韓国がGSOMIAを破棄!-「KOREXIT」韓国にとって最悪のシナリオへ。
「KOREXIT」- まさにアジアにおける「BREXIT」と呼べる事態。
いやあ、「損切丸」、参りました。これは予想できなかった。5%もないと思っていたワーストシナリオが実現してしまった。しかも韓国にとって。娘には「歴史の教科書に載るかもしれないよ」と言っているのだが、アジアの勢力図が根本的に変わってしまうきっかけになるかもしれない。
今思えば市場に予兆がないわけでもなかった。アメリカ向け売上が多いSKハイニックス株が-2,000ポイント(-2.68%)も下げているので何か変だな、とは思ったが、この事が一部漏れていたのでは、と疑いたくもなる。今朝(23日)の報道で、外相間で割と早い段階で破棄の話が出ていたようであるから、今回の会談で日本側には駄目元で輸出管理強化の取り下げを要求してみて、反応がなければGSOMIA破棄と、既に決めていたのかもしれない。
軍事や安全保障は専門ではないのであまり突っ込んだ推論は立てられないが、素人考えでも:①北朝鮮の南進、②韓国内での軍事クーデターや内戦、といったような恐ろしげな展開も想像してしまう。何せアメリカとの安全保障を袖にしてしまうのだから。
しかし真実はもっと単純で、反日の矛を収めようとした途端に支持率が落ち始め、尻に火がついただけではないか。何せ歴代大統領は退任後殺されたり投獄されたりする国である。加えてアメリカからも駐留米軍のコスト負担の5倍増を要求されて切れてしまったのだろうか。しかし、この決断は国家君主が国益の為に下したものとは到底思えない。
これまでも「盗人猛々しい」演説をはじめ、文在寅大統領は経済やマーケットの観点からはいつも最悪のタイミングで最悪の選択肢を採ってきた。それはこれまでのウォンや株価の下落が証明している。だからこそ「日本との関係修復」に舵を切ったのではなかったのか?一種の錯乱状態である。これでは状況が更に悪化しても株や為替を支える有効な術がない。
「損切丸」は、「お金のマニュアル」の投稿からnoteを始めたが、書くきっかけはあまりにも日本人がお金を損していること、そして「清貧思想」が根本原因の1つとなっていることだった。「お金が全てじゃない」と理想だけ掲げても駄目、「全ての事にお金がかかる」、と言う趣旨だったが、文在寅大統領はまさにその「清貧思想」の権化のようで、利に聡いイメージの韓国人とはかけ離れている。国民も生活があまりにお金、お金で窮していたので、「夢と理想」に傾倒していったのかもしれない。
そう、「全ての事にお金がかかる」。ここからは「専門」であるマネーマーケット=銀行間の資金取引の観点から、特にドル資金について少し意見を述べていきたい。実務経験からの推論にはなるが、ちょっと生臭い話にも踏み込むので、この先はぜひお読みになりたい方に。
おそらく-このGSOMIA破棄の報に青ざめているのは韓国の銀行の経営者達だろう。何度か触れているが、ドル資金の調達というのは国際業務を営む銀行に取っては生命線である。しかも韓国は輸出立国でそのほとんどはドル建決済。ウォンとドルを替えてくれるカウンターパートがいなければ国は成り立たない。
まずはド本命のアメリカ。今回の件はトランプ大統領の顔に後ろ足で砂をかけたようなもの。「韓米同盟は別」などと都合のいいことだけ言っているがただで済むはずがない。安全保障上の同盟国でなくなることの重みは相当なはず。アメリカの銀行にしてみれば、自国の利益を侵害する国などに気安くドルなど貸せるはずがない。ましてや銀行間の資金取引は無担保が主流なので韓国の銀行に対する貸出枠が真っ先に切られるだろう。このあたりの非情さは現場で何度も見てきたが、米国の動きはとても早くて無慈悲。原油があるから大丈夫、といわれていたベネズエラの今の惨状を見ればご理解頂けると思う。
事情は日本も同じであるが、アメリカに比べるともう少し「武士の情け」がある分、動きはそれほど早くはない。ただ、安全保障の仲間内から外れることの重みは同じで、ムーディーズやS&Pなどの格付けに関係なく、韓国に対するカントリーリスクを上げてくるだろう。今回のGSOMIA破棄は深刻度の度合いが今までの事象とまるで違うのだ。
理屈はシンプル。近い将来北朝鮮と統一される可能性の高まった国や銀行に無担保で資金を貸せるだろうか?
日本の銀行にはどこも「国際審査部」という部署があり、他国向の与信リスクを管理しているが、そこでもリスクの上昇は強く意識されるだろう。彼らは金融庁や日銀とも密に連絡を取っており、情報収集しながら動いている。「あ・うん」の呼吸というやつである。
その中には無担保の資金枠の他に、当然与信行為としての「信用状」も含まれている。ネット界隈では「金融制裁!」「信用状廃止!」と喧しいが、そんな事を国が大見得を切って「報復」しなくとも、事は静かに進むだろう。新規やロールオーバーの与信を順次止めていくだけである。
次にドルを調達する手段としては無担保ではなく「有担保」=担保付の取引がある。ベーシススワップと呼ばれる市場があり、ある通貨を差し出す代わりに別の通貨を交換で6か月とか1年とか借りることができる。銀行に取っては受け取った通貨が担保となるため、貸倒れリスクが格段に減るので良く利用される。但し下落している通貨の場合、担保価値が減じてしまうため敬遠されることも多い。
8月2日の投稿でも解説したが、通貨や銀行の信用状態により市場では「ドルプレミアム」が上乗せされる。日本が金融危機の時は+100~+200BP=1~2%ものプレミアムを要求され、本当に大変だった。それでなくてもドル調達力の弱い韓国の銀行が、今回アメリカや日本からお金を引き上げられたらどうなるか。一気にプレミアムは拡大するだろうし、相手がいるうちはまだ良くて、場合によってはウォンを受け取ってくれないケースもあろう。
それから「韓国外貨準備の怪」で推論したが、韓国の銀行のドル支援のために外貨準備が貸出として回っている可能性があり、もしドル売り介入にドルが必要なら銀行からドルを回収しなければならないが、それは銀行のデフォルトを引き起こす懸念がある。まさに八方塞がり。同じようなパターンで過去2度も通貨危機を起こしているが、経験から何も学んでいない。まあ、「積弊精算」などといって前政権のやったことを全部ひっくり返してきた国であるから、致し方ないとも言えるが...。
もう1つ言えば、サムスンなどは売り上げたドルをウォンにはかえずドルのまま保持しようとするだろう。ここでもウォンの買い手は減少する。企業存続のために最悪国外脱出を計るかもしれない。実需でウォンを買ってくれるのは、熱心に韓国旅行をする日本の韓流ファンぐらいだろう。これではウォン買い介入したくても、あまりに分が悪い。
「覆水盆に返らず」。韓国は既にレッドラインを超えてしまった。厳しい事をいうようだが、半導体産業など経済力を失った韓国を中国や北朝鮮が喜んで受け入れるだろうか。筆者は疑問だ。ましてサムスンなどが国外へ脱出してしまえばなおさらだ。せめて戦争にだけはならないよう、強く願う。