続・もう一つの「アメリカ例外主義」－ "TRUST" （信頼）の崩壊がもたらすモノ
東欧の「停戦」交渉は変な雲行きどころかおかしな事になってしまった。双方とも支援の減額もしくは停止含みで半ば ”演出” の部分もあっただろうが、あとの半分はほとんど子供の喧嘩。まるでジャイアンに罵られているのび太くんのよう。一部には ”ジャイアンが正しい” という向きもあるようだが、世界中があきれたのが "FACT" （事実）だろう
顔を真っ赤にして叱責する様を見ると、やはり「高齢化」で抑制が効かなくなっている感が強い。この国の政治や企業もそうだが、どんなに優秀な人でも80歳近い高齢者がトップに君臨する組織は問題が多い。おまけに ”ジャイアンのリサイタル” を褒めちぎる取り巻きばかり
ここで重要なのが "TRUST" （信頼）の崩壊がもたらすモノだ
例えば安全保障に関わる防衛装備。ミサイル一発で数十億円というからかなりの高額品で今やレーダーやGPSといった防衛設備と一体化している。アメリカにとっても主要産業の一つのはずだが、これが ”ジャイアン” のご機嫌一つで突然使えなくなるならどうか。日本のように米軍施設がある国はまた別かもしれないがとても怖くて買えなくなる
実際今回の件でほくそ笑んでいるのはヨーロッパではないか。ロシアの兵器が貧弱である事が露呈してしまい、友好国のインドでさえ軍備の購入先を換えようか検討中。本来最初の選択肢になるはずのアメリカだが、これを見せつけられては躊躇してしまう。兵器産業はフランスにもイギリスにもある。選択肢が替る可能性は高い
この点はUSSの合併話もそう。土壇場でちゃぶ台返しを食らうとあっては今後の「投資」に影響がでるのは必至。突然「関税」をかけられるとなれば貿易や商売そのものの根底が崩れる事にもなる。「MAGA」で "アメリカ国内で作れ" 、という主張なのだろうが、人件費が高いアメリカで製品を作れば自動車もミサイルも値段が上がってしまう。そんな高いモノを買う余裕はヨーロッパにも日本にもない。中長期的にはどの国も「内製」、あるいは「MAGA」以外から買う方向に向かうのが自明の理である
「世界恐慌」（1929～）を引き起こしたフーバー大統領の悪名高いスムート＝ホーリー法による「高関税政策」を筆頭に「保護貿易」が機能した例は希有。大概は経済的に疲弊した国々が "苦し紛れ" に発動したのであって、かつての「ブロック経済」は世界大戦の引き金になった
"TRUST" （信頼）の崩壊がもたらすモノも判った上で 「関税」は「増税」？ － 「小さ過ぎる政府」からの転換を図るアメリカ｜損切丸 に突き進むのを見ていると「お金」の面で本当に "苦し紛れ" なのではないか？
この国でも「財政健全化至上主義」を掲げる「財務省解体」などと機運が盛り上がっているが、アメリカの国家債務は34兆ドルと日本（11兆ドル）の3倍以上。日本は金利が＋1％上がれば▼10兆円利子負担が増すが、米国債の利回りは軒並み＠4％以上で年間▼200兆円以上利払いが発生する。まさに "桁違い" だが、年間税収が＋270兆円（＋1.8兆ドル、日本は＋80兆円）もある超大国アメリカでもこれは持続不能。慌てて「借金」回収に回っているのが「お金」の "FACT"
そう考えるとWHO脱退も「戦争」支援停止も「関税」も一本の線で繋がってくる。そう、「MAGA」はもう他国の事を構っている余裕などない。「お金」が足りないのだ
金利の優位性で何とか価値を保っている「ドル」だが、それでも主要国の中で10年国債の「実質金利」では6位程度 ↓ 飛び抜けて高い訳ではない
異常低金利の「円」を起点とした「キャリートレード」で値を保っているのが実情だが、それも 崩れる？ ”キャリートレードの城” － 本当に只の "Mad Man Theory" なのか｜損切丸 で風前の灯火。「関税」≓ 消費増税による米景気後退＋利払い負担低減 → FRBによる「利下げ」再開も含め、マーケットは「ドル安」の可能性を感じ始めている
おそらく今回の「決裂」、歴史を振り返った時にもう一つの「アメリカ例外主義」への "分岐点” になる。そんな中、いかに税金免除で積立方式とはいえ「新NISA」で日本人がせっせと米株を買い続ける姿は奇異に映る。脅すつもりもないが、少なくとも今の高齢化した "Mad Man" に「お金」を預ける気にはなれない。これはグローバル投資家も同様だろう
もっとも政治をはじめ "高齢化" したこの国の体たらくを見ると「日本」もオルタナティブ（代替投資）になり得ないのが歯がゆい所。「インフレ」が続く現状では、まずは金利の正常化から始めるしかない。時代は色々な意味で個人にも国にも「自立」を求めているという事なのだろう
