買い向かう「日本人」の「円安デモクラシー」。 ー ”Trend is NOT Friend !”
米株価が大分戻してきた。 "偽りの夜明け” 戦略と判っていながら、ここまではウォール街の目論見通り。まあ米国債も10年金利が@2.0%の大台を前に足踏みするのは十分予想されたので、「商売上手」と褒めておこう。
まとまった金額で買ってくれる「日本人」、特にExodus = "脱・日本" の傾向が強まっている個人投資家には彼らも注目している。実際「対外証券投資」( ↑ 標題添付)を見ると1月最終週~2月第1週にかけて+1兆円近く海外株式を買い越し。おそらくその*ほとんどは米国株だ。
年初からのナスダック指数の急落で ”レバナス" (ナスダック指数に投資元金 × 3倍、5倍などレバレッジをかけた投資信託 )で大やられという話も耳にするが、尚買い向かう驚くべき胆力。** ” Trend is Friend ” (流れは友達)の欧米人からすると理解できない投資手法だ。
この+1兆円が日経平均に向かえば…と残念に思う反面、こんな国難の時に株価の足を引っ張る「金融所得課税」を言い出すなど「財務省による2人羽織」が透けて見えており、20~40代の「日本不信」の根は深い。これではNISAなど何の役にも立たない。
「ブロックオファー」(一定期間特定の価格で株を大量売出)を巡って大手証券会社に捜査が入ったが、昔からの相場を知る者には「何を今更」感が強い。今回は「終値関与」=特定の株式等の終値の引上げ(引下げ、固定)を意図して、立会終了間際に発注し約定させる取引、が問題視されている。
「東証は最後の15分だけ見ていればいい」
バブル最盛期、市場関係者の間ではこんなことが当たり前のように囁かれていた。日中どれだけ下げても「最後の15分」で大量に買いが入り、引けはプラス転換。こんなことが続き、日経平均が7連騰、8連騰なんてザラ。バブル崩壊後「PKO」( =Price Keeping Operation、株価維持政策、Peace ではない。笑)が発動した時も同様。その時は国ぐるみである。
実は欧米にも似たような取引慣行はあるが、***日本との決定的な違いは「投資家目線」である事。つまり「お金」を投じている「個人の権利」( ”利益” ではない)保護が市場の「哲学」となっている。
筆者が生きてきた50年余、政策も相場も常に「供給側」=霞ヶ関、経済団体、「~会」「~連」に立っており「需要側」に立つのを見た事がない。つまり「昭和」モデルのまま。欧米の「個人主義」が絶対ではないが、社会モデルを欧米化させている現状で齟齬が出るのは当たり前。マーケットは最たるもので、20~40代がツケを払わされている。
だがここに来て 「シルバーデモクラシー」に "静かな反乱" 。 ー 「お金」の ”脱・日本” 。|損切丸|note による「円安デモクラシー」とでも呼ぶべき変化が起きている。選挙の票では勝てないので、「お金」の "脱・日本" により「昭和」からの脱却を迫っている。
具体的な例として分り易いのは日銀の金融政策。10年JGBはYCC(イールドカーブ・コントロール)上限である@0.25%に接近し、日銀は今日(2/10)夕刻****@0.25%での "無制限" 「指し値」オペを発表。
発表直後、ドル円は「円安」方向に跳ねた。こうやって無理に金利を押さえ込めば「悪い円安」を助長してしまうので、現行の政策継続は困難。FRBが「利上げ」を実施する3月の「金融政策の総点検」に向け、①YCCのレンジ引き上げ、あるいは②YCC廃止、の方向で政策調整が進むと予想する。
「インフレ時代」を迎える中、「ゼロ金利」などもってのほか。ここからは兆ドル単位の「現ナマ」が中央銀行により引き上げられ、世界中で「お金」の熾烈な争奪戦が始まる。そんな中、日本だけが不条理な「低金利」を続ければ、魚や食料品同様、「お金」も「買い負け」してしまう。
今後この国は財務省や経済団体など「供給側」に配慮する政策よりも、「需要側」の「お金」の "脱・日本" を引き留める努力が必要になる。そもそも現行の「年金」も「現役世代」の積立てで「引退世代」=「昭和世代」が食わせて貰っており、肝心の「お金」が海外に逃げては元も子もない。
"偽りの夜明け” 米国株も今後相場の急変動には要注意だが、この「円安デモクラシー」自体は継続するだろう。やっと「昭和」が終わる。「昭和」生まれの筆者は微妙な50代だが、せいぜい「令和の姥捨て山」で野垂れ死にしないよう(苦笑)、「守り」を固めて踏ん張っていきたい。
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