「品のいいひと」について、NHK「72時間」から考える
「品の良さ」には、しなやかさがあると思う
NHKの「ドキュメント 72時間」は、同じ場所に連続で72時間スタッフが滞在してそこを訪れる人にインタビューするドキュメンタリー番組。
2006年にはじまったこの番組。
途中、視聴がとぎれた時期もあるが、ドキュメンタリー好きには外せない番組で、年末の年間ランキングも楽しみにしている。
ちなみに、おととし2022年 1位は、放送直後から神回と話題になった、神奈川県にある禁止事項の無い無料の公園だった。(スタッフ常駐の体験型みたいな公園施設)
不登校になり、そこを訪れる親子たちに主にスポットが当てられていたのだが、子供にも大人と同じくらいに色々な事情や思いがあること、しかも、それを経験値の少ない中で抱えることの大変さに胸が痛んだ。
同時に、大人にない柔軟さや逞しさを持つ子もいて、「子供だから
」と軽く扱うことがあってはならないと思うのだった。
去年 2023年 1位は、真冬の北海道 村のたった一軒のコンビニを舞台にしたもので、群像ドラマのようであった。
自分があそこに生まれていたら、どんな人生だったのだろうかなどと考えた。
* * * * *
番組は、「場」と、「そこに集う人の人生の断片」で成り立っているわけだが、去年見た「72時間」の女性のおひと方が、心に残っている。
その回は、古事記の神話のなかで「黄泉の国(死者の国)と現世の境目として登場する、黄泉比良坂 よもつひらさか(島根県)」を舞台にしたものだった。(年間ランキング10位)
そこには、死者に手紙を出せるポストがあり、亡き人への思いを抱き訪れる人が多いという。
番組では、お父さまを亡くしたという30代くらい?の女性がインタビューに答えていた。
「72時間」には、老若男女、色々なひとが登場するわけだが、今回の女性は、敢えて言わせてもらうが容姿的には目を引く美女ではなかった。
しかし、その様子や佇まいを見ていて、ふと、きれいな人だなあと思ったのだ。
その自分の心の動き自体がなんだか新鮮で、つまり、どういうことなのだと自問したくなった。
言葉を探すと最初に出てきたのは品の良さ、それから、育ちの良さ。
テレビに出る市井の人に、「品がいい」と思うことは、そうそうないが、品の良さも育ちの良さも、わたしの中では共通点がある。
それは、「自分の意志でなく、備わっているもの」。
ところで、品の良さって「印象」だ。
それ、具体的にはどこから出てきたんだろう……。
品のよさってなに? (チコちゃん風)
そもそも、「品がいい」と表現したが、ボキャブラリーの乏しさよ、もう少し合う言葉はないものかとも思う。
掘り下げるために、もう少し具体的に書いてみる。
急いたところがなく、ゆったりした佇まい
良い姿勢
控えめで落ち着いた聞きやすい声
知性を感じる言葉遣い
ナチュラルだがきちんと整えられた髪型(黒髪)
服装(今回は、体型にフィットしたネイビーのワンピースと白のシンプルなTシャツできちんと感のある、流行感のないもの→ちょっと古めかしくもある?)
それに合った靴
持ち物は小さ目のシンプルなハンドバック
上記から受ける清潔感
迷いの無さ(→迷いはあっても、目的は見えている感じ)
悪意の無さ
豊かさ(経済的ゆとりから発生する部分はあるだろう)
→そこから感じる、安心感、安定感。
自分にない物挙げてる感がすごい…。
で、結局のところ、わたしの思う「品の良さ」って、
ずっとこうだったんだろうな(=育ち)と思わせる、控えめだけど、まわりを不快にさせない(力みなく、でも漏れなく対応できる)感、
かなと。
…そうか、賢さも必要なんだな。
やっぱり、自分にない物だった…。
どんな人にもいろんな面があるので、決めつけるわけではないが、一場面から過剰に話を作るのは、わたしのお家芸。
とりあえず、あのかたが、2023年 わたしの印象に残った72時間のひと ランキング上位なのは間違いないのだった。
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