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"バリアー” が破れる時

 5月米ISM製造業指数 48.7 予想 49.8 前月 49.2
 *新規受注 45.4 前月 49.1 ー 2022年6月以来の大幅な落込み
 *雇用 51.1 ー 2022年8月以来の高水準

 何度も何度も下値トライして 思ったより分厚い「円売り」 ー 「介入」と「外為特会」と「米国債」 |損切丸 (note.com) に跳ね返されてきたドル円米ISM製造業指数の悪化 ↑ を受けてようやく@156.50を下抜け「キャリートレード」の「損切り」を誘った

 タイミングを合わせるように@75ドルを割れたWTI(NY原油先物)や@80ドルを割り込んだ北海ブレントも似たような動きOPECの減産調整がニュースとして流れているが「需要」が減っている証拠だろう

 世界は 続・「高金利時代」再び? - もう期待できない日本の「バズーカ」|損切丸 (note.com) から逃れることが出来るのか?

 仮に欧米で金利低下局面を迎えれば、それはそれで違う問題 ≓ リセッション(景気後退)にぶちあたる。厄介なのはそれで「インフレ」が収まるとは限らないこと「スタグフレーション」≓ 景気後退と物価上昇の同時進行懸念は依然残る。市場に出回っている「お金」が余りにも多いからだ

 そんな中「利下げ」を公言しているECBの理事会が6/6に開かれる。ここまで来たら▼0.25%「利下げ」は動かないが、問題は今後ドイツもフランスもPMI(Purchasing Manager Index)が節目の@50を割り込んだままのヨーロッパでは「利下げ」は正当化されやすい。 ヨーロッパでも燻る「インフレ」の ”種火” ー 世界は「お金」の取り合いへ|損切丸 (note.com) に対する答えは欧州国債市場が「イールドカーブ」で示していく事になる

 FXオプションの売り戦略 ↓ については 「レンジ相場」で仕掛ける第2の「キャリートレード」 ”ボラティリティー・ショート” |損切丸 (note.com) で詳述したが、機能するのはあくまで「レンジ相場」だった場合。 "バリアー” が破れる時には全く別の動きになる

 技術的にいうと、前回@156.60銭台で例えば@140円プット(売る権利)を大量に売った場合、オプショントレーダーはプットの買持になるため、ドル円が上がるリスクに備えて何%かの比率でドル円を買う。これを「デルタヘッジ」というが、これがずるずるとドル円を@157.50まで持ち上げた

 さて、その後再び@156.50まで落ちると今度は「デルタヘッジ」の買いを外し始め、行使価格の@140円に近付けば近付く程「デルタヘッジ」の比率は下がりドル円の売りを加速させる。*ISM指数やECB理事会などはいわば "きっかけ" に過ぎず、最終的に価格は「需給」に沿って収束していく

 *内外価格差がここまで開くと@140円を超える「円安」は異常値というのが「損切丸」の個人的見解。インバウンドがここまで活況になるのも当然で、@90円でハワイに旅行した時に全てが安く感じた事を想い出す。今はその真逆5%もの金利差に殺到した「キャリートレード」が相場を支えてきたがどこかで限界は来る。今の@150円台で外貨投資をしようとは思わない

 6日の理事会で「利下げ」を決めた後ラガルドECB総裁が何を言うか。期待よりも不安の方が大きい。その翌日にはいつも大騒ぎの米雇用統計が続く。相場もただでは済むまい。何が飛び出してくるやら

 それでも「オルカン」やS&Pの「新NISA」 "積立" は続くんだろうな...。 日本人にとっての「最適投資」2024 - 優先するのは「円安」それとも「インフレ」?|損切丸 (note.com) で「グロソブ」の二の舞にならなければいいが...

 世界は「過剰流動性」中毒Ⅲ ー  それでも彷徨い続ける「お金」|損切丸 (note.com) だから市場からECBにもFRBにも、そして日銀にも「お金くれくれ」攻撃が続くのは目に見えている。どこもかしこも選挙を控えて株価を落としたくないのは資本主義の "性" 。もっともその病気が嵩じてこんな "中毒患者" を生んでしまった訳だが。こんな事を続けていてはきりが無い

 ”何かが壊れそうな感じ”

 こんな事を言っていた高名な投資家がいたが筆者も全く同感。本来「LTCM危機」(1998)、遅くともリーマンショック(2008)で「リセット」が必要だったが、あろうことか逆に「過剰流動性」を増やして問題を先送り「コロナ危機」(2020)でダメを押した

 マーケット全体でも "バリアー” が破れる時は近付いているが、その "衝撃" がどうなるかは想像もつかない。人類史上最大の「リセット」になる。「バズーカ」の張本人・日銀もその責は免れないが、願わくば慎重且つ大胆に向き合って欲しい。我々もその "衝撃" に備える準備は必要になる

 今筆者が最も怖れるシナリオ「利下げ」が進む中「イールドカーブ」の急激な「スティープニング」=長短金利差が開く現象が進む事「スタグフレーション」と読み替えても良いが、それは「お金」が一気になくなる事を意味する。1980年代のアメリカがそうだが「高金利時代」はそうやって訪れるかもしれない。日本の ”金利を知らない世代” には驚天動地となるだろう

 「もしトラ」現象を見ているととても「ドル」=「アメリカ」を買う気になれないのは筆者だけだろうか。「高金利」で「お金」を集めるしかなくなっているとも映るが...。まあFXは ”多数決” なので如何ともし難いが、どうも「ドル」は信用できない(あくまで個人的なものです。苦笑)

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