモロコシの収穫があり、商品にならないものは餌とし、市販のバードフードさえいらなくなった。
そして、日中は畑に出張。
そうそう、これがやりたかった。
ただここで注意したいのは、果実には果糖が多い。
腸内環境に左右し、便が緩くなりやすい。
そんなメカニズムだ。
桃も葡萄も敵面だった。
鶏の体調を見るとき、便と肛門の清潔度は必須。しかし、軟便になったおかげで、便は緩いし、肛門周囲の毛並みが汚かった。これは事件。
ちなみに、もう一つ、体調をチェックする時に観察するのは、足。
足の爪が汚くないか、土がこびりついてないか、そんな観察ポイントも重要である。
比較をしたわけではないが、生後20日くらいの段階から、畑に連れて歩くことで、物怖じせず、草でも微生物でもミミズでもなんでも食らいついていった。野生的感が見ていて本当に釘付けになった。さらに、運動量も確保されるので肉付きがよく感じられた。
食育、にも
卵や鶏肉。
雑学だが、年間の消費量としては、卵>鶏肉 である。
どちらかは毎日食べるのではないだろうか。しかし、鶏が卵を産むには相当な計算が必要だった。
そして、生後130日目ごろに排卵鶏の血筋を持つ鶏がようやく産んだ。
卵1つの貴重さを思い知った。だって1日1個しか産まないから。
だし巻き卵も作れない…
そして、一番の醍醐味は屠殺。
と、研修に行った時は、研究感覚で感情など本当になかった。
確かに、絞める時に鳴き出したり、バタバタと羽が飛び散ったりする光景を見ると胸が苦しくなったが、上手に絞めた時はそんなことはほとんどなく、客観的に見ると安楽死に近いような光景だった。
鶏は病人でもなければ、本人の希望でもない。
ここで大事なのは、苦痛のない方法であったかどうかである。
命をいただく限り、残酷な方法で呼吸を止めるよりも、
一番楽な方法で天に召してほしいと思う。
どうやって絞めるかは、ここでは割愛する。
こうして美味しくいただいた
余す部分なくいただいた。
これが感謝にもなると思っている。
生きていた命をこうしていただくと、本当に1口1口噛み締める。
決して残酷なことではないと思う。
そうやって人間は生かされているのである。
と、やりたかったことは循環農業で、鶏糞を使った土壌改良もやりたかったのだが、鶏4羽で2反というのは到底無理な話だった。
だから次回に持ち越し。やり残すことが多い方が、次回の収穫もきっと多くなるはず。
半年をかけた大人の自由研究でした!