続・「円キャリートレード」の代替 - 「レンジ取引」の功罪
「円キャリートレード」の代替 - 「オプションの売り」も選択肢の一つ|損切丸 の続編
日銀の「利上げ」を通過してほっとしたのもつかの間、エヌビィデアの株価が▼17%も急落。安価な中国製の生成AI ”DeepSeek” が半導体業界の業績を揺るがすという。これを受けて市場がざわついている
AIに関してはほとんど素人ながら色々な記事を読んでみたが、そもそもこの生成AI、昨日今日突然出てきたわけではなくダウンロード数が増えたことで取り沙汰されたようだ。この市場の動きはどうも怪しい…
”安価” という点についても多くの疑義がありそう。これはEV(電気自動車)もそうだが裏で政府が多額の支援を行ってる可能性があり、本当に ”安価” かどうかも疑わしい。更に情報を抜かれる可能性がある半導体が世界基準になるかについて疑問を投げかけている記事も散見する
この情報は「ウォール街」に利用されたのではないか?
元々540兆円なんて途方もない時価総額から買われ過ぎを指摘されてきたエヌビィデア。このままだと上が詰まって買えないので調整が必要だったという意見も多い。S&Pの「イールドスプレッド」(10年米国債金利-株配当率)も金利低下と相まってこれでやっと「ゼロ」>平均偏差▼3%程度。時価総額が▼90兆円減っても不思議のない相場ではあった
それから「日経平均」について。従来から指摘されてきたが半導体関連銘柄の比重が高すぎて ”エヌビィデアがくしゃみすると日経平均が風邪をひく” ような状態。値動きが激し過ぎてこれではエヌビィデアを単体で買っているのとあまり変らない
標題添付の「日経平均」チャート ↑ を改めて見ると、昨年7月に付けた@42,000円台とその後日銀「利上げ」後に8/5につけた@31,000円台を除けば既に完全な「レンジ相場」が出来上がっていることに気づく
筆者がこんな note. を書くまでもなく、*①上値@40,000~42,000円(コールの売り)+②下値@35,000~38,000円(プット売り)のレンジバリアー型「ストラングル」の売りは積み上がっている可能性が高い。「円キャリートレード」の代替はもう始まっている
だがこれは諸刃の剣でもある。前稿でも指摘したようにあくまで「レンジ相場」が必要条件なので、例えば今回の急落で@38,000円を下抜けるようなら①オプショントレーダーのデルタヘッジ外しと②オプション売り手のヘッジ売りで相場の売りを急加速させてしまう。今のところ下値は止まっているがそういうリスクが常につきまとう。ひょっとしたら昨年8/5の急落もオプション(プット)が主導した可能性がある
これは「ドル円」も似たようなポジション組が想定され、だから1日で2円も3円も動いたりする。最近は3ヶ月なんて設定ではなく1週間とか1日とかのオプションの叩き合いもあるそうだから「ゼロサムゲーム」ここに極まれり
前・K財務官のインタビュー記事も読んだが、あの世代からはこういうオプションのポジションの積み上がりや「オプションスマイル」=コールやプットに偏って歪んだ波形も研究しているようだから、日銀共々情報は共有されていよう。今回の「利上げ」が上手くいったのもその功績かもしれない
これらの言葉を聞いてピンときたあなたは間違いなくJGB(日本国債)トレーダーもしくはその関係者(苦笑)。「オプション売り」戦略は何もヘッジファンドの専売特許ではない
「異次元緩和」前から低金利で運用難に苦しんだ邦銀勢が編み出したのがこの「カバコー」「ターバイ」。例えば@0.5%の10年JGBを買う時に@0.2%のコールオプションあるいは@0.7%のプットオプションを売って受け取ったオプション料で 合成利回りを上げる。**その後金利が上がっても下がっても大量のJGBを買い続けるからこそ成り立つ極めて合理的戦略だった
いずれにしろ今回の相場を見ていて改めて思うのは 奴らに儲けさせるな!|損切丸 。ヘッジファンドも「ウォール街」もあの手この手を使って人の "懐" に手を突っ込んでくる。日本で真っ先にターゲットになりそうなのが「新NISA」であり、ここは 続・さあどうする?「ドル建資産」 - 「インフレ2.0」がやって来る!|損切丸 。 ”奴ら” の狙いを見定めて裏を取れるか。自分自身で考えなければいけない事は多い