「円キャリートレード」の代替 - 「オプションの売り」も選択肢の一つ
日銀の追加「利上げ」という "大イベント" を通過してヘッジファンド(HF)もどうしようかと考えあぐねているところ。「ゼロ金利」だったはずが+0.50%まで「円キャリートレード」のコストが上昇してしまい、取組金額が1兆円なら年間で▼50億円の減収。今年中に@1%に達すれば更に▼50億円「損」する。ドル円だって上(円安)にいくとは限らない
こういう時必ず俎上に上がるのが「オプション売り」戦略。時間の経過と共に利益を上げるという意味では「キャリートレード」の一種でもある
狙い目になりそうなのが「日経平均」(先物)。ポイントは:
先週末海外で先物が買い戻された流れで週明けも@40,000円超に反発して始まったが、すぐさま怒濤の売り。まあしつこい、しつこい(苦笑)。①② ↑ の根強い戻り売り圧力を証明した形だが、同時に*HFがこれに乗じて例えば「@42,000円コール(買う権利)」売りに動いている可能性がある
誤解の無いように言っておくと、この「オプション売り」戦略、「お金」の値段 ≓「金利」が安過ぎる!Ⅲ② ー 執拗な「日経平均」(先物)売り|損切丸 のように株価の下落を狙った取引ではない。狙いはあくまで時間経過(専門用語ではタイムディケイ Time Decay)による「キャリー収益」。「株価が上がらないこと」にベット(賭け)していると言っていい
ここで気をつけなければいけないのは ③「インフレ」顕在化による名目値の上昇圧力 ↑ がある事。そこでもう一つ「オプション売り」を組む。今日(1/27)前場のように日経平均が@39,700円割れまで崩れたら、今度は「@38,000円プット(売る権利)」を売る。これは上述の「@42,000円コール」と真逆でいわば「先物買い」のオルタナ。この2つの「コール」「プット」売りを組み合わせることにより**「日経平均@38,000円-42,000円ストラングル」売りが完成する( ↑ 標題添付グラフ)
いずれにしてもHFの今年最大のテーマは「円キャリートレード」からの脱却。年間▼50億円も▼100億円も収益が目減りするなら何かオルタナを探す必要が出てくる。ビットコインでもコモディティ(商品市場)でもいいが、安定的に収益を得たければ「キャリートレード」は必須。そういう観点から「オプション売り」戦略に傾倒する可能性は高い
筆者は何もここでオプションの知識をひけらかしたい訳でない(苦笑)。最大の焦点はこういう「オプション売り」が流行った後は必ず大相場になっている点。「ドル円」然り、「日経平均」然り。例えば日経平均を@40,000円で売るのは単に大台できりがいいだけで何ら論理的根拠はない。そうやって時間はかかったが@20,000円も@30,000円も突破してきた
損益分岐点のグラフを見れば判るが、これらの戦略は一定の「レンジ取引」が続く事が前提。***「レンジ」が破れてしまうと急激に相場が走る。@38,000円あるいは@42,000円の「行使価格」に相場が近づくとオプショントレーダーの「デルタヘッジ」は0%に近づくため "ヘッジ外し" が始まる。と同時に「オプション」を売っていたHFは自らの「損失」を回避するための売買に迫られる。問題はトレーダーの "ヘッジ外し" とHFの売買が同じ方向になること。だから相場が加速度的に動く
こう考えている向きが大勢だが果たして本当にそうだろうか。今回の「利上げ」を波乱無く乗り切ったことで日銀はそれなりの "自信" を得ただろう。政治家の先生方も説得しやすくなった。「円安」等の動向次第だが、早ければ5月にも追加「利上げ」があり年内に@1%に達すると筆者は見ている
そうでなくとも 続・「トランプ2.0」の衝撃|損切丸 で荒れ模様の相場。目先の「キャリー収益」に囚われて「オプション売り」に傾斜するようだとその後どちらかに "ぶっ飛ぶ相場" が起きるだろう。今朝の「日経平均」(先物)のドタバタ振り見ていてそういう予感がする。だからやはり 悪い ”胸騒ぎ” ・再び|損切丸 は収まらない