「レンジ相場」で仕掛ける第2の「キャリートレード」 ”ボラティリティー・ショート”
何だか相場が急に大人しくなってきた。ドル円に関しては「介入」警戒で上値に蓋をされている様相だが、まあおそらくユーロ円、ポンド円辺りにスイッチ(入替)しているのだろう
「キャリートレード」というと「金利差」と考える人がほとんどだが、実は「時間」に賭ける方法もある。それがオプション(買う権利・売り権利)における ”ボラティリティー・ショート” 。簡単に言えば相場がおとなしくなって「レンジ取引」に移行する時に「時間」を買う(売る?)戦略だ
簡単な例を挙げてみよう
こういうのを*「ストラドル」の売り( ↑ 標題図)というが、向こう3ヶ月間ドル円が「レンジ取引」で膠着すればオプション料+10,000ドル ≓ 157万円が丸々手に入る。逆に相場が大荒れになって「円安」あるいは「円高」に振れれば損を被る。損益分岐点(収益がゼロになるポイント)はそれぞれ@171円、@139円。まさに「時間」の勝負
ついでに言うと相場で一度でも「行使価格」を付けると権利が消滅する「ノックアウト・オプション」。これが厄介極まる代物でオプション料を安く出来るメリットはあるが、「行使価格」が付いた、付かないで壮絶なバトルが繰り広げられる。@170円ノックアウト・コールなら権利を消滅させたい売り手とそれを防ぎたい買い手が@170円手前でバチバチにやり合う
ただ "オプションの売り” がいつも儲かる訳ではない。こう言うポジションが溜まればドル円や日経平均の値がぶっ飛ぶ要因にもなる。どちらかに相場が飛べばオプションの売り手の損は際限なく拡大するからだ。だから「レンジ相場」ではオプションの動きは要注意。密かにマグマが溜まっていく
「円安」が「円高」を呼ぶ ー 「キャリートレード」だって本当は怖い|損切丸 (note.com) 等でも書いたが、「キャリートレード」は万能ではない ー 非情の「ドル円相場」|損切丸 (note.com) 判断を誤れば損が出るし、目先の儲けに拘っている分大やられする可能性もある。「高金利」を狙って米国債やハイイールド債で多大な損失を被ったシリコンバレー銀行やシグチャーバンク、それに日本では地銀や農林中金もそう
なるほど、理屈はそうだろう。だが仮に今日ドル円が1日で▼5円も下がったら本当に冷静でいられるだろうか。ドル円を100万ドル買って1日137ドル≓21,500円貰うための取引で時価が▼50,000ドル≓▼785万円。証拠金の有無を含めて普通の人は「損切り」させられる。それが相場。その圧力に耐えきるには十分な "種銭" と ”鉄の心臓” が必要だ
経験的に言うと「大相場」の前には必ず「レンジ相場」がある。相場が膠着するとどうしてもその事が頭を過ぎる。判断が難しいのは**どれだけの期間「レンジ相場」が続くか
「AI相場」で回転が速くなっている現代のマーケットでは「金利差」「時間」を買う「キャリートレード」は段々効かなくなってくる。「マグニフィセント7」も「新NISA」の「オルカン」(オールカントリー)やS&Pも「お金」が入ってくるうちは相場が上がるがそれもどこかでピークは打つ
「ドル円」然り。確かに今 「円」を買う理由が見当たらない|損切丸 (note.com) それでも相場の "転換点" は必ずやって来る。問題はそれが音もなく始まっているケースがほとんどである事。日本の「バブル」もそうだったが、後から振り返ればそこが "転換点" と判るが現在進行型で「ここがピークですよ」なんて教えてくれる人はいない
「インフレ」もそうだが 「悪魔」は静かに忍び寄る。- インフレ編。|損切丸 (note.com) 。特に今のような相場で ”ボラティリティー・ショート” が流行る地合は危うい。何かが起りそうな "デジャブ" (既視感)。筆頭はJGBだろう。世界を揺るがすポテンシャルは十分にある
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