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続・「円安」効果はどこまで続く? ー 日銀「利上げ」から予見されるグローバルキャッシュフローの変化

 「円安」効果はどこまで続く? ー 「エヌビディア」も「ビットコイン」も「ドル円」も...|損切丸 (note.com) からの続編

 あっという間に@160円を突破した「ドル円」。やはり 見えてこないFRBの「利下げ」 ー 「円安」を起点とした「通貨危機」の怖れ|損切丸 (note.com) の展開。マーケットはのんびり7月末の政策決定会合なんて待ってくれない。こうなると日銀「利上げ」は不可避で、あとは利上げ幅が焦点。もはや+0.15%(@0.10%→@0.25%)では効かない

 この動きを反映するJGB(日本国債)は大きく売られている

 それでも尚2年債は@0.35%に留まりで7月の+0.50%「利上げ」を拒否「日本金融村」としては 11年振り「国債買入」オペの "札割れ" ー 銀行は何を考えているのか|損切丸 (note.com) に沿った反応だが、そんな ”感情論” が果たして許されるのか、甚だ疑問ではある

 7月9、10日開催の「国債投資家懇談会」ではその辺りの感触を掴んでおきたいのだろう。ひょっとすると+0.50%「利上げ」の場合の対応をヒアリングするかもしれない。1~5年債は間違いなく「暴落」商状に陥るだろうから相当な "拒否反応" が出そうだ。だが国民全体からの「円安」に対する "拒否反応" も強い日銀・財務省は板挟みになる

 「異次元緩和」で国内から押し出された「お金」は400~500兆円。特にN中金等邦銀勢の「外債投資」がどうなるかが鍵。100兆円単位で「日本還り」するならグローバルキャッシュフローへのインパクトは相当なもの

 各市場への影響を推察すると:

 1.米株式市場
 「異次元緩和」で最も恩恵を受けた市場キャッシュフローとしては「円」→「米国債」「ドル建債」→NYダウ・ナスダック・S&Pで巨額の「お金」が流入「過剰流動性相場」の典型なので負の影響は避けられまい
 一方「新NISA」で日本の個人投資家を中心に直接投資の流れが出来ており、売り圧力は相当程度緩和されそう。欧州の主要株式市場も同様だ

 2.日経平均・TOPIX
 「日本還り」した「お金」はJGBに吸収されてしまい、それ程恩恵には与れまい。むしろ今は「円安・株安」同時安が意識され始めており、どこで「円売り」が止まるかに焦点が当りつつある。やはりポイントは「キャリートレード」「利上げ」は「円売り」の阻害要因となるのでむしろポジティブ銀行等の金融株が上がれば比率の高いTOPIX押し上げられる

 3.米国債等「外貨建て債券」
 もっとも被害を受けそうなのが「外債」
直近オーストラリア国債などが弱いのは主要投資家である邦銀が引っ込んでいる影響も大きい。他の市場流動性の低い「外債」も同様だ

 米国債に関しては「ドル売り介入」→(財務省による)「米国債売り」の思惑を呼びやすく「利下げ」の有無に関わらず「需給」が悪化する。イールドカーブは「スティープニング」(長期金利が短期を上回る状態)が進んで米国の財政状態が浮き彫りになるだろう

 4.JGB
 「金利のある世界」に戻る過程で大混乱は必至。特に現場に「利上げ」経験者が欠けてるのが致命的「ターミナルレート」(利上げの到達点)を@1.5~2.0%程度と勝手に決め付けている節があるがかなり "危うい" 「ドル円」もJGB自体もマーケットが許してくれるとは限らないFRBの「ターミナルレート」を@2~3%と決め込んで破綻したシリコンバレー銀行やシグニチャーバンク大やられしたN中金・地銀の例を良く噛みしめるべき

 5.「ドル円」等FX
 積上がっている「キャリートレード」と「新NISA」等継続的な「お金」の流出が焦点
「金利差」という観点からは日銀による「利上げ」が ↑ 3.「外債」の金利上昇を促す側面もあるため複雑な動きになりそう。ただ、「利上げ」は「キャリートレード」のメリットを直接削る効果が絶大なため、どこかの水準で "雪崩" を打つ可能性が高い。日米の潜在成長率の差が2%近くあることを勘案すると@2%程度への「利上げ」で何らかの「変化」が起きるだろう。あとはポジションの積上がり状況次第だ

 市場を見る上で今後ポイントとなるのが、「ドル円」で上(円売り)を攻めれば攻めるほど 「円安」が「円高」を呼ぶ ー 「キャリートレード」だって本当は怖い|損切丸 (note.com) 日銀の「利上げ」が前倒しになれば "雪崩" の可能性も高まる。ここからは ”チキンレース” 。 "崖" が迫る中、誰が先にブレーキを踏むのか、それとも全員 "崖" から落ちてしまうのか(≓「通貨危機」)。そもそもゲームの先導役(政府・日銀)が "崖" を認識しているか。今の危うさはその点にある


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