
Photo by
zakki_m
日が沈むところ
鳥取砂丘に着いたのは、夕刻だった。
女3人、ホテルのプールではしゃぎすぎてしまい、本来の目的地をすっかり忘れていた。
慌てて服に着替えて、濡れ髪のまま、砂丘へ向かう。ビーチサンダルを砂に沈めて、少しずつ進んでいく。ちょうど太陽が西に沈み、淡いピンクのグラデーションが広い空を染める時刻だった。
砂の上に座るカップルの頬を、西日が優しく照らしている。私たちも、なぜだか雰囲気に飲まれて手をつなぐ。ふふふと笑いながら、日が沈んだ後のロマンチックな空の色を見届けた。
「ざんねん、沈んじゃった。きれいだったね。」
来た道を戻ろうと振り返り、息をのんだ。
東に、まんまるの月が昇っていた。
ちっぽけな私たちを、怖いくらい静かに見降ろしている。紺碧の空にはっきりと浮かぶ月は、青白く、美しい。
日が沈んで、月が昇る。
そんな景色を、私たちはからだ全部を使って、たしかに見た。