平成から令和の話 ②

カーステから早朝のラジオ放送独特の低いボソボソとしたトーンで話す声が聞こえる。
ご年配のパーソナリティらしく昭和から平成、令和について語っているらしい。
ミラー越しに後部座席に目をやるとは娘達はすっかり寝息を立てている。

ボソボソと話す内容に集中すると、南洋で英霊となった若者の話を、丁寧に話されている。
後部座席で眠る娘達ときっと同じ年頃の若い兵隊さん。

最期の瞬間、母親を呼んで亡くなったであろう若者達が、未だ本土に帰ることなく南洋の海底や密林で令和を迎えると涙声でワタシ達に伝えている。

奇しくも青山通りを通り過ぎた。
日の丸の旗が辻々にはためいている。

関西にはないピリッとした風景。
東京はやはり帝都で、武士の街の名残で風情がまるで違う。


電柱の上にひょっとしたら加藤保憲が立っているのではと思う様な往年の角川映画のセットの中に迷い込んだ様な平成の終焉の日。

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