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Photo by
d_tsujimoto
光が影を照らすから
結婚式の翌日、そのままの勢いで空港へ向かった。
リゾート地のヴィラで過ごす1週間。前日は遅くまで3次会をしていたし、ここ数ヶ月は式の準備に追われて生活が荒れていた。搭乗口に注ぐ光が眩しくて、目を細める。
窓ガラスに映る自分に、ギョッとする。すっぴんに10年以上愛用している眼鏡をかけて、ゆるい古着のワンピースを着た私は、新妻というよりおばあちゃんみたい。
「ハッピーハネムーン!シャンパンとケーキのサービスでぇす」
フライト中、陽気で美しいフライトアテンダント達が、席にやってきた。「良かったらお写真を!」と美女に取り囲まれる形で写真を撮る。
その迫力あるメイクと、自分の薄い顔の対比が可笑しくて、デジカメのモニターを見ながら「これは、やられたね」「さすがにきつい」とくすくす笑った。
たった1人、自分に永遠の愛を誓ってくれる人がいるというだけで、醜い自分など存在しない。
この先にある全てのものが、光に満ちていた。