押し寄せる「利下げ」の "波"Ⅲ ー 「金利」の ”流れ”
押し寄せる「利下げ」の "波" |損切丸 (note.com)
続・押し寄せる「利下げ」の "波" ー だが長期国債の「需給」は...|損切丸 (note.com) からの続編
注目の米CPIが予想を大きく下回った。大統領選が迫っている事も頭の片隅にはあったが「金利」の世界ではこういう事がままある。大事なのは ”流れ” 。とにかくこれで9月「利下げ」開始がより "リアル" になってきた
「金利」的に注目すべき点は10年超の米国債金利が相対的に下がっていない事。いわゆる「スティープニング」=長期金利>短期金利が進んでおり、マーケットの常識的には「インフレ」「通貨安」を示唆する。その中には当然「もしトラ」リスクも織り込んでいる
これを受けて堰を切ったように「ドル円」は@157円台まで急落( ↑ 標題グラフ)「通貨危機」の "芽” |損切丸 (note.com) 的観点からはほっと一息だが、いつものように「AI」は "押し目" で「円売り」を指示。@159円手前まで買い戻すなど荒れ模様だ。ただ7月末に日銀の「利上げ」、9月にFRBによる「利下げ」が "リアル" に迫る中、トレンドが変わるかどうか
日銀と共にほっとしているのはECB。これで先んじて「利下げ」に転じた ”賭け” に勝って「中立金利」の@3%に向かっていける。だからドル円ほどユーロドルは荒れていない
本来この ”流れ” を歓迎しそうな米株式市場だが今イチ冴えない。要因の一つとしてドル円の反落で「新NISA」からの資金流入が減るのではないか、という懸念が考えられる。もう一つは「ドル安」に伴う「デジタル黒字」の縮小。だからナスダック ≓ GAFAが売られている
一方日経平均先物はドル円急落に関わらず値を保っており地合の強さを窺わせる。「ドル建日経平均」は@266ドルと2月に付けた@269ドルに肉薄し2021年2月の@279ドルを目指す。こちらも大きな ”流れ” の変化を感じる
「もしトラ」に加えドル円等の「キャリートレード」崩壊リスクはあるものの、影響はせいぜいいくつかのファンドの破綻程度。グローバルに甚大な影響が及ぶ 見えてこないFRBの「利下げ」 ー 「円安」を起点とした「通貨危機」の怖れ|損切丸 (note.com) よりは遙かにマシ。そう言う意味で今回のCPI低下はまさに "絶妙なタイミング”
ここで心配になるのが日銀の ”金利上げたくない病” がぶり返すこと。「失われた30年」も植田総裁が就任してからもずっとそうだったが、いざとなると腰が引ける。そうこうしているうちにドル円が@160円台なんてとんでもない「円安」が進んでしまった。月末の政策決定会合で+0.25%「利上げ」+「国債買入」月▼3兆円減額でトドメをさせるか。そうすれば@140円台への修正も見えてくる。「AI」にとっても新たな「学習」となるだろう
正直「金利差」「ドル高」「キャリートレード」には飽き飽きしていたので(苦笑) ”変化” を望む市場参加者は多いはず。1日▼2銭 ≓「金利差」5%程度のリターンでは▼4円の急落をカバー出来ない。米大統領選を経てマーケットは "次のテーマ" に向かう時期に来ている
日本人としては 「円高」のマグマ|損切丸 (note.com) を期待したいところ。*「経常黒字」が日本へ還流する ”流れ” に変われば日経平均@5万円も満更絵空事でもない
こうなるとあとは "大人" が邪魔しないことに尽きる。日銀の金融政策はその最たる例であり「利上げ」で「上り坂」を示せるか。「財政健全化至上主義」の財務省ばかり見るのではなく真に国全体のことを考えて欲しいものだ。 ”景気は気から” 。今こそこの諺を噛みしめるべきだろう