米国経済本当は強い?弱い?
「強い」 - ことアメリカの「雇用」については統計が出る度にそう唸ることがもう1年以上続いている。米経済のベース、特に「需要」が強いこともあるが、やはりベビーブーマーの抜けた▼4,000万人の ”穴” はなかなか埋まらない。だから「人件費」をコアとした「インフレ」基調は強いまま
前稿.「逆イールド」が奪う「銀行」の体力 - 「これ以上金利上昇に耐えられない」 ≓「過剰流動性」の "禁断症状"|損切丸 (note.com) で「銀行」の "悲鳴" について触れたが、残念ながら「早期利下げ」の神風は吹きそうもない。米国債は売られ "当確" と思われてきた5月「利下げ」シナリオも風前の灯火。オフィス不動産や関連証券には逆風が続く
これで商業不動産向けの融資には焦付きが出て、最悪中堅クラスの銀行がどこか破綻するかもしれない。「ドル高」も米製造業には逆風だろう。だがそこは "Crush & Build" の国・アメリカ。リーマンショック後もGAFAが台頭したし、その後生成AIなど新しいテクノロジーも育ってきている。今日(2/2)に限って言えば 「金利」が低下したのに「ナスダック」が売られた - "慌てず勇気を持って挑む" 2024年|損切丸 (note.com) を嘲笑うかのように金利上昇にも関わらずナスダックは反発している
筆者が1つ確信しているのは やっぱりアメリカで燻る「インフレ」の ”種火” 。|損切丸 (note.com) パウエル議長も述べているように「利下げ」は容易ではない。米国債の売りで「過剰流動性」の "止まり木" = WTI(NY原油先物が下落したように、本気で「インフレ」を止めたければばらまいた100兆ドル(≓京円)単位の「お金」を回収するしかない。それも日米欧3極で足並みを揃えなければ効果は薄い
「逆イールド」「低金利」で「銀行」から "悲鳴" が上がっており、国債を中心に金利に下方バイアス(日本は上方バイアス)がかかるのは仕方が無いがそれが実体経済、特に「インフレ」を正確に反映しているとは限らない
内部にいる人間ならもう気が付いているはずだが世の中から「銀行」の居場所はドンドン無くなってきている。ほとんどの業務はネットで為されるようになり必要な情報も得られる。まず「営業職」が消えると言われており、窓口テラーも最小限になる。当然路面店舗も減る。暗号資産の市場動向は別にしてブロックチェーンは送金業務を奪い「銀行」がない世の中はもうすぐ
だから「銀行危機」に関しては各国ともG-SIFI(Global Systemically Important Financial Institutions、グローバルなシステム上重要な金融機関)に影響が及ばないようであれば、おそらくプルーデンス政策に基づく「量」の調整に留める。拙速な「利下げ」もしないし「利上げ」が遅れる事もない。「銀行」を代替できる方法は多様化しており、「金融」≓「経済」ではなくなってきている。今は「インフレ」抑制が最優先
いわゆる「ソフトランディング」(軟着陸)についてはFRBは「利下げ」を急ぐ理由がなくなった。アメリカに比べ「銀行破綻」慣れしていない日本では「利上げ」を慎重に進めるしかなかろう。感情的になり易い国民だけにあおぞら銀行のような事例が続出するとパニックになる
不良債権処理については欧米は粛々と「損切り」を続けるだろう。必要があればFRB、ECBは「量」で対応してくるはずだ。問題は「巨大な灰色のサイ」。こちらは巨額ではあるがリーマンショックのような世界的広がりは想定し難い。現在時間を掛けて行われているように「お金」を徐々に退避させデカップリング≓「切り離し」が続くだろう
*「インフレ」「過剰流動性」についてはFRB、日銀とも着実に対処していく構え。日銀は「国債買取オペ」を漸減させ、少なくともこれ以上マーケットに「お金」を供給する事を止める方向に向かう。FRBも最大月▼950億ドル「テーパリング」を続ける見込なので、徐々に効果が出て来るだろう
気掛かりなのは「利下げ」に前のめりなECBと もう「失敗」できない日銀。|損切丸 (note.com) そこは結局FRBについていくことになる。個人的には 10年国債は「実質金利 "0"」を目指す?- 「理論」「合理性」に基づく政策運営を|損切丸 (note.com) を変えていないので「金利」は高止まり(日本では上昇)と見ているが、さて。激しい相場が続きそうだ