「盗人猛々しい!!」- 通貨ウォン暴落の引金に。其の2。週明け5日の市況
前稿の続報を兼ねてマーケットの話に戻そう。お盆休みが本格化すると言われている週明け5日の東京、アジア市場の朝の市況。大荒れですね。
USD/KRW ドル 韓国ウォン 1214.25 +9.74 (+0.81%)
韓国総合株価指数 KOSPI 1,953.68 −44.45 (-2.22%)
まずは注目の韓国。ドルウォンについては今朝のオープニングを固唾を飲んで見守っていた方も多かったと思う。取引開始早々はやはり介入や韓国政府の対応などを見極めようということで2日(金)の引値の1204近辺で静かに始まったが、やはり何もない、との見方が浸透するにつれてウォン売りに拍車がかかり、一時1218あたりまで値が飛んだようだ。
元々韓国ウォンは国際通貨ではないのでドル円などに比べると流動性が低く、このような状況になると値が飛びやすい。まして今はウォンを買ってくれる人を探すのが大変だろうから、なおさらである。今ウォンを買えるのは政府(介入)とウォン売りを保持しているトレーダーの買い戻しぐらいか。
特にウォン建資産を保有している資産家や企業には一大事なのだが、どうも政府にそのような認識がない。前稿で少し触れたが、相場感覚のある企業、投資家なら、先週金曜日の「盗人猛々しい!!」演説の直後、ウォン売りを決断していたはず。円高傾向と合わせると、売ったウォンのうちかなりの額を円に替えているのではないか。日本企業などの資本逃避もあろう。
KOSPIも当然下落。KOSDAQに至っては節目の600ポイントを大きく下回ってサーキットブレーカーが発動したとか。結局-7%を超える大暴落。一部報道で2日(金)に年金基金が約4,000億ウォン(=400億円程度)買い支えに出動=PKO, Price Keepin Operation、していたそうだが、こんな状況では焼け石に水。5日もサムスン電子やSKハイニックスの株の動きを見ていると所々買い戻しが入っているが、やはり弱々しい。(韓国投資を推奨していたジム・ロジャース、果たしてどうするのか?)
翻って日本。
USD/JPY ドル円 105.99 -0.59 (-0.56%)
日経平均株価 NIKKEI225 20,590.87 −496.29 (-2.35%)
ドル建日経平均株価 194.33 -2.49 (-1.27%)
いくら日本の方が影響が軽微といっても、やはり経済的なつながりが未だに大きい韓国。現在のように崩壊シナリオになってきたら、相応の影響は避けられない。ただ円高を加味したドル建日経平均で見ると、実は資産価値の減少はそれほどではないことに気がつく。そこは通貨と株式などの資産の価値が同時に下がっている韓国とは比較にならない。
朝からドル円をトレードしている人達は大変そうだが、国の存亡の話をすればかつて通貨高で滅んだ国はない。ただ、繰り返しになって恐縮だが(6月3日、12日投稿などご参照)、60歳以上のおじいちゃん、おばあちゃんが2018年に契約した3兆円超の外貨保険。あれはもう損益がプラスになることはほぼ絶望。傷がもっと深くなるのではないか、と個人的に心配している。
ニュースのヘッドラインでは人民元の1ドル=7元割れを報じているが、どうして日本メディアは本当の危機である韓国ウォンの事を報道しないのか? 不思議でならない。(何の忖度なのだろう?)韓国と違い中国は材料、部品の内製が可能なため、日本と同じく通貨安はさほど問題ではない。また介入のためのドル資金の保有額も桁違いである。(中国3兆ドル>日本1.2兆ドル>韓国0.4兆ドル?(2018年6月時点))上海株式指数の下げも限定的だ ↓
上海総合指数 2,844.47 −23.37 (-0.81%)
まあ、文在寅大統領が元々韓国を焼け野原にして「祖国」の北朝鮮に差し出すつもりなら満願成就だろうが、それに付き合わされる国民もたまったものではない。しかし自分たちが「ろうそく集会」で担ぎ出した大統領なので引っ込みが付かないのだろう。少なくとも不買運動や日本たたきで溜飲を下げている場合ではないと「損切丸」は思う。
ps. 経験談から1つだけアドバイス。一攫千金を狙った「スケベロング」- 韓国ウォンが安くなったから「スケベ心」で買ってみようか(ロング)- というようなリスクテイクはこのような局面では止めた方が良い。流動性の低いマーケットでは突然値が飛ぶ。1200が1214とかで動いているうちはまだ良いが、1300とか1400とかに値が飛び出したら目も当てられない。
ビットコイン=BTCなども資金の逃避先として、キプロス危機など通貨危機のイメージで買われているようだが、どうもピントこない。ウォンを何かに替えるにしても、BTCより円の方が手っ取り早いだろう。BTCそのものは現在買い物や送金に使えるわけでもないので、今のBTCは単なる「鉄火場」。こういう相場が得意な人以外は参入すると餌食になりそう。気をつけて!