「何もしない」リスク - あなたの「お金」大丈夫?
久々に車で都心から往復200㎞のドライブに出たが、余りの車の多さにビックリ。週末の金曜日(11/8)だからかもしれないが、それにしてもの大渋滞。帰りに首都高を降りようとしたら出口も渋滞していて車列が高速の方まで延びていた。これは…筆者が大学卒業から就職したての頃=「バブル」後期に見た光景の "デジャブ" が蘇った
景気が回復してきているのではないか?
働き方改革でドライバーの就業時間が短縮されている影響もあるのかもしれないが、まだ師走(=12月)でもないのにこれだけトラックが走っていて物が動いているのは景気回復の顕れ
1つ思い当たるのは今回の衆院選挙の結果。ようやく、というかやっと ”民意” が届く結果が出た。実際の政策はこれからだが「投票」で「手取りが増える」という果実を手にしたことは大きい。まさに「景気は気から」
「103万円の壁」問題から派生して「106万円の壁」や「130万円の壁」等々社会保険の領域に関するコメントがまあ噴き出すこと、噴き出すこと。「損切丸」だけでなくこの負担の急上昇がいかに生活を圧迫してきた事か。もうさすがに限界。公共工事や議員削減なんていう些末なコストに関する感情論は別にして本丸は高齢者を中心にした▼40兆円もの医療費負担
考えて見れば「裏金」に端を発した今回の選挙、「税」「社会保険」の過剰な負担による生活苦が選挙民を動かした。いかに我慢強い日本人でも「6公4民」で子供を育てるなんて無理。官僚が「106万円の壁」撤廃や高額医療費の引上げなど予防線を張っても「国民皆保険」は実質破綻しており、「N本I師会」などの組織票が欲しくても政治的にももう誤魔化せない
30年も「デフレの沼」に浸かってきた日本人はすっかり「何もしない」≓「現金」「貯金」の溜め込み癖がついてしまった。もっともそれが功を奏したのも事実。勝手に物価が下落して「お金」の価値が上がったのだから。企業群が400兆円もの「剰余金」を溜め込んだのも同じ理由だ
ところが(筆者推定)2016年から人件費が上昇を始め「インフレ」転換してから状況は180度反転。今度は物価上昇で「何もしない」リスクが増大
嘘だとまでは言わないが、これらは「富士山は噴火する」と言い続けるのに等しい。筆者のように30年もマーケットに深く関わっても「いつ」は特定できない。そもそも株や不動産への「投資」だけ「リスク」という概念自体が間違っている。「リスク」は「インフレ」であって、株やFX等は「リスクヘッジ」と考える方が合理的。*「お金」を持ったまま ≓「何もしない」のは「インフレ」リスクを放置していることになる
日銀の「利上げ」(たったの+0.25%)をきっかけにドル円が▼20円も下落し日経平均が@31,000円台まで落ち「新NISA」の損失が取り沙汰されたが、気が付けばもう@40,000円目前。NYダウなど米株も続伸しており話題の「オルカン」も大分持ち直した。こちらも積極果敢に「何かをした」人達が果実を得ている。これも個人消費を後押しするだろう
イギリスでもアメリカでも政権交代が起きヨーロッパも極右勢力が台頭。いずれも根本原因は「お金」と生活苦。大袈裟に言えば政治から票と引き替えに見返りを受け続けるエスタブリッシュメント(支配階級・ 既成勢力)に対する "小さな革命" 。「人権」や「理想」、まして「コンプライアンス」などで飯は食っていけない。日本の与党過半数割れも同じコンテキスト上にあり、いわば選挙民が「行動」を起こした、ということ
まして世界のトップにあの ”インフレお爺さん” (苦笑)が返り咲いたのだから「何もしない」リスクはもっと上がると考えるのが普通。米国債を中心した「国債イールドカーブ」が「逆イールド」から「スティープニング」(長期金利>短期金利の傾斜化)に向かっているのが何よりの証拠
「投資」を ”危ない賭けをする” と考えるのでは無く、今銀行に預けてある自分の「お金」を「インフレ」から守る行為と捉えてみればどうだろう。随分とマーケットの見方が変わるはずだ。「何もしない」ままでは政府に「税」「社会保険料」「インフレ税」でむしり取られ、日本では「超低金利政策」で物価上昇に見合う利息も払って貰えない。それぞれの家計や個人の事情もあるだろうが「お金」について考え直してみよう
このまま「円キャリートレード」主導で不当な「円安」が続けば、せっかくの「高品質」を安く買い叩かれるだけ。コストカットだけで「何もしない」無能な指導者・経営者にはご退場願うしかない。アニメや音楽、映画、そして日本の食品に見られるように日本の「質」はまだまだ高い。「人手不足」「インフレ」はこれらのリソースを上手く生かす絶好の機会。まだまだ「日本」は捨てた物じゃない