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高速バスが好き


静かで、トイレもあるし。



新選組好き娘の強い希望で、福島県は会津若松に行ってきた。


わたしにとっては、娘が生まれる前年に夫と行って以来の二度目。

往復は前回と同じで高速バスだ。


新宿のバスタから出る高速バスは我が家にとって、便利な交通手段である。



わたしは乗り物から窓の外を眺めるのが大好きだ。
(難点は、揺れによっては乗り物酔いすることで、今回は酔い止めを飲んだ)

後ろに流れていく風景をぼんやり見ているときは、マインドフルネス?!ってほど無心ニュートラル&リラックス状態かと思う。(車窓を眺めながら夢とうつつをさまようくらいだと尚良い)。

「眺める」ためには、視線の高さが必要ゆえ、大きさのある乗り物限定になるが、電車もいいし、バスもいい。

機会は少ないが飛行機も好きだ。



そして、窓際必須。




だが、娘が成長すると、わたしの体質を継いだのか酔いやすいことが判明…。

以降、彼女に窓際を譲ることが当然となった。


ところが、さらに成長し酔い止めが結構効くようになってきた&スマホを持ってからは、スマホを車中でいじり続ける暴挙に出始めた。


もう窓際じゃなくていいじゃんかと思ったが、今回のバスは四時間半の長丁場。
念のため譲る母。


しかし、行きの娘は窓際で、やっぱりスマホをいじり続けていた。

ということで、「帰りはわたしが窓際座るから!」と宣言。



そして翌日16時発のバス。

そのバスに間に合うため、徒歩30分の距離を20分に縮めるべく死力を尽くした顛末については別に書くとして、わたしは久々の窓際に収まった。

新宿到着予定は20時30分である。

磐梯山に別れを告げる私を乗せて、高速バスは走る。


車窓を眺めながら、山に囲まれたところだなあと実感。
昨日と違って青空が広がっている。


下の方は目線から近いため視界がどんどん流れていくが、空はほとんど変わらない。



たぶん、もう会津に来ることはないと思う。
時間も資金も限られているので、次は別のところを見たいから。
(でも馬刺しおいしかった…)

狭い範囲で生きてきた自分は、遠い県や地域の事をほとんど知らないままで終わるんだろうなあと思う。

だからこそ、一時の旅でも、こんなものがあるんだとか、こんな風にするんだと、違う倣いに触れることが楽しい。



やがて日が落ちていく。

空の色が深い青から藍へ変化していき、高速を走る車のヘッドライトやテールライトが連なり始めるトワイライト。(と、ついついいらぬ韻を踏む…)


これ。

このひと時。
そこに、訪れる眠り…。

あ、寝てた…と目覚めると、車窓に流れる車のライト。

それを見ているうちにまたウトウト。


夢と現を違和感なくつなぐ夜のハイウェイバスからの眺めは、心地よすぎる。



そのうち、遠くに巨人が集っているかのような新宿の高層ビル群が見えはじめる。

会津若松の町が想定外に夜も早く人も少なかったため(食事処難民になりかけた)、新宿はすごいなあと思う。

やがて、近い距離にも、高層住宅の窓の明かりが見えるようになり、白い光が増えてくる。




一般道に入り王子駅周辺では、車窓から見下ろす人々と光がざわめきとなってせまり、車内も街明かりに満ちる。

地方から上京した人が、夜の都心の明るさにびっくりする感覚がわかるし、こんなに明るくなくてもいいのじゃないかとよぎったりする。


日が落ちた会津若松の空気は冷えたが、東京はどうなのだろうかと、新宿到着時の気温を予想する。


ああ、もう帰ってきたのだな。

自宅には何時くらいにつくだろうか?
夕飯はどうするか?
明日は洗濯日和なのか? 

など、段取りを考え始めたところで、旅は終わっているのだろう。



ちなみに、行きも帰りもバスの車内から写真をバンバン撮っているのはわたしたち母娘だけであった…。

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