"リアル" な「金利上昇」。ー 米2年国債@0.30%越え、5年@1.00%越え。
「損切丸」としては、とりあえず ”エリオット波動的” 「金利上昇」シナリオ ↓ に沿ってマーケットが動き出しており、ほっと一息。「中国恒大ショック」という「灰色のサイ」(≓普段はおとなしいが暴れ出すと手がつけられない、の意)が現われたものの、米国債金利上昇シナリオを揺るがすような事態にはなっていない。
<エリオット波動の3つの原則>
ルール①:第2波動が第1波動の安値を割らない
ルール②:第4波動が第1波動の高値を割らない
ルール③:第3波動が上昇波動のなかで最も短くならない
<解釈1>
(第1波動)2020年4月@0.50%台 → 2020年11月@1.14%に上昇
(第2波動)2021年12月に@0.92%まで低下
(第3波動)2021年3月に@1.74%まで上昇
(第4波動)2021年7月に@1.21%まで低下
(第5波動)@2.00%まで上昇 =今回の上昇波動
<解釈2 ー 長期的波動>
(第1波動)2020年4月@0.50%台 → 2021年3月@1.74%に上昇
(第2波動)2021年7月に@1.21%まで低下
(第3波動)2022年7月~に@2.40%まで上昇 =今回の上昇波動
(第4波動)@1.80%まで低下
(第5波動)@3.00%まで上昇
昨日(9/28)~今日の動きとしては、10年米国債の@1.50%越えもそうだが、特筆すべきは米国債2年@0.30%越え、5年@1.00%越え。筆者は「資金繰り」を担当していた関係上、専門は長期金利より短期金利だ。短い期間の金利ほど "思惑" や "多数決" では動かず、より直接的な "物理的負荷" がかからないと変動しない。その最たる例が「利上げ・利下げ」である。
米国債も2~5年債の金利上昇が顕著になっており、 "リアル" がどんどん近付いてきているのがわかる。「利上げ」をシミュレーションすると:
①:FRBは2022年央に「利上げ」開始 → 年末@0.50%
②:従来のFFレートの最高到達点@1.50% → @1.75%(5年後)
「利上げ」局面の特性としては、シナリオがどんどん前倒しになること。中央銀行が「利上げ」に舵を切った時は、既に「インフレ」の証拠が出てきている事がほとんどで、市場予想より対応が早まるケースが多い。例えば直近だと、原油価格のWTIが@75ドル台に上昇し、*中国では電力不足による「停電」が起きている。
*表向きは「 "脱炭素" の目標達成のため」と主張してるようだが、どうも雲行きが怪しい。エネルギー需要増大に対して供給が逼迫しているのではないか。国内の車も急速にEV化しているし「デジタル人民元」発行のためには膨大な電力が必要なはず。おまけに来年2月は「北京オリンピック」だ。中国の「電力問題」は二頭目の「灰色のサイ」かもしれない。
「インフレ」に関しては、特に "需給面" からブラジルやトルコ、レバノン等の「高金利国家」を筆頭に、日中米欧でも続々と ”状況証拠” が揃いつつある。その動きにつれて「お金」の "需給" もタイト化、 "リアル" な金利上昇が起きている。今年の「金利高値」は3月の米国債10年@1.74%、30年@2.45%だが、2~5年の金利上昇を伴っている今回の方が遙かに潜在エネルギーは大きい。 "スペック"(投機)ではなく”本物” だ。
それでも「実質金利」は世界中でまだまだ低く、未だ株等の資産市場に悪影響を及ぼすまでは至っていない。 "変化" が起きるとすれば、↑ <解釈1>(第5波動)@2.00%に近付く過程になるだろう。
1つ気になるのは中国の「灰色のサイ」だが、これも「インフレ」という観点から「金利上昇」の阻害要因にはならないと推察する。理由としては:
①日本のバブル崩壊同様、一国の不動産問題は国外に波及しにくい。実際「デフレ」に陥ったのは日本だけで、他国では物価上昇が続いた。
②「安価な商品」を大量に供給して「ディス・インフレ」の起点になったのは紛れもなく中国(実は1980年代の日本も同様)。そこからの供給が減る事は他国の「インフレ」を阻害しない。
③そもそも中国の「お金」が逼迫しており、金利は下がりにくい。
なので、筆者の金利上昇シナリオは「灰色のサイ」とはほぼ無関係に進むと考えている。25年間の経済循環で考えると、2015年に「ディス・インフレ」から「インフレ」に転換したサイクルは2040年まで続くことになる。その時筆者は@76歳...。果たしてこの世に生き残っているのだろうか(笑)。今@300円の牛丼が@1,500円とかになっていなければ良いのだが。
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