【俳句連作】けもの道

けもの道

水温むカバのあくびはおそろしい
熊穴を出て眼前を横切りぬ
ずっとある種物屋ずっといる猫
暗算に挟まってくる子猫かな
袋角どくどく触れたれば磁界
水を飲む鹿の子の耳の立ちにけり
曇天の修道院の蚊喰鳥
クロネコヤマト未央柳を掠めけり
この猫と終の住処の茗荷汁
吾輩は安居の猫や鍋に寝る
熊の穴掘りと言われても泳ぐ
犬小屋の虚ろを掃きぬ盆用意
山道や牡鹿の声の委蛇として
うさぎ小屋から運動会を見てる
エリザベスカラー咲く体育の日の空へ
猿と同じジュースが飲める文化の日
素晴らしい議員だ狸かもしれぬ
この村で医者をやりたきゃ熊を食え
駅員に寒犬の鳴く故郷かな
悪霊でいい狼に逢えるなら