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「投資」と「ギャンブル」- "現実的選択" の繰り返し
”売りと買いの2択しかないのにどうして損ばかり出るんだろう? いっそのことサイコロでも振って出た目で売り買いしようかな...”
FX(為替証拠金取引)を始めた友人がこう嘆いていたことがあった。内輪で「損切丸」のような話をしていて相談を持ちかけられた格好だが、同じような思いに囚われている方も多いかもしれない。 "確率2分の1" の勝負のはずが気がつけば3:7とか2:8で負けが込む。一体何故なのだろう
例えば「丁半博打」。サイコロを10回振って「丁」が5回出るとは限らない。9回「半」だからといって10回目が「丁」とも限らない。聞くところによると「壺振り」は「丁半」を意図して出せるから、賭ける側との「心理戦」なのだという。そう考えると "確率2分の1" ではないことが判る
その点は「投資」も「ギャンブル」と同じ側面はある。違いと言えば:
1.参加者が何万人もいる
2.経済指標や要人発言など「材料」が圧倒的に多い
3.FX、株、コモディティ(商品)等市場間の相互作用がある
だからみんなテレビや新聞、あるいは相場のYouTubeチャンネル追ったりする訳だが、問題はそのほとんどが "相場の核心" をついていないこと。いや、そもそも "相場の核心" ≓「正解」を他に求めること自体間違っている。多くのメディアが自分たちの「都合」で動いているからだ
賭ける側との「心理戦」という意味では「投資」も「ギャンブル」も同じ。FXでも株でも「自分」が売ったり買ったりすれば必ず逆の取引する「相手」がいる。「相対取引」は基本 "ゼロサムゲーム” なので 奴らに儲けさせるな!|損切丸 ということになる。蟻(個人)が象(ヘッジファンド(HF)や銀行)に立ち向かうことになるが、それでも勝ち筋はある
鍵は "現実的選択" 。相場はこの繰り返し
「壺振り」もHFも仕掛けてくるのは「心理戦」。*理屈や合理性では無く ”儲けたい” あるいは ”損したくない” という「感情」に訴えてくる。これにハマッってしまうと売り買いの理論などもうおぼろ。 ”買えば投げ、売れば踏み” の繰り返しになる。この時点で既に "現実的選択" ではなくなっている
*人気漫画「カイジ」の中で「鉄骨渡り」というちょっと恐ろしげな話が出てくる。2つの超高層ビルのてっぺん付近に幅10㎝ほどの「鉄骨」を渡し、見事渡りきれば数千万円の賞金が得られるという「ギャンブル」。平地であれば簡単に渡れるはずの「鉄骨」も、踏み外したら落ちて即死という状況が平静を失わせる。①先に行けば行くほど幅が狭くなる②「鉄骨」に手を触れると高圧電流が流れるといった "仕掛け" もあり、渡るチャレンジャー達には吹いていないはずのビル風や「鉄骨」が揺れているという幻覚が襲う
これは麻雀などもそうだが、負けても▼5万円の勝負なら平気だが、▼100万円の勝負では ”手が震える” 。「投資」なら賭けるリスクの対価の大きさになるが、実はこれが肝要。無くなって生活に困るような金額を「投資」=リスクにさらすのは ↑ の「鉄骨渡り」のようなもの。 ”儲けたい” ばかりが先行して最初から "現実的選択" ではないのである
マーケットでは "仕掛け" も1つや2つではない。「ウォール街」等の ”胴元” はその上部組織の「国」とも繋がっており、あれやこれや "仕掛け" てくる。「国」の借金が4京円強まで膨らんだ今なら "大仕掛け" は「インフレ税」。これはアメリカもヨーロッパの日本も一緒。あとは賭ける人=国民を生かさず殺さずどう利用するか
ここに本来 "FACT" (事実)を伝えるべきメディアが加担する。だからどうしても「感情」に訴える記事が増える。逆に言えば**記事を読む側は「心」を乱されないように「感情」は排除して "FACT" を追い求める姿勢が必要になる。そうしないと "現実的選択" が出来なくなる
** ”相場が上がったり下がったり気が気じゃない。だから投資は全てAIにお任せ” 。こういうテレビCMが流れているが、そういう人は「投資」なんてやめておいた方が良い。「損切り」が必要な局面で頼みの「AI」が "壊れたナビ" のよう黙りこくってしまうのは目に見えている。1度や2度上手くいっても ”胴元” に最終的にはむしられる結果になるだろう。「感情」を揺さぶられないようにするには「リスク」と真剣に対峙する覚悟が要る
"確率2分の1" の勝負ではない "からくり" が少しは感じて頂けただろうか。肝心なのは自分の「お金」の事情を熟慮した上で何を目的として「投資」するのか。e.g., ①「インフレ税」を回避するために「預金」を減らして株や不動産を買う②海外を生活拠点にするなら保有する「円」を売って外貨投資する。強制「損切り」にならないよう掛け金を調整する必要もあろう。決めるのは「国」でも「AI」でもない。あなた自身の "現実的選択" になる
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