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はっきりした「ドル建日経平均」戦略 - 注目すべきは「FX」フロー
今日(2/29)の「ドル円」と「日経平均」の動きは興味深かった:
ドル円売り → 日経平均売り
この連関がはっきり出た
ドルベースの海外投資家やファンドにとっては「ドル建日経平均」はまあ当然と言えば当然の戦略。ちなみに現在は@$260.00程度。ここで注目すべきなのは「ドル建日経平均・キャリートレード」とも呼ぶべき「レバレッジ取引」が膨らんでいる事だ。主役はHF(ヘッジファンド)
毎日毎日「収益」「実績」を求められるHFでは目の前で「儲け」が出るものなら遮二無二突っ込む。中でも垂涎なのが「ドル円」の+5%もの「金利差」。FXだけでは上手く儲からないので「日経平均」も絡めてきている
背景としてはS&Pやオルカンを中心とした日本人の「新NISA」があろう。月2,000億円近い「円売り」は餌に飢えた彼らを「キャリートレード」に誘うには十分。加えて海外投資家の日本株買いを加えたのが「ドル建日経平均・キャリートレード」戦略。株とFXの2重取りを狙っている
通常ドルベースの投資家は「ドル円」を売って調達した「円」で日本株を買う。だから本来「日本株投資」は「円高」要因。だが日銀が異様な「マイナス金利」を続けているため「円売り」が止まない。そこで「円」の目減りを防ぐために「ドル円」を買い直すが、ヘッジ比率は投資家によりマチマチ
これに目を付けたのがHF。元々手掛けていた「ドル円」の「キャリートレード」に「日経平均」を合体。配当金と金利差のダブルキャリーを狙う
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今日*急激な「ドル円」売りとそれを追うような「日経平均売り」を見ると、このレバレッジ取引、相当積上がっていて「利食い」が出たと推定できる。「バブル」とまでは言えないが、これが「AI相場」の怖さ。上がる時も一方方向だが下がる時も反動が凄まじい
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今のFRBや日銀が金融政策の変更を行う時に最も気を遣う点だが、市場が機能している米国はいざ知らず、銀行が財務省・日銀・金融庁ばかり見ている ”ヒラメ市場” の日本はちょっと怖い。ましてやほぼ30年振りの金融引締め。まさに 「こわれもの」(Fragile)。|損切丸 (note.com) だ
*ちなみに暴騰しているビットコイン(BTC)とFXには組み合わせ取引はなさそう。どちらも連関無く動いている。税金で痛い目(雑所得扱い)に合った投資家が多かった事もあって日本人はBTCにはほとんど無関心。「損切丸」でも久々に 「過剰流動性」が生んだ "怪物" ビットコイン|損切丸 (note.com) で取り上げたが、あまりの関心の薄さに少し驚いた(苦笑)
高田日銀理事:「2%の物価安定の目標実現がようやく見通せる状況になってきた」
神田財務官のいつもの発言もあったが、今日の「ドル円」を動かしたのは植田総裁の「インフレ」発言に次ぐ髙田理事のこの発言 ↑
清水理事:「2%の物価安定目標の実現について現時点ではまだそうした見通しが実現するような十分な確度は持っていない」
前日のこの発言 ↑ は、おそらくマーケット、特にお膝元のJGB(日本国債)が一方方向に売りに走らないようバランスを取ったもの。いずれにしろ3~4月の「マイナス金利廃止」は既定路線で問題はその先の「利上げ」だ
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筆者が投資銀行業界に身を置いて知ったHFT(高頻度取引、1秒間に数万回の取引を重ねるシステム)の鍵は「買い注文」。株等でいわゆる ”成行の買い” が入った場合、先回り売買して細かく鞘を稼ぐ。回転数が多い程儲かる仕組みだ。言い換えれば常に「買い」にバイアスが働く
だから「買い注文」の少ない「売り」相場では機能しない。というより ”知らんぷり” 。まるで道に迷った時にダンマリを決め込む ”壊れたカーナビ” のよう(苦笑)。「売り注文」を身をを呈して受けるというような人間的な "踏ん張り" などない。つまり "フリーフォール" になりやすい
財務省の為替市場課(為替介入を司る部門)も日銀の市場局もこの辺りは十分理解しているだろう。それだけに「介入」や「利上げ」にかなり神経質になるのも致し方ない。特に「円市場」は ”金利のある世界” を経験したトレーダーが少ない。リハビリには十分時間を掛ける必要はある
とはいえ「AI市場」では凄いスピードで躊躇いもなく「キャリートレード」が積上がる。これはこれで問題。「儲けろ」とプログラムされれば行く所まで突っ走るのが "マシーン" の特性。市場規模の小さいBTCが短期間で暴騰しているのがいい例で「値付け」の根拠が不明な分逆に突っ走りやすい
「天井がない相場も底がない相場も存在しない」
"人” がやろうが "マシーン" が手掛けようが、結局相場は "あるべき値" に戻ってくる。その原則は変わらない。変数はおそらく「スピード」と「タイムスパン」。現代のマーケットでは凄まじい「スピード」で長い「タイムスパン」のラリーが続きがち。まあそれも「損」「得」を繰り返すうちにプログラムの修正がなされ、その優劣が「ゼロサムゲーム」の帰趨を決める
長年やっていて感じたのは所詮マーケットは ”化かし合い” 。生き残るには不要に振り回されず "あるべき値" を求めることに尽きる。まあ、それが難しいわけだが…。筆者が今確信があるのは「インフレ」が粘着質であること。「お金」の価値減少を食い止める努力は、少なくとも「金利」が「物価」に追い付くまでは引き続き必要になる
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