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「トランプ2.0」の衝撃Ⅲ - アメリカは「鎖国」に向かうのか?

 「トランプ2.0」の衝撃|損切丸 続・「トランプ2.0」の衝撃|損切丸 の続編

 ”中国製品に10%追加関税 メキシコ・カナダには25% トランプ氏”

 いよいよ本格的に始まったな、という感じ。日経平均は昨日(11/25)の急騰の反動などでは無く「トランプ2.0」で▼700円も急落。もっとも8年前の相場を知る人にとっては驚くようなことではない

 大統領選前に「60%!」と吠えていたから大したことはない、との感想も抱くが、日本に取って問題はメキシコの25%の方。大手自動車企業等が軒並み工場を建ててアメリカ向けに輸出しているのだから当然業績にはマイナスの影響が出る。市場の反応はそういうことだろう

 興味深いのはFX(Foreign Exchane、外国為替市場)の動き。FRBによる「利下げ」から「ドル安」が進んでいた市場が一変、今度は「ドル高」に反転している。これはどういうことなのか

 輸出入の「資金フロー」を考えれば一目瞭然。関税の影響でアメリカへの輸出が減るなら日本も中国もヨーロッパも代金の「ドル」受取が減る(≓貿易黒字減少)。その分*FX市場では「ドル売り」が減る事になり「需給」が変化する。極めて単純な理屈だ

 そんな中面白い動きを見せているのが「ドル円」。こちらは逆に「円高ドル安」に振れている。元々「円安」が行き過ぎているという事情もあろうが、前稿.マーケットでは必ず「逆」をする奴が出て来る - 結局この世は「ゼロサムゲーム」|損切丸 でも書いた「ドル円」「日経平均(先物)」の自動売買プログラムが動いているからだろう。今日(11/26)の主役は「日経平均」「ドル円」が連動して動いていると推定される

 ではアメリカは「鎖国」に向かうのか?

 食糧・エネルギーを自給できる彼の国が自動車や工業製品まで自国産でやっていくとしたら日本は完全にお手上げ「103円の壁」とかごちゃごちゃ揉めている余裕などなくなる。そう言う意味ではまさに死活問題なのだが、果たしてリアリスティック(現実的)なのか?

 結論:そんな事は無理

 そもそもどうしてメキシコやタイに工場を作るかといえば、人件費等生産コストが低いから。同じ理由でGAFAだって拠点を中国に持っていたりする。これが物価もお給料も日本の倍近いアメリカで全部生産したら、車もスマホもとんでもない値段になる50万円もするiPhoneを誰が買うだろうか

 そう言う観点からはこれまでの「ドル安」の反動はあろうが、一定程度修正が進めば落ち着いてくるだろう。あの "御仁" が意外とリアリスティックなのは筆者のような "経験者" は熟知している。米国債の急落(金利は上昇)が株価にマイナスと見るや健全財政派の新財務長官も任命して市場を鎮めに来る辺り、いかにもの人選である

 「関税」は「ディール」の ”札” に過ぎず、相手の譲歩を引き出すため "吹っ掛けている" = ”ブラフ” 。最終的にはたくさん米国産の高額商品(ミサイル等)を買い取らせて貿易赤字を埋めたいのだろう。8年前もそうだった(だから直情的にあまりジタバタしない方がいいかもしれない)

 「ドル高」による「自国通貨安」で1つ心配なのが韓国「ウォン」もいつの間にか「円」に匹敵するほど売られているし、KOSPI指数を見ても元気がない。日本以上にお隣の大国の大不況の影響をモロに被っており "危機" が密かに進行してるように映る。日本ほど "蓄え" がないだけに心配

 それから「自国通貨安」で言えば、あまり見ている人が多くないかもしれないが「ルーブル」。筆者は安全保障に詳しくないし戦場を直接見ているわけではないので「戦争」の行く末がどうなるかは定かではないが、**「お金」の側面だけみればこれは立派な "危機" 。「完敗」といっていい

 **関連して目立つのは「原油安」でこれはあの国の生命線あの "御仁" のことだから噂された電話会談で「原油を50ドルにするぞ!」とでも脅している可能性はある。実際1998年のデフォルトは@20ドル台に低迷した原油価格が引金。今回は「戦争」で財政が逼迫しており@50ドルでも十分

 良いか悪いかは別として政治もマーケットも2025年からは「剥き出しの本音」が跋扈することになる。今はその序章。日本の現首相が「綺麗事」ばかり述べるタイプなので若干心配。金融政策で言えば「日銀は異常な金融緩和を今すぐ止めろ!」とでも要求してきそう(筆者はそんな予感)。「円安」は不快に思っているはず。あらゆる事態に備えておく必要があろう

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