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忘れられない旅グルメ | 高知・やいろ亭の塩タタキ
旅に出ると機嫌がすこぶる良い。
いつもは日常の些末なことに喜怒哀楽が爆発しているが、旅に出たら喜楽しか残らない。
のんびり知らない街を歩いて、土地の美味しいものを腹に納める。それだけで心が満たされ、足取りも軽くなる。
夫と婚約中だった頃、日本各地を一周するブームがあった。四国、中国、九州と、長期休みの度に地域を塊で攻めていく旅。
その旅中で、夫と感動したのが、高知県のひろめ市場にある「やいろ亭」の塩タタキ!もう12年も前のことなのに、未だに忘れられない。
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GWの途中、私たちは淡路島で集合し、そのままぐるりと四国を車で一周する旅に出た。まだいちゃいちゃ全盛期のおバカなカップルだったから、もう何もかも楽しかったし美味しかった。
徳島ラーメンも、さぬきうどんも、宇和島の鯛めしも。(食べものばっかり)
旅行先だと、食欲のリミッターが完全に外れてしまうんだ。
高知では、桂浜に行って昔ながらのアイスを食べたり、四万十川で遊覧船に乗ったり、ふらふらとしていた。時系列の記憶が曖昧だが、夕方にビジネスホテルへチェックインして、歩いてひろめ市場に向かったときは、割と疲れていたしそんなに期待していなかった。
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ひろめ市場には、飲食店や土産物屋がぎっしりと集まっている。活気あるローカルフードコート、酒飲み天国!といった雰囲気。入って3秒で完全に好きだと思った。
どこもかしこも美味しそうだったが、事前に調べていたやいろ亭へ向かう。
店の前のテーブルには、すでに良い感じに酔っ払っているおじさんグループがいて、何にしよう?とメニューを覗き込む私たちに「はじめて?それならも〜塩タタキ、あと川エビの唐揚げ!」と猛烈におすすめしてくれた。
おすすめ通りに何品か頼み、わくわくして待つ。ちなみに夫は、カツオ自体の臭みが苦手だから、食べられるかどうか内心ドキドキしていたらしい。
だが、出来たてのタタキに山盛りのにんにく!もうめちゃくちゃに美味しかった。美味しくて美味しくて、美味しかった。びっくりした。
おじさんたちと近くに座っていたので、うわ〜美味しいです!!と報告していると、にこにこ笑ってビールを1杯ずつご馳走してくれた。
なんなんだこの場所は。暗く食べても確実に美味しいものを、明るく楽しく食べたらもう。
おじさんたちが先に帰ると、今度は老夫婦がやってきた。また陽気に世間話をし、酒を飲む。
やいろ亭のやいろはね、鳥のことよ。とおばあちゃんが言い、それをにこにこと聞くおじいちゃんと夫を見ていた。そのあとのことは、酔っぱらいすぎて覚えていない。スキップしながら、夜道を歩いて帰った気がする。
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後日、フィルムカメラを現像に出したら、満面の笑みでおじさんとツーショット写真を撮っていた。なぜか小さな鳥のおもちゃを手に乗せたおばあちゃんも。そこに写る私たちは、はちきれんばかりの笑顔だ。
あれから12年。またやいろ亭で塩タタキが食べたいと熱烈に思う。できれば、次は私たちが若者にビールを奢りたい。そうして小鳥を手のひらに乗せて、やいろはね、鳥のことよ。と言ってみたい。
✳︎やいろ亭の情報はこちら
https://hirome.co.jp/?p=735
(画像はホームページよりお借りしました)