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はっきりした「ドル建日経平均」戦略Ⅴ - ヘッジの「円売り」はもう用済み?

 はっきりした「ドル建日経平均」戦略 - 注目すべきは「FX」フロー|損切丸 (note.com) シリーズの第5弾

 よほど「円高」になると困るらしい...|損切丸 (note.com) でドル円は一気に@155円台に突入。虚を突かれて「また介入か!」と混乱しているFXトレーダーもいるようだが、昨日(7/17)今日(7/18)の動きは違いそう。いわゆる「キャリートレード」の「利食い」「損切り」が主導している

 その中でも存在感があるのが「ドル建日経平均・キャリートレード」↓ ヘッジファンド(HF)などが好きそうな取引手法だが、日本株を買って配当取りをしながら「円安」ヘッジ(そういう名目。だから "ヘッジ" ファンドと呼ぶ)の「ドル円買い」で「金利差」の二重取りを狙う

 これが「トランプ大統領再登板」の可能性が現実味を帯びて戦略転換を迫られている。日経平均がまた▼1,000円近く下げてビックリしている人もいるだろうが、トリガーはおそらくこの「ドル建日経平均・キャリートレード」解消の動き ↓ 「ドル円」と日本株を同時に売る事になる

 おおよその流れとしては:

 ①「円安ヘッジ」外し=「ドル円」売り
 ②日経平均(もしくはTOPIX)先物売り
 ③東京市場で株現物売り
 ④②の買い戻し

 ②④日経平均(もしくはTOPIX)先物売りに関しては、9月の限月交代まで持ちきれば「現物渡し」になるのでそれでもいいが、その間現物と先物の価格のズレを利用した「裁定取引」で少しでも "鞘" を抜こうとするだろう

 ドル円が▼3円とか日経平均が▼1,000円下落すると派手に見えるが、HFの連中は淡々と取引解消・ヘッジ外しをしているだけで はっきりした「ドル建日経平均」戦略Ⅲ - ヘッジファンド ”恐るるに足らず”|損切丸 (note.com) 。「ドル建日経平均」で見ると@258ドルとまずまずの水準でまだ緩やかな上昇基調にある( ↑ 標題添付グラフ)目指すは2021年2月に付けた@279ドル

 こういう兆円単位で積上がった「裁定取引」解消時には得てしてマーケットは大きく動く。ドル円や株単体でロング(買い)を保持していた人には気の毒だが、そういう市場参加者がいる事は肝に銘じておくほうがいい。特に海外勢の "おもちゃ" になりがちな日本市場には良くある現象でもある

 さて「本番」はこれから。日本株のポートフォリオを再構築してくる時にまた「円安ヘッジ」をかけてくるかどうか

 キーワードは3つ:「トランプ政権」「FRB利下げ」「日銀利上げ」

 この中で最大の要因は何と言っても「トランプ政権」。昨日の "NYダウ史上最高値更新” vs "ナスダック指数急落” に見られるように、いわゆる「オールドエコノミー」≓ ラストベルトの「製造業」重視の氏のこと。為替レートに関しては間違いなく「ドル安」指向であり、それはFRBには「利下げ」、日本=日銀に対しては「利上げ」のプレッシャーになる。いくら「財政健全化至上主義」の財務省が低金利を維持しようとしてもアメリカの意向には逆らえない。それが戦後の日本経済の歴史でもある

 そう考えると次の4年間は全く違った相場になる可能性が高い。GAFAや武器産業の利益優先で「ドル高」指向だった現政権とは一線を画す事になるだろう。もっとも 続・ ”バイデンフレーション” の衝撃。ー 意外な「日経平均」の健闘振り。|損切丸 (note.com) のせいで 「通貨危機」の "芽” |損切丸 (note.com) まで出掛けた日本としてみれば「変化」は歓迎できる部分もある。はっきり言ってこの4年間の米金融・経済政策は「稚拙」の一言に尽きる。その結果、世界中が過剰な「ドル高」に苦しんだ

 ただ元・ビジネスマンの氏は「お金」に厳しい。特に安全保障分野のコスト負担を日欧、あるいは韓国・台湾に求めてくるのは必至で、各国の防衛・財務当局は今から戦々恐々。そこから出て来る「お金」でアメリカの武器を買わせ "商売" にしようとするはず。ヨーロッパやNATOとの軋みも再度生ずる事になるだろう。「戦争」の行方も気になる

 「トランプノミクス」は同じ共和党の「レーガノミクス」を参照している節があり、もし大型減税などで景気刺激を優先すれば 「高金利時代」再び? - 「インフレ」>「景気減速」の金融政策|損切丸 (note.com) も有り得る。米国債の「スティープニング」、e.g., 2年買いー30年売り、のような「トランプトレード」はその可能性に賭けているが、歴史に学べば次の「ドル金利上昇」は「ドル売り」に繋がる

 元々共和党は「ドル安」指向=米製造業中心であり、それも「主要通貨ドル」があればこそ。だがオイルマネーやBRICSが「脱・ドル経済圏」を画策する今、本当にそれで大丈夫なのか。とにかく 「トランプ2.0」の衝撃|損切丸 (note.com) は正直気が重い。「円高」のマグマ|損切丸 (note.com) はその "幕開け" と覚悟しておいた方がよさそうだ


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