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個人配信新シリーズ開始への道のり。その1。

こんばんは。山田圭子です。
昨年の夏からめっちゃ右往左往しつつ、がむしゃらに新シリーズの漫画を描き続けてきました。最後に漫画家らしい作品発表をしたのは昨年の8月だったので、1年と4か月なんの露出も無く、賞賛どころか関係者以外誰の目にも触れない状態で、
ただ来る日も来る日も新シリーズを描くのみ。
配信サービス「コンパス」さんにデータを提出し、カバーデザインと著者校正の戦い、もとい熱き共同作業に打ち込み、11月なかばようやく納品となりました。
34年間商業作家として様々な出版社で基本的に連載をさせて頂いていた
決して若くない(どころか56歳ですよ!!)漫画家の、出版社を通さない個人配信での新シリーズ制作の記録を残しておきたいと思いました。
これから同じ道を歩む作家さんたちのお役に立てれば何よりです。


「連載がしたいなら、早まって個人配信をやらなくても、ネームを持って出版社を回れば、きっとどこかが目を留めてくれて普通に連載が出来ますよ!!」

これは私が電子分冊版連載を思い至って、某編集さんと電話で話した際の編集さんのお言葉です。
私はこれをしませんでした。
私が始めるのは個人配信の分冊版で、自分のペースで自分の描きたいものを
描き進めていくスタイルです。枚数も回数も内容も、ある程度の規定はあるけど自己責任という意味では自由です。
打ち切りはありません。

なぜなら、「原稿料はゼロだから」です。

いわゆるサイトレーベルやアプリの新連載ではないのです。

近年紙雑誌の発行部数が落ち込み、その代わりに多くの出版社がweb雑誌やアプリを出しています。凄い大繁盛ぶりですね。
電子ストアでもストア発の作品を生み出し、多くの作家さんたちが
せっせと連載しておられます。
更新速度が頻繁であるほど読み手に根付くのには有効なので、
最強が毎日更新、次が隔日、そして週間、隔週、月イチという順番な感じですが、ものすごいハイスピードな更新がくりひろげられていて・・・・。

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(あ、そうだ!一般的な読み放題では読まれた枚数でロイヤリティは発生します。「無料連載というカテゴリーでも作家さんはちゃんと原稿料も頂いて、印税も受け取ってらっしゃるはずなので、読者さんたちは「無料で搾取されているのでは!?とかいう心配はご無用、遠慮なくガンガン読んじゃってください!!)

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 ……話はそれましたが多くの作家さんたちが限界、いや限界以上まで頑張って作品を描き続けておられるようです。

これは・・・昭和40年生まれのあたいには無理…かも…。
更年期激しすぎてガタガタになり、「爆笑更年期!!~極楽目指して地獄めぐり~」(電子単行本出てます)まで描いてしまったわたくしは、死んでは漫画が描けないので、自己責任だけど自分のペースで更新できる個人配信分冊版スタイルを選んだのでした。
これから体力も集中力も落ちていくでしょうし。
親が老いたので、いつ介護見送りが発生するかわかりませんし。
その時に更新が滞り、人気が落ちて打ち切りになるとか、または心身の健康を損なって倒れたくなかったんです。私は体の痛みに弱いので・・・。

そして自分の漫画が打ち切りにされるのはもう飽きたのです・・・。
実際は単行本の売り上げが儚く可憐すぎて打ち切りになっていたわけですが、
内外の評価はそこそこ高かったりするし他所の雑誌ではよくして頂いていたりするので、
母体の雑誌の部数が低く、宣伝されないという意味合いで見ると
「わ・・私のせいだけじゃない・・・よな・・・・」ということにここではさせてくださいー!

もう34年も漫画を描きました。引退はいつくらいかなと思うお年頃です。最後の連載「炭に白蓮」を描いていた雑誌をはじめ、つながりのあった多くの雑誌が休刊。単行本の売り上げが悪くても素晴らしい内容で読者さんの反響がよければ5巻6巻は続けられていたものが、今は1巻で切られてしまう、もしくはそもそも1巻が出ない。諸般の部数も今は本当に低いので、即売り切れ重版がかからないと人気のある作家さんでもすぐに連載は終了してしまう。
では新規にネームを描き起こして各出版社を回ればどうかという最初の話に戻るのですが、若い頃コンペも何年かして、九州から上京して営業も頑張りました。素晴らしい出会いや勉強するきっかけはたんとありましたが、こんな辛い活動はもう2度と出来ないなとも思っていました。
気力はあの当時のままと言いたいけれど、正直できないことは増えたと思います。

なによりも、年齢的にも今回のが最後の連載になるかもしれないなと思うと、もう打ち切りとか休刊とかに関係ない連載がしたかったんです。
原稿料を貰うというのはそのリスクも背負い込むということなので・・・。

電子印税のみで連載して、食べていけるのかというと、
やってみないと本当にわかりません。
「自信があるから出来るんでしょ?」
「固定ファンがいないとできないと思う」
「蓄えが尽きたらもうできない」

こんな声もどっからともなく聞こえてきました。
ごもっともすぎます。
でも、でも、
でもあえていいたい。
自信なんかない!!かけらもない!!
少なくとも発行部数やメディア化等の実績という意味合いの自信はない!!
あるなら「打ち切られたくないから」というそんな理由で
個人配信に走ったりしない!!ちゃんと普通に企画を各社に持っていくでしょう。

でも・・・・・私が思う、真の自信とは…
発行部数が多いとか関係ありません・・・。
「どれだけ身を捨てて打ち込めるか」で決まるものだと思います。

蓄えは近年頑張って配信してもらって得た電子印税と、企業漫画の報酬が
ありましたので、去年の夏から今この瞬間までそれを使って
漫画を作り、アシさんのお給金を払い、生活をしてきました。
この1年間のための旅費のようなものでした。
しかしそれも尽きてきましたので、「唐戸市場で魚の戸箱を運ぶ
パートでもしようか」と真剣に悩みましたが、よく考えてみると
「いやそこは普通に原作付きの漫画、もしくは新規の別の小作品を描かせてもらえばいいじゃない!!」と思い至りましたw 
漫画家なんだから描かせてくれる雑誌あるならオリジナル分冊版のあいまに
精一杯それをやれよ私!!
そんなわけで来年1月15日発売のハーレクイン増刊2号に「忘れ形見のゆくえ」がしれっと巻頭カラー125pで掲載されます。このイラストは見開きタイトル扉です。



そんな感じだからまだまだ俺はくいっぱぐれないぜっ!!

ところで、冒頭のヘッダー画像はコンパスさんから配信される新シリーズのヒロインです。
12月16日からこちらで配信予定です。(一部配信時期にズレが生じることもあります)リンク先の一覧内のお好きなサイトをぽちっとすれば
コンパスコミックスの一覧に飛べます。https://www.com-pass.fun/store/

実はもう予約が一部サイトで始まってるんですが、
12月16日から3日連続で1,2,3話が配信となります。

宣伝しても誰も反応してくれなかったらどうしよう、これだけ頑張ってもダメだったら死んでしまう。
恐ろしくて当日までタイトルを明かすなんて無理、
やっぱりよそで普通に連載してる作家さんがめちゃくちゃ羨ましい、
住宅ローンの繰り上げ返済計画はどうなるの!!とか千々に心が乱れ、
自信もへったくれもやっぱりありません!!

でも、がんばります。次からのnoteでは私がさすらったいくつかの配信会社、ストアのこと、カバーデザイン、著者校正のこと、
そして命を懸けた(懸けすぎ)大幅加筆修正のこと、なによりも、
私が描きたいと思い続けた新作のことを書きます。

また明日。


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山田圭子
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