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"Tariff Man" (関税男)の泣き所 - "Deal" の落とし所はどこにあるのか

 ”カナダ、メキシコに+25%、中国に+10%の追加関税を発動”

 5年前の トランプSurprise @大阪+板門店|損切丸 トランプSurprise @大阪+板門店 -予想と結果の検証 | 記事編集 | note トランプ Surprise - @アメリカ 「カラータイマー点滅」で繰り出される「スペシウム光線」|損切丸 等々経験した人なら筆者も含め「またか...」という感じ。カナダやメキシコに工場を持って対米輸出している自動車等の株を含め週明けから日経平均は▼1,000円以上、何故かわからないが(苦笑)ビットコインも▼8,000ドルもの暴落商状

 まさに 「トランプ2.0」の衝撃Ⅲ - アメリカは「鎖国」に向かうのか?|損切丸 なのだが、ここで「トランプ1.0」との違いを検証してみよう

 2期目ということで政治経験を積んでいることはあるが、何せ80歳近い高齢。やりたい衝動を抑える力は働きにくい。おまけにアメリカの規定では大統領は2期8年まで独裁国家のように法律を変えてまで独裁を続けるのは「自由の国」アメリカでは困難だろう。そうなるとあと4年、好き放題やってくる可能性は高い

 ただ1期目と同じことが出来るかというとそれは難しい。金融環境があまりにも違いすぎる。特に ”日本からのお金” の影響は絶大。A首相があれだけ歓待されたのもそれが主因であり、米株高が持続している原動力でもある

  "Tariff Man" (関税男)の泣き所は何か?

 これは「株価至上主義」のアメリカだからだが、1期目も2期目も最終的な "Deal"  の落とし所は米株高が持続するかどうか。この点に集約される

 まず1期目と大きく違うのはベビーブーマーの引退に伴う「人口動態」の変化。これはG7を中心とした世界的現象であり「インフレ」の原動力。 モノの「値段」って何だろう? ー 「卵」価格高騰に思う。|損切丸 で書いたようにモノの値段の60%ないし70%は「人件費」。つまり「お給料」が上がるなら物価は下げようが無い

 ”原油価格が下がったら利下げをすべき”

 こういう要求をして ”自分はFRBより金利のことを知っている” などと嘯いているようだが、FRB関係者も頭が痛かろう。1期目の ”ディスインフレ” が抜けないのかもしれないが状況認識が間違っている今の「インフレ」はそういうことではない。ここで+10%とか+25%とか輸入品に関税をかければ「インフレ」を加速させるのは間違いなく、そのコストを払うのはアメリカ国民自身”信者” は支持するかもしれないが他の国民からは不満が漏れよう。その「リトマス試験紙」になるのが「金利」と「株価」になる

 当然のことながら米国債は「売り」(金利上昇)で反応

 市場では追加「利下げ」観測は消えつつあり、ここから再度「利上げ」に転じるようだと株価には明らかにマイナス「1.0」の時のようにはいくまい

 日本からの ”お金の支援” という観点では、日銀による過剰流動性は「QT」により減りつつあるものの「新NISA」という新たな "貢ぎ物" が出てきた。2024年は月1兆円というからバカにならない数字。いくら現首相が嫌いといっても日本を突き放すわけにもいくまい

 楽観的要素としては「2.0」では経済ブレーンの質が格段に高まっている事。「関税」のマーケットへのインパクトは事細かにレクチャーされるだろう。本日(2/3)の現地早朝にカナダ、メキシコと早速会合が開かれるのもそのお陰かもしれない。いくら "Tariff Man" を自称しようとも株価が下がるようでは本末転倒

 そもそも「関税」の目的はアメリカ国内に工場を作らせ雇用を生み出す事だが、企業のインフラやサプライチェーンは1ヶ月や2ヶ月ですぐ変えられるものではない。あるメーカーに勤めていた筆者の友人の会社も膨大なインフラを中国国内に持っていたが、それを他国に移すのは並大抵では無いそうだ。アメリカ国内の「人件費」も高過ぎるし、まして任期があと4年で切れる大統領の強権発動についていくのは大きなリスクも伴う

 80歳近い "お爺ちゃん" の暴走(苦笑)を止められるかどうか不確定な部分も大きいが、金利の急上昇や株価の急落が一定の歯止めにはなろう。「1.0」の反省と教訓を生かせばここは一喜一憂しないこと「損切丸」の認識では株価を下げるような "Deal" は最終的に回避してくるはず

 例えは悪いが ”脅したりなだめたり” は”その筋” の常套手段。これと対峙しなければいけない各国首脳が顔を曇らせるのは想像に難くない。まして相手は世界最大の ”権力者” 。ただこういう事を繰り返せば「アメリカ離れ」が進むのは間違いない。昨年度の映画興行ランキングトップ10に洋画が入らなかったのは偶然ではあるまい。「ソフト」を生み出す力が失せた国は最終的には衰退していく。 続・「憧れのアメリカ」の終焉 ー 「アジアの時代」到来か?|損切丸 「関税」はそういう事を想起させる

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