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米国経済本当に弱い?Ⅳ ー 「金余り」はいつになったら解消するの?

  米国経済本当に弱い?Ⅲ ー 恒例 "雇用統計祭り" 再び|損切丸  の続編

12/2 11月米ISM製造業PMI 48.4 予想 46.9 前月 46.5
 *雇用 48.1 予想 51.0 前月 44.4
 *新規受注 50.4 予想 45.0 前月 47.1
 *仕入価格 50.3 予想 54.2 前月 54.8

12/4 ADB非農業部門雇用者数(NFP、Non-farm Payrolls)
 +14.6万人 予想 +20万人 前月 +23.3万人

 11月米ISM非製造業PMI 52.1 予想 52.0 前月 56.0
 *雇用 51.5 予想 50.3 前月 53.0
 *新規受注 53.7 予想 54.4 前月 57.4
 *仕入価格 58.2 予想 57.8 前月 58.1

12/6 11月米雇用統計: 失業率 4.2% 予想 4.1% 前月 4.1% 
 NFP
 +22.7万人 予想 +18万人 前月 +3.6万人 ← +1.2万人
 平均時給(前年比) +4.0% 予想 +3.8% 前月 +4.0%
 労働参加率 62.5% 予想 62.6% 前月 62.6%

 最近の米雇用統計後のマーケットとしては "祭り" とならず比較的静かな展開。直近のISMなども合わせて見ると強弱まちまちで、まあ織り込まれていた12/18FOMCでの▼0.25%「利下げ」を否定するほどではないとの解釈

 アメリカの「中立金利」とみられる@4%に向かって着地するとの見立ては変わっていない。それでもボラティリティー(変動率)を保っているのが「ドル円」"Sell the Rumour, Buy the Fact" (噂で売って事実で買え)とばかりに@149円台半ばまで落ちた。もっとも1日で±10,000万ドルもの上下動を繰り返したビットコインに比べればさざ波のようなもの(苦笑)

 それにしても世界中で政治的動揺が広がっている:

 ①イギリスで与野党逆転
 ②日本で与党が過半数割れ
 ③アメリカ大統領交代 →カナダ、メキシコに25%、中国に10%追加関税?
 ④韓国で「戒厳令」→6時間後に解除
 ④フランス政府が総辞職
 ⑥シリアで反政府勢力が実権を掌握(現政府は露が支援)

 まるでドミノ倒しのように揺れ動いており、こうなると何が起こっても不思議では無い。全体的にはアメリカをはじめとしたいわゆる ”大国” によるコントロールが効かなくなり "たが" が外れてきた印象だ

 ただ金融政策に関しては欧米が着実に「中立金利」に向かう中、日本だけが遅れている。だからユーロドル、ポンドドルに比べて「円キャリートレード」による「ドル円」のボラティリティーが際立っており、ヘッジファンド等の "狙い目" になっている

 もっとも④隣国で「戒厳令」ともなると「アジア通貨危機」(1997)を起点に国際通貨基金(IMF)に緊急融資を申請した通貨危機を想起せざるを得ない。*日本に比べ民間の債務がべらぼうに多い韓国は金融体力に乏しく、資金力のある銀行もない今静かに進む「ウォン安」をみていると "12月に利上げしないかも...” なんて提灯記事が出るのも致し方ないのかもしれない

 それにしてもまた政権交代して慰安婦がどうだのホワイト国、GSOMIAがどうとか始まるのかと思うと日本人としては気が重い。またこのタイミングであの "御仁" が米大統領に返り咲くとはなんという皮肉。また トランプSurprise @大阪+板門店|損切丸 なんて事が起きるのだろうか

 とにかくFRB、ECBが「利下げ」転換で金融環境が緩む中、日銀の「利上げ」が遅れれば「金余り」は続くことになり、株価の上昇≓「インフレ」、そしてBTCの大暴れ(苦笑)も収まらない 前稿.嫌われる「お金」- "借金で首が回らない" ?|損切丸 で書いたのもそういう事。 やはり「過剰流動性」の総本山は日本 ー 「結果」を得るには一度「苦況」を乗り越えなければならない|損切丸 日銀の責任は我々が思うよりずっと重い

 「LTCM破綻」(1998)、「リーマンショック」(2008)と「金余り」を解消するチャンスは過去何度もあった。筆者が大手英銀の「資金繰り」を担当して「お金」に四苦八苦していたこともあり、いつかこの馬鹿げた「マネーゲーム」に終わりが来るのを密かに願っていたが、その都度膨大な量の「お金」がばらまかれ "風船" は大きくなる一方トドメは「コロナ危機」(2019~2021)。ここでばらまかれた200兆円近い「お金」が今のマーケットの原動力になっている

 必死に「お金」を回収しようとしているのは財務省ぐらいなもの。善し悪しは別にして欧米は「インフレ税」に傾斜しており、今回も結局 "風船" が大きくなるだけだろう。繰り返される増税(含.社会保険料)でこの国の消費者は疲弊しておりもう限界で「インフレ税」しか方法がなくなっている。ただ「円安」は「ハイパーインフレ」を起こす危険があるため「中立金利」≓@1.5~2.0%までの「利上げ」は遅かれ早かれ必要になる

 しかしまだ 「トランプ2.0」の衝撃Ⅲ - アメリカは「鎖国」に向かうのか?|損切丸 が始まっていないのにこのボラティリティー。覚悟はしていたが疲れそう。こうやって「損切丸」を書き綴っているのも自分で確認するためでもある。書く事が二転三転するかもしれないがご容赦を。そのぐらい荒れる相場を想定している

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