都議選総括と都議会自民党が減税するか監視しよう。
多分こんなにも選挙結果をまじまじと追ったのは初めてではないだろうか。予想した結果がどれだけあたっているのかということと応援している議員が当選するかを追う感覚はスポーツ観戦と変わらないのだろう。
さて都議選の結果を総括すると私はえらく自民贔屓の予想をしていたのだと実感した結果だった。
結果を見れば自民党は現状厳しい状況にあることが明白になった選挙結果だと言える。菅政権はこのあと党内からも批判の声を浴びせられることも十分にありえることだろう。秋の衆院選に向けた党内の引き締めを都議選の反省をいかして実施していく必要がありそうだ。
そして小池百合子人気にも驚きを隠せない。私は小池都知事が嫌い過ぎて冷静ではなかったようだと思うほどに小池都知事は未だに根強い支持がある。
入院すら演技ではないかと疑ってかかった私だが、都民はそれでも彼女の印象が強い都民ファミリーの会を思った以上に支持をした。この結果は国政復帰を狙う小池都知事にとって自信になったことだろう。
自民党を支持している層の一部が都民ファーストの会に投票したところを見ると、菅政権は支持できないという支持者が一定層いることを明確にした結果だったようにも思える。
・結果から見える特徴
1.現状の菅政権の印象はあまりよくない。
五輪や感染対策の引き締めやワクチン接種の状況を芳しくないと思っている支持層が多数存在しているということ。無観客開催や国民不安の解消により苦心する必要があることは間違いない。現状が続けばさらに支持が下がるかもしれない。
2.小池都知事は根強い支持を得ている。
選挙期間中ほぼメディアから隠れていた小池都知事だが結果として自らの支持を確認するいい機会になり国政復帰への自信を深めた。自らの懲罰的な政策に対する風当たりのぬるさも感じたのではないだろうか。
3.公明党はすごい。
豊島区や中野区では自民党候補が立候補したことで議席を減らすのではないかとされた公明党だが、結果は議席を減らさず現状維持。連帯と組織票の固さと優れた選挙分析を今回も示した。
4.都民ファーストの会はただの小池政党ではなくなる。
小池都知事の批判を一身に受けるかのように考えていたが、結果を見ると各議員が有権者との間に繋がりを作っている。
例えば品川区から立候補していた筒井氏は「減税地方議員連盟」の加盟している。他にも「表現の自由を守る約束」に賛同している議員には都民ファーストの会の当選者も多々見られる。
党として結束力が高いようにも見えず、各議員の自由裁量が極めて高いように思われるので今後も既成政党に嫌気のさした有権者の声を聴いて届けるという役割を担っていくように思える。
5.維新はまだ東京では弱い。
日本維新の会も一部ネットでは支持があるように思えるが、まだまだ現実としてそれが示されていないように思える。今回も相当な応援が方々で行われたが結果は芳しくない。地方政党の一つという印象が強く支持地域の偏りを埋めれるかが課題にも思える。
6.左翼は弱い。
昨年の都知事選でもあきらかになったように思われるが、東京における左派勢力はこれ以上伸びることはないように思える。立憲民主党の不甲斐なさやそれぞれの支持層の不和(連合と共産党)などが重なり特に立憲の支持層の一部は都民ファーストの会に流れているように思える。
ゆえに都民ファーストの会がその手の不満の受け口にもなりえるほど窓口が広いためこれ以上の支持拡大は党の印象が格段に変化しないことには発生しないと思われる。
7.減税圧力は拡大している。
これは完全に私自信の関心の深さからくるものだが、品川選挙区では減税候補が複数存在していた。また今回の都議選には「減税とうきょう」という政党の候補者も多数立候補しており、一人も当選とはならなかったがその票数を見ると今後影響力を拡大していける萌芽を見たと考えられる。自由主義社会を求める私としては大変関心深いものだった。
・最後に
結果を踏まえて各党反省の方向が出ると思うが、やはり自由主義的政策への反響の薄さは感じる選挙だった。
無償化という言葉を使う人や財源という話を個人でしつつも党としての政策を見ると財政出動といったような矛盾を感じるような話はたくさんあり、結果を踏まえてやはり社会主義政策への共感の高さは極めて高いと実感する。
今後重要になるのは今回都民の負託を受けた議員が果たして公約をどれだけ実現するのかチェックしていく必要があるということだ。
「懲罰的に一部業界をいじめる」「歳出改革と言いながら単なる利権の変更」などといったことも起こりえる中で減税を掲げて都議会第一党となった自民党が果たして実際にこれらを実現するのかは十分に注目する必要がある。
また選挙に行かない有権者たちがいかにして政治に参加するようになるかも重要なことだ。やはり社会保障という言葉は高齢者向けの言葉であり、若者に向けては単なる負担増の言い訳にしかならない節がある。
自らの所得を守るためにはやはり自由主義社会の実現を目指して政治に参加する必要があり、その小さな萌芽を感じる選挙でもあった(特に品川区)。私にとって憎たらしいのは選挙の時だけ頑張って地元に挨拶に来る議員がまた複数人当選したことに他ならないと愚痴を吐いて総括とする。