「利下げ(政策調整)の時は来た」 “The time has come for policy to adjust” ー でも「金利」が下がるとは限らない
注目のジャクソンホール会議。遂にパウエル議長の "GOサイン" が出た。これで最低でも9/18のFOMCで▼0.25%「利下げ」は確定。その後は景気指標次第という事になる
ただこれで「金利」≓ 長期金利が下がるとは限らない
「損切丸」が気になっているのは 着実に減る「お金」の価値 ー 鍵は「正しい金融政策」|損切丸 (note.com) つまり「インフレ」の動向。価値の減っていく「お金」の値段 ≓「金利」が十分に魅力的なのかどうか。政策金利の影響を強く受ける短期金利はともかく、5年を超える長期金利が投資家の「お金」を惹き付ける事が出来るかどうかが焦点になる
これを端的に示すのが「イールドカーブ」。中央銀行が長期金利をコントロール出来ない所以でもあり、為替レートにも大きな影響を及ぼす。「金利」が低過ぎれば①長期金利が反騰する=「スティープニング」か②通貨が売られる等の市場反応が出る。両方一気に起きると "クラッシュ" になる
仮に現行のシミュレーションを元に2025年7月に政策金利が@3.5%に到達したとすると:
「ドル安」を伴った場合、5年超の米国債金利は現状のレートを上回るかもしれない。つまりマーケットが「そんな金利じゃドルに投資できない」という拒否反応が生まれる。こうなると今の日銀同様、FRBも「ドル安」を止めるために最悪「利上げ」に追い込まれる事も有り得る
”金利が上がれば上がるほど下がる” 米国債金利。|損切丸 (note.com) なんて note. を書いたのが3年前だが、逆に ”金利を下げれば下げるほど上がる” 事もある。つまり*いつも大事なのは「正しい金融政策」
もう一つ指標となるのがTIPS(物価連動債)。一時@2.0%を下回っていた5年BEI(予想物価率、Break Even Interest Rate)は再度@2.0%を上回り ↓ 「インフレ」の再台頭を示唆している
中国が「世界の工場」として安価な製品を大量に供給していた「ディスインフレ」時代と違って、「米中対立」が先鋭化した今、「コロナ危機」を挟んでアメリカの自然利子率は@3.0%程度に上昇。政策金利も米国債金利も@3%を下回るような状況は考え難くなっている
そうなると仮にFXが「ドル安」転換した場合、通貨価値を維持するために米国債、特に長期金利は@4%以上が必要になる
そしてもう一つ大事な "FACT" は 続・「過剰流動性」の総本山は日本 ー 気になる「円キャリートレード」の行方|損切丸 (note.com) 「外債投資」(為替ヘッジ付)や「円キャリートレード」で日本から国外に向かった ”固定資金” は500兆円とも試算されており、これが「日本還り」するインパクトは無視できない。既に「ドル円」は@162円から▼20円余り急落する反応が出たが、日銀の「利上げ」が進めば欧米国債、その他の高金利債にはネガティブ。ひいては**「金利」上昇を通じて株式市場にも影響が出る
国際的「資金フロー」という観点だけに絞れば ”ディフェンシブ" なのは米国債よりJGB(日本国債)、S&PよりTOPIXと言う事になるが、まあそれ程単純には動くまい
何せ日本はG7ではまだ断トツの「マイナス実質金利」↓ 。30年近く「低金利」というベッドに寝たきりだった "病人" を起こして "リハビリ" させるのは並大抵では無い。▼4,000円ぐらいの株価下落でビビっていては「普通の生活」=「金利のある世界」には戻れない。ただ「体温」=「インフレ」は正常に戻りつつあるので、ここは慎重かつ大胆に "リハビリ" に取り組みたい。その先に「未来」が待っている
株や不動産は「インフレ」による「名目値」上昇効果に目を配りながら「投資」していく事になる。その時ライバルになるのが「金利」。「正しい金融政策」に戻れば、ようやくこの国も「金利」を「投資」尺度に使える。そこに至るまでの過程で、特に「ドル円」などFXの価格調整が続くだろう。やはり外貨でも円貨でも「エントリーポイント」が大事。慌てず怯まず、しかしチャンスは逃さないようにしっかり準備したい