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「利上げ」は本当に止まるのか? ー 戸惑う国債市場。
昨日 旅行に行くなら「日本」。ー 貿易赤字解消 → ≓ 「円安」に歯止め?|損切丸 (note.com) で「円高」転換か、とコメントした途端に、あっさり米国債の売り(金利上昇)で吹き飛ばされた。相場は難しい。
米新規失業保険申請件数 22.8万件 予想 24万件 前週 23.7万件
6月フィラデルフィア連銀製造業景況指数 ▼13.7 予想 ▼14 前月 ▼10.4
6カ月先業況予測 +29.1 6月 +12.7
きっかけは米新規失業保険申請件数の減少(initial jobless claims ↑ 標題グラフ)。雇用の回復→「利上げ」再開を想起させた。この2年間煮え湯を飲まされ続けてきた金利トレーダーにはまだパラノイア(被害妄想)も色濃く残る。ヘッドラインが弱かったフィラデルフィア連銀製造業景況指数も6カ月先業況予測を見ると米景気の急回復を示唆。金利低下 → NYダウやナスダックの反発に沿った動きでもある。
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テスラやネットフリックスの業績が振るわなかった事でナスダックの下げがきついが、元々金利上昇には脆弱。この辺りは米国債市場との神経質な綱引きが続くだろう。
さてこれを受けてポンドドルには売り圧力がかかり、ドル円は@140円を踏み越えてきた。貿易黒字への転換で「円売り」圧力は幾分和らぐだろうが、最終的には日銀次第。異常に低い「実質金利」をまだ放置するのか。
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タイミング良く日本の6月CPIが発表。物価は下がるどころかジワジワ上がり、GOTOやエネルギー関連の補助金効果を除けば実態は+5%に近い。
6月CPI +3.3% 予想 +3.5% 前月 +3.2%
コアCPI +3.3% 予想 +3.3% 前月 +3.2%
(参考)日本経済の年央試算(内閣府):
2023年度の消費者物価(総合CPI) +2.6% > 1月試算 +1.7%
2022年度実績 +3.2%程度 > 年央試算 +2.6%
面白いのは内閣府の試算が日銀の「+2%程度」という予測から上方乖離してきた事。前政権まで司令塔として絶大な力を誇ってきた内閣府。政府からの「利上げ」お墨付きとも見做せるが、さて決定会合で何が飛び出すか。
日銀法第4条 ↓ に照らせば最低でもCPI見通しの引き上げは不可避。もう「失敗」できない日銀。|損切丸 (note.com) だけに植田総裁は嫌がっているが、ひょっとすると「YCC廃止」まで踏み込むか。JGB市場では警戒感が消えていない。政治が介入する以上、円金利に関しては常にどんでん返しがある(経験者は語る。苦笑)。
第四条 日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。
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「XX政権に殺される」「鬼のXX政権」
表面的には平静を装っているが、ネットを中心に「円安」「インフレ」を放置する政策に怨嗟の声は広がっており、内心は穏やかではなかろう。物価動向を見る限り、少なくとも「マイナス金利」と「YCC」を止めない理由は見当たらない。あとは財務省次第だが、今のままでは「増税路線」も続けられなくなる。納税者を潰してしまっては "回収" もままならない。 "生かさず殺さず” のために「利上げ」を認める可能性もある。
残念ながら日本人はほとんど株を持っておらず、せっかくの日経平均の急騰も潤っているのはほんの一部。おいしい所はほとんど海外に持っていかれている。これは平均価格が1.2億円を超えた東京23区のマンションも同じ。「貯蓄から投資へ」などと旗を振ってみても ”笛吹けど踊らず” 。日本の小市民は目の前の「お金」の方が大事。
問題は大量の "票" を持つ年金生活者だ。これから年金給付を減らして医療費負担を上げようと画策しているのにこのままだと選挙でひっくり返る。政治的にも「円安」「インフレ」を止めて預金に付く「金利」も少し返してあげる必要があろう。
今の日本の家計はドル円=@150円以上の「円安」には耐えられない。為替介入のような小手先対応では持続効果は薄く、最終的には「実質金利」を欧米並みに引き上げる必要がある。先手を打って動く覚悟が現政権・日銀にあるか。7/27、28の政策決定会合が少し面白くなってきた。