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続・米国債、FX、株、コモディティの相互作用。ー 「QT」進行中の ”実需の壁”

 7月米PPI(生産者物価指数)前月比▼0.5% 予想+0.2% 前月+1.0%

 昨日 米国債、FX、株、コモディティの相互作用。ー 米中CPIが示唆するもの。|損切丸|note なんて note. したらピッタリそう言う相場になって自分でも驚いている(苦笑)。今度は差し詰め ”PPIショック”前月比マイナスになるのは2020年4月以来だ(  標題添付グラフご参照)。

 これを受けて ”懲りずに” 10年米国債は@2.70%にチャレンジ@2.73%まで走ったが ”実需の壁” が厚かった。実施された新発30年債入札(210億ドル)の応札倍率は@2.31倍と4月以降で最低@3.0%割れどころか@3.17%まで跳ね返された。引きずられるように10年債も一時@2.90%まで急落1日で+0.15%も動く大荒れ相場だ。

 原因の1つが「イールドカーブ」取引で、昨日(8/11)2000年以来の▼56BPまで拡大した2ー10年の「逆イールド」は一気に▼33BPまで縮小本来長期保有目的の「イールドカーブ」が1日で+23BPも動くのは "反則" 

 これを受けて "相互作用" で振り回されたのがFX、株、コモディティ

 金利低下を受けて一時@13,000ドル台を回復したナスダックは大はしゃぎだったが、その後の金利急騰に耐えきれず急反落。もっと酷かったのがドル円で、一時@131.75まで突っ込んだ後@133円台に反騰。こう言う相場が得意なトレーダーはいいが、典型的 ”往復ビンタ相場” 。被害者続出である。

 もっとも大筋のトレンド転換=①株価の回復@「ドル高」の修正は臭ってきており、ビットコイン(BTC)まで@24,000ドル台を回復するなど、マーケットの雰囲気は大分変ってきた。

 興味深かったのがWTI(NY原油先物)。米国債、FX、米株の ”往復ビンタ” を余所目にじりじりと上昇。一時@94ドル台まで戻している。本来米CPI、PPIの低下は売り要因に捉えられそうなところだが、逆に「個人消費回復」と読んでいるのだろう。兎に角ウォール街の ”リセッション運動” は終わりを迎えつつある。ここまで株が戻ればもう不要だ。

 今の「米国債、FX、株、コモディティの相互作用」相場を計るのに忘れてはいけないのが「QT」(量的引締)。 「損切丸」を時系列で整理してみたⅡ。ー「過剰流動性」フローの変化。|損切丸|note で解説したが、FRBによる月間▼475億ドル≓▼6.3兆円の「お金」の回収は9月から▼950億ドル≓▼12.6兆円に倍増する。

 ここまで急激に株価が戻したのは、まずは「インフレ待機」で米国債や株を売って増やしていた「手元現金」を振向けたのだろうが、それも2020年までの「過剰流動性相場」のように長続きはしない。まあ日銀の「国債指値・無制限買いオペ」なるもので6月に+16兆円もの "予定外" の援軍はあったが、ここから先は毎月▼10兆円単位で市場の「お金」は減る株を買いたければ他の何かを売るしかなく、昨日の30年米国債入札はその前触れである。

 こうなるとクォンツ(数学・物理等の理論を駆使した投資手法)などの出番で、「イールドスプレッド」等 "Relative Value” (価値比較)による投資選別が進むことになる。金利やPER、為替レート等のデータを駆使して「割安買い+割高売り」が厳格化し、投資の世界は一気に「プロ化」していく。「ガチホ」「押し目買い」では通用しなくなるだろう。米国債、ドル円などの大荒れ相場はその前触れと覚悟しておいた方がいい。

 こうなると最後に信じられるのは「自分」だけ。投資銀行業界も色々な事を言って幻惑してくるが、半分は「ポジショントーク」「トラップ」と割り切った方が賢明だ。「人と一緒」「お勧め銘柄」はむしろ危険かもしれず、数字やデータを自分自身できちんと検証し、納得することが肝要。本当に儲かるなら他人に教えたりはしないものだ。「他人の損は自分の得」

 そう言う世界に20年以上も身を置いたものだから「損切丸」もこんな疑り深い人間になってしまったわけだが、要はどこまで突っ込んで考える事が出来るかの勝負。こうなると本当に大事なものはまず表には出てこない「日本人応援団」の「損切丸」としては少しでも参考になるようなものを提供しようと思っている。かつてのように日本が餌食になるのはもう見たくない。(筆者自身も含めて)みなさんには本当に頑張って欲しい。

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