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続・マーケットは「円キャリートレード」中毒 ー  きっかけさえあれば「金利差」に群がる "飢えた狼達"

 マーケットは「円キャリートレード」中毒 ー 「金利差」以外儲かる術が無い|損切丸 (note.com) の続編

 7月米小売売上高(前月比)+1.0% 予想 +0.1% 前月 ▼0.1% ← 0.0%

  ”巨大地震注意” が解除になったと思ったら今度は「台風」上陸。終戦の日を前に首相が突然退任と文字通り "嵐" が吹き荒れる日本。そんな中マーケットではドル円に一撃。正直注視していなかった7月米小売売上高が予想を上回り米国債が急落(金利は急上昇)、連れてドル円が▼2円近く「円安」に飛んだ。気が付けばもう@150円は目前。完全に虚を突かれた

 これだからマーケットは怖い

 年内▼0.25% × 3回=▼0.75%の「利下げ」見通しは▼0.50%に縮小@3.0%近辺まで下がっていたターミナルレート(利下げの到達点)も@3.5%まで押し戻された

 それにしてもたかだか「小売売上高」1つでこれ程動くのは解せない

 元・金利トレーダー「損切丸」の見解はちょっと違う

 押し寄せる「利下げ」の "波" Ⅳ ー 「お金」の "日本還り" がもたらすもの|損切丸 (note.com) で少し触れたが、日銀が「過剰流動性」を▼100兆円単位で引揚げる中、市場の "揺れ" の中で ”長期金利の正常化” ≓「イールドカーブ」の「スティープニング」(長期>短期金利)が進む、というのが筆者の中期的見方。「米小売売上高」は1つのきっかけに過ぎない

 ブラジルを見ても中国を見てもロシアを見てもインドを見ても「お金」が足りない ≓「実質金利」の高止まりは明白であり、例えFRBやECBが「利下げ」に転じても長期金利はそう簡単には下がらない。ここで日銀が "世紀のテーパリング" ≓「過剰流動性相場」の終焉、なら尚更である。ちなみにトルコやレバノンでは「ハイパーインフレ」が止まらない

 この辺の「お金」の事情はFRBもECBも日銀も熟知しており「金融危機」は防ぎたいのは同じ。だからこそのFRB+ECBの「利下げ」転換であり、日銀が「利上げ」を躊躇う

 今回の「ドル円」の急騰が典型だが、きっかけさえあれば「金利差」に "飢えた狼達" が群がる「LTCM破綻」(1998)から「リーマンショック」(2008)、「コロナ危機」(2020~2021)と、20年以上に渡る「過剰流動性相場」には飽き飽きだがマーケットをぶっ壊すわけにもいかず、結局ある程度の「過剰流動性」は残すしか無い

 ただ今回の「円安」は 「通貨危機」の "芽” |損切丸 (note.com) を孕んでいるだけに質が悪いドル円が@150円に接近してくれば財務省+日銀も某か対処が必要になる。放置すればこれまでの努力が水の泡だ

 それだけに 政治の季節 ー 対「円安」政策の行方|損切丸 (note.com) で次の首相が誰になるかは気になる所。「円安」修正 ≓「利上げ」推進派になればまだしも、「XXノミクス」信者になれば「円安危機」がぶり返しかねない。そこに ”もしトラ” が重なったら…。考えるだけで恐ろしい(苦笑)

 いずれにしろ世界的な長期金利の上昇は不可避、というのが筆者の読み。その "マグニチュード" を小さくするには出来るだけ前倒しで日銀による「利上げ」が進む事が望ましい「政治」に振り回されればろくな事にならないのは歴史が証明している

 今日の相場がそうであったように、NYダウもナスダックもS&Pも、そして日経平均も上昇基調に戻るかもしれない。ただその結果「インフレ」の再加速を招いて長期金利が急上昇すればカタストロフ(相場崩壊)を引き起こす。映画の「タイタニック」のシーンで真っ二つに割れた船体が沈没する寸前、舳先が一瞬上がるがその後急速に沈んでいく姿にだぶる

 「世界恐慌」(1929)も「ブラックマンデー」(1987)もトリガーは「金利上昇」。筆者は何度も酷い目に合ったが 「本物の危機」の時、金利は上昇する。|損切丸 (note.com) 古株金利トレーダーのパラノイア(被害妄想)と言ってしまえばそれまでだが、今回のドル円急騰を見るにつけ 悪い ”胸騒ぎ” |損切丸 (note.com) が消えないまずは「事故」を未然に防ぐ事に尽きる"氷山" が目前に迫っているだけに舵取りが難しいが、FRBと日銀に期待するしかない

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