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生成AI時代にSECIモデルがより活きてくるよね

一橋大学名誉教授の野中郁次郎先生が逝去されたというニュースに触れ、改めてSECIモデルを思い出しました。そして、SECIモデルとVRIO分析・生成AIを組み合わせることで、今後の企業競争力はさらに高まるのではないかとふと考えました。


野中郁次郎先生の"SECIモデル"との出会い

こんにちは、おかさんです。一橋大学名誉教授の野中郁次郎先生が亡くなられたというニュースが報じられていました。
ナレッジマネジメント研究の世界的権威として知られる方ですよね。改めてご冥福をお祈りしたいと思います。

私なんかの一会社員が野中先生の理論やフレームワークと接点を持ったのは「SECI(セキ)モデル」との出会いでした。中小企業診断士の一次試験を勉強している時に、このSECIモデルを体系的に学び直して、そのおかげで理解が深まったという記憶があります。現在はコンサルティング会社に転職したのですが、実務のコンサルワークでも活用しているフレームワークなので、私にとってはとても馴染み深いんですよね。


SECIモデルとは何か

野中先生が提唱されたSECIモデルは、日本企業が1980年代などに非常に大きな競争優位を発揮していた背景を研究・分析する中で生まれたフレームワークだとされています。
「SECI」の四つのステップは、以下のように説明されています。

  1. Socialization(ソーシャライゼーション/共同化)
    暗黙知を暗黙知のまま共有するプロセス。職人が「俺の背中を見て育て」と言うように、見て覚えろ、一緒にやって覚えろというようなイメージです。

  2. Externalization(エクスターナリゼーション/表出化)
    暗黙知を言語化したりマニュアル化したりして形式知にすること。言葉や図解などで「見える化」して、多くの人に共有できる状態にします。

  3. Combination(コンビネーション/連結化)
    形式知同士を組み合わせて新たな知識を作り出すプロセス。いろいろな知識やアイデアを連結させて、さらに高いレベルの知識へと発展させる段階です。

  4. Internalization(インターナリゼーション/内面化)
    連結化によって生まれた新たな知識をもう一度暗黙知として組織内に落とし込み、再び共有するプロセス。これをぐるぐると繰り返すことで、持続的に競争優位を構築していこうという考え方なんですね。

SECIモデル (created with Napkin AI)

VRIO分析との統合

私が中小企業診断士の一次試験で学んだもう一つのフレームワークに「VRIO分析(ブリオ分析)」があります。
VRIOとは、以下の四つの視点で経営資源を評価する分析手法です。

  • Value(価値)

  • Rarity(希少性)

  • Imitability(模倣困難性)

  • Organization(組織体制)

VRIO分析 (created with Napkin AI)

このVRIO分析をSECIモデルと掛け合わせれば、もっと大きなパワーを発揮するんじゃないかと考えました。SECIモデルで暗黙知を形式知化し、そこからさらに新たな知を生み出していくプロセスを回すなかで、「そもそもそれはどれほど価値があるのか」「どの程度レアで、模倣されにくいものなのか」「組織としてしっかり活用できる体制があるのか」と、VRIO分析をかけ合わせる。こうして希少性が高く、他社が真似しにくい経営資源を見極めながら知的資本を蓄積していくことで、より強力な競争優位につながるのではないかと思うんですね。


生成AIとの相性

さらに、SECIモデルは生成AIとの相性も非常にいいのではないかと感じています。
例えば、Socialization(共同化)やExternalization(表出化)のプロセスで得られた断片的な情報や言葉を、音声入力やテキスト化を通じて生成AIに渡し、AIが自動的に構造化してまとめてくれたり。人間がいちいち整理しなくても、生成AIが文章化や分類を手伝ってくれるわけです。生成AIの得意分野ですよね。
Combination(連結化)段階においても、既存の知識同士の新しい組み合わせを生成AIに提案させることで、人間が気づかなかったアイデアが得られるかもしれません。そしてそれを再びInternalization(内面化)して実務に活かす。こうしてSECIモデルのサイクルを効率的に回しやすくなるのではないかと思います。

日本企業の強さの背景にはSECIモデルがあると言われてきましたが、これからは生成AIを取り入れることで、このモデルを一層強化できる可能性があります。そしてそこで生まれた知見にVRIO分析を適用し、真に価値があり、希少で、模倣困難な経営資源が何かを見極めることで、持続的な競争優位を築けるのではないでしょうか。


おわりに

今日は野中先生の訃報に触れたことをきっかけに、改めてSECIモデルを振り返りながら、VRIO分析や生成AIとの組み合わせについて考えてみました。
ちょっとまとまりのない話だったかもしれませんが、いかがでしたでしょうか。最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。今後もこうした組み合わせを探りながら、より強い企業活動やものづくりの可能性を考えていければと思っています。

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