私にとって。
私には大好きな空間があった。
そこは憧れの場所だから緊張して、でも楽しくって幸せで、そこにいる自分が好きだった。
その教室の先生は、時間の最後に生徒たちの作品集めて、みんなで作品を囲って評論をしてくださる。
その時間の先生の話を聞くのが、私はとても好きだった。
みんなの作品を並べる時間。じっくり作品を見渡しながら、その場で話を構成しておられたのだと思うが、具体的なアドバイスはもちろん、みんなに通じる観点を見つけて話されたり、人生に通じる話だったり、クスっと笑える冗談だったり。
その話を聞いている時間は、その時の自分にとって、何よりも価値のある時間だった。
ずっと聞いていたい。その場にいることが幸せだった。
しばらく通っていたが、初めての職場異動変があり、平日だけでなく土日も準備をしないと満足した仕事が出来なくなっていた頃。
なかなかその教室に行く時間が見つけられず休むことが多くなっていた。
顔が出せずに申し訳なくてずっと気にしているのも辛くなり、私はとうとう辞める決断をした。
その時は仕方ないと思っていた。
悲しかったけど、悲しかったけど。
自分のことより、今ある責任や仕事を優先させないときっと後悔する。仕方ないと思っていた。
だけど、今でも時々思い出して胸がキュッとなる。
幸せだったこと。大好きな時間だったこと。ちゃんと伝わっていたかな。
勝手に決断する前に。
迷っていること、先生に相談できていたら、何か変わっていたのかな。どうしてあんなに1人で悩んで1人で決めてしまったのだろう。
結果的に続けられなかったとしても、迷いや自分のこと、話せば何か違ってたのかもしれない。
もしもいつか、先生に会えたら。
すごく感謝していることだけは、絶対に伝えなければと思う。
そして、決断を1人ですることに慣れてしまっている私。もう少し途中で話せるようになりたいな。
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