カリフラワーとお近づきになりたい
土曜日、スーパーの入り口で、県内産の新鮮なカリフラワーと目があった。もこもこと可愛らしく、片手では持てないくらいずしりと重い。いかにもおいしそうなのに、たった150円かそこらだった。お買い得ですよ!と黄色のPOPがひらひらしている。
けれど、私とカリフラワーは、疎遠だ。だっていまひとつ調理法が分からない。分かります?カリフラワーの正解。
これがブロッコリーならば、何も考えずカゴに放りこむだろう。茹でてマヨをつけて食べたらいい、という圧倒的な正解を子どもの頃から知っている。
カリフラワーを食べたことが無いわけではない。ポトフに入れたことがあったはずだし、クックパッドで調べて、なんかカレー粉を入れた衣でフリットにしたこともある。おいしかった気もする。
うーん。それなのにどうしてこんなにも距離が縮まらないのだろう。段ボールいっぱいに詰められたカリフラワーは、他の人たちも割とスルーされているように見えた。こんなに安く、こんなにおいしそうなのに。なんとなく、遠い野菜。
よし。
私はひとつを手にとり、意志を持ってカゴに入れる。バレーボールみたいに大きい。今日こそは自らにじり寄り、カリフラワーと、お近づきになろう。
レシピを検索すると、あまりにも無数に出てくるため、Twitterで聞いてみた。すると、あっという間においしそそうなアイデアが飛んでくる。あれ、みんな、カリフラワーと仲いいんだ…?
軽く嫉妬すら覚えながら、娘と「カリフラワー研究会」を発足して、大きなカリフラワーで色々と作ってみることにした。
もこっとした房を切り分け、まずはピクルスを漬けておく。感触がたのしい。
それからコンソメで煮て、ポタージュ。ジューサーにかけ、少しミルクと塩を足して娘に味見をしてもらったら、目を大きく見開いて、「やっばいおいしい!」と言ってくれて最高だった。
生用にもスライスして、ガラス皿な取り分けておく。あとはスナップエンドウと一緒にガーリックバター、いろは醤油と炒める。部屋中が素晴らしい香り。最後に素揚げ。塩とカレー粉を混ぜたカレー塩を添えて。
お近づき献立
・カリフラワーと人参のピクルス
・カリフラワー素揚げとカレー塩
・生カリフラワーレモンドレッシング
・カリフラワーとスナップえんどうのガーリックいろは醤油バター炒め
・カリフラワーのポタージュ
・ブルスケッタ(これはカリフラワー関係ない)
150円のカリフラワーが、なんだか立派なコースになった。
食卓の90%がカリフラワー。そんなこと人生であるだろうか。
「カリフラワーばっかりやないかーい」と息子がにこやかにツッコミながら、「へー?」「たべれる」「あ、これすき」と食べ進めていく。
家族に人気だったのは、素揚げとポタージュ。私はピクルスが好きだった。歯ざわりも、香りも、火の通し方や味付けで変わってくるから面白い。
ひとつの野菜を、いろんな料理に変えていく。身ぐるみぜんぶはがして、家族の胃の中におさまった。カリフラワーとの距離は、すっかり縮まった気がする。
こうして、お近づき献立はつづく。