続・「過剰流動性」の総本山は日本 ー 気になる「円キャリートレード」の行方
やはり「過剰流動性」の総本山は日本 ー 「結果」を得るには一度「苦況」を乗り越えなければならない|損切丸 (note.com) の続編
「マーフィーの法則」ではないが悪い時には悪い事が重なる。 ”9月利下げ示唆” をしたパウエル議長は既にある程度状況を把握していただろうが、7月のISM製造業指数が予想外の悪化( ↑ 参照)。仕入価格がやや高止まりしているが、雇用の悪化を見ると今日(8/2)の雇用統計 ↓ も不安になる
米国債を見ると年内残り3回のFOMCでそれぞれ▼0.25%の「利下げ」を織り込む動き。全体的には「リセッション」(景気後退)リスクを見始めておりターミナルレート(利下げの着地点)は@3.5%まで下がってきた
とまあ株を売る理由には事欠かないわけだが、筆者は今回の下落の根本原因はもっと物理的現象 ≓ 「過剰流動性」の巻き戻しと見ている。 "総本山" は日本≓日銀であり、その「利上げ」が号砲となった
*長年に渡る「過剰流動性」の "毒" は米株を中心に広範囲に行き渡っている。ヘッジファンド(HF)なら「円キャリートレード」で調達した「ドル」をナスダック、NYダウ、あるいは金(Gold)、WTI(NY原油先物)、ビットコイン(BTC)等のポジションとして積み上げてきており、その巻き戻しが起きている。元々多額の「円」を持っている「新NISA」≓ 日本の個人投資家や財務省の「外貨準備」もその一部
とは言え2日間で▼3,000円近く暴落した日経平均もかなりの衝撃。今の相場を見ているとHFにとって「ドル円」と「日経平均先物」が主戦場と化している事がわかる。あまり動かないユーロやポンドと比較すればその違いは明らか。「資金フロー」がしっかりしていない日本株に狙いを定めるのは当然で、逆に言えば「円」絡みの相場が無ければ ”おまんま食い上げ”
「新NISA」投資家からこういう "悲鳴" が聞こえてきそうだが**早々と「損切り」に動いた新参者もいるだろう。ただつらいのはHFも一緒。ここまでの相場になると ”レパトリ” (損失穴埋めのための売買)の "嵐" が吹き荒れているのは確実で、LTCM程大手ではないにしろ中小のファンドが閉鎖・破綻に追い込まれても不思議ではない。彼らもまた必死なのである
@150円台で「オルカン」やS&Pを抱えて悶々としている「新NISA」勢の気持ちもわかる。だがここはムキにならずに冷静にマーケットを見つめ直して見ること。@135円ぐらいがドル円の適正値と見てきた筆者はまだエントリーポイント(相場に入るタイミング)を見出せていないが、ここはチャンスでもある。既に "重い荷物" を抱えてしまった投資家には酷な局面だが、冷静に相場を見切れているならそのまま抱え込んでもいいし、ドル円をヘッジ売りという手もある。一旦 "荷物" を降ろすのも選択肢だ
まあ30年も相場に関わってくると周期的にこういう "嵐" に遭遇するが、出来れば苦しみたくないので段々ずるくなって "先回り" するようになる。 "慣れ" の部分もあるが、経験的に苦しい所を乗り切らないと果実を得られない事を熟知している点も大きい。大袈裟に言えばまさに「人生」そのもの。自問自答が何度も繰り返される:「切るのか、持つのか、お前はどっちなんだ?」。「自分」を知るいいきっかけにはなるだろう