『地獄でなぜ悪い』 - 「利食い」は「損切り」の何倍も難しい
人間とは本来勝手な生き物で自分の都合さえ良ければそれで構わない。「インフレ」「円安」で生活が苦しい人がいようが株や不動産等の「投資」で儲かっていれば問題なし。まさに『地獄でなぜ悪い Why don't you play in hell? 』(主演:星野源、二階堂ふみ、ぶっ飛んでる映画で結構好き)
ドル円が@150円に再接近し日経平均が@40,000円を超えると「N銀暴落」「I破ショック」などの罵りももう虚ろ。ネットには "勝てば官軍" 的なコメントが溢れる。即ち ”投資しない奴が悪い” 。これでまた「利上げ」を言い始めて相場が下落すると罵倒が始まるのだろう。何ともやりきれない
ただこの習性は一般市民は大した事なくて実は「お金持ち」の方が顕著。儲かるなら「戦争」だってウェルカム。*とことん現実主義的な「お金」の理屈でいえば、まあ当たり前と言えば当たり前。我々小市民が株やFXでリスクを取るという事は、そういう砲弾飛び交う "戦場" に "小舟" で漕ぎ出すという事。それなりの "準備" をして臨まないとすぐ巻き込まれて沈没する
筆者がここで敢えてこんな note. を書くのは「全ては利食ってから」と警鐘を鳴らしたいから。「利食い」は「損切り」の何倍も難しい。後者は諦めればいいだけだが、**前者はどうしても気が緩む=自分に甘くなる。「株が上がった~!」と祝杯を上げたくなる気持ちは判らないでもないが、ほんの2ヶ月前にドル円が▼20円も急落し日経平均も一気に@32,000円を割り込んだ事を忘れた訳ではあるまい
かといって「利食い」が早過ぎるのも考えもの。例えば@41,000円で降りた相場が@45,000円まで走った場合、そこでもう1回買いに行けるか? これは個々人の性格にもよるが、どうしても「@41,000円で売った」という事実が意識に強く残ってしまい、それより高い値では買いに行き難くなる。結果、その後@50,000円まで上がった時に大きなチャンスを逃す
「利食い」は本当に難しい
日本の株式市場にはこういうアノマリー(相場の理論では説明できないが経験的に観測できるマーケットの規則性。経験則)が存在するので、ベテラン証券マンを中心に "腕まくり" をしているようだが、我々 "小舟" はこれをどう利用するか。 「インフレ」は死んではいない ー 「金余り」相場再び|損切丸 (note.com) と判断している筆者的には上昇基調の中の1つの ”揺らぎ” に過ぎず、売るにしても買うにしてもきちんと方向性は維持したい。実際「ドル建日経平均」も@268ドルまで上がっており、2021年2月に付けた@279ドル(日経29,459円+ドル円@105.36)を目指す勢い
ここで最も気になるのが「金利」の動き。 「金利」は「投資」の最大の競争相手|損切丸 (note.com) だからだ。ジワジワと上昇している米国債、特に長期金利は要注意。5年の@4%、10年で@4.25%、30年で@4.50%が1つの目処で、そこで「マネーシフト」が起きるかどうか
「円キャリートレード」が100兆円単位で積上がっていたとはいえ、たったの+0.25%「利上げ」で暴落を引き起こした円金利にも要注意。ポジションが捌けた分同じサイズのマグニチュードは想定し難いが、それでも「金余りの総本山」には変わりなく、大きなマーケットムーバーには違いない
ただこちらは「マネーシフト」には程遠く、タップリ時間がかかりそう。CPIが未だ+2.5~3.0%で推移している現状を考慮すれば、生損保やGPIF(年金投資機構)等の「お金持ち」が5年@1.0%、10年@1.25%、20年@2.0%、30年@2.5%以下で本格的に買い出動するとは考え難い。そういう金利的観点からは日本市場に若干のアドバンテージは存在する
とはいえ相場にアクシデントは付き物。安全保障環境も不安定だし、中国の巨額不良債権だって何が起るかわからない。そう言う意味では「お金持ち」も盤石ではなくかなり神経を使っていそうだ。 "小舟" も "小舟" らしく『地獄』に落ちないよう細心の注意を払って臨みたい