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悪い ”胸騒ぎ” ・再び
悪い ”胸騒ぎ” |損切丸 の続編
「お金」の値段 ≓「金利」が安過ぎる!Ⅲ② ー 執拗な「日経平均」(先物)売り|損切丸 での ”予想” 通り、日本の個人投資家を振り回して昨年7月以来の "2匹目のドジョウ" を狙った一部ヘッジファンドの企みは失敗に終わりそう。「資金繰り」担当者の ”気持ち” - 「ゼロ金利」の ”魔法”|損切丸 でも解説した通り*「ゼロ金利解除」の壁は高いが、そもそも+0.25%程度の「利上げ」で株価が急落するはずがない。しかも政策金利はまだ@0.50%。これはドル円も一緒
*「金利」の ”複利効果” を考えると@0~2%まではさしたる変化はない。「利上げ」が「インフレ」や「通貨安」に本格的に効き始めるのは@2%を超えてから。ただ巨額の「円キャリートレード」の積み上がりを考慮すると日米の金利差が「中立金利」の差 ≓ 米@4%-日@2% ≓ 2%、に接近する過程でポジションの巻き戻しは起こりうる。 ”複利効果” という観点からは 「金利」@5%の威力|損切丸 で別次元になる
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2024年の「新NISA」の投資額が12.8兆円。正直驚いた。そのほとんどが「オルカン」「S&P」等の海外投資とすると毎月▼1兆円近く国内から「円売り」が出ていた事になる。これは過去最高を更新した「インバウンド」による+8兆円をも凌駕。見方を変えれば**多くの日本人が「円」に見切りをつけた一種の「キャピタルフライト」(資本逃避)とも捉えられる。これでは「円高」になるはずがない
**ただ一方方向に流れやすい日本人の特性を考えると 日本人にとっての「最適投資」2024 - 優先するのは「円安」それとも「インフレ」?|損切丸 で書いた「グロソブ」(グローバルソブリン、海外の公債に投資した「(毎月)積立型投資信託」)の二の舞の懸念も残る。もっとも最大残高が5.8兆円だったから桁が違うし「円安」を巡る環境も違う
「原油価格が下がれば、私はすぐに金利引き下げを要求する」
いよいよ 続・「トランプ2.0」の衝撃|損切丸 のお出まし。「彼らよりも私の方が金利に関してはるかに詳しく、熟知しているのは確かだ」とまで言い切っており非常に危険。これでは「インフレには利下げ」と主張し続けてハイパーインフレを招いたトルコのエルドアン大統領と同じ。独裁者というものは同じ思考に陥りがちなのかもしれない
これに米国債は即座に「スティープニング」(長期金利>短期の傾斜化)で ”拒否反応” 。歓迎ムードの株式市場とは対照的な動きを見せた
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ここで筆者に再び ”悪い胸騒ぎ" が去來:
”とんでもないインフレが来るんじゃないのか...”
折しも発表された12月のCPIが何と+3.6%。エネルギー補助金切れでこうなったが、これが本来の数値。これ以外にも 「CPIの誤謬」。- 日本で「賃金」が上がらない理由。|損切丸 は枚挙に暇が無いが、日銀の「利上げ」路線が確定して総務省もCPIの ”低め誘導” をする必要が失せたのだろう
更にいうと、賃借人を過剰に保護する「借地借家法」のお陰で「家賃」の上昇が軽微な日本は欧米よりマシ。ただ物価の上昇や維持費の高騰、あるいはローン金利の支払い増で耐えきれなくなった不動産オーナー、大家さんは増えている。東京都心ではジワジワと「家賃」再上昇の気配を見せており、 "頼みの綱" の「家賃」まで上がったらと考えるとちょっと怖い
そして さあどうする?「ドル建資産」 - 「金利」が上がれば通貨が買われるとは限らない|損切丸 FRBに「利下げ」を強要して「インフレ」がぶり返せばもう「ドル」は買えなくなる。それも今度はトルコではなく世界一の大国・アメリカだ。そのマグニチュードは計り知れない
日本の「インフレ」が火を噴けば日銀も「利上げ」を続けるしかない。政府・日銀への忖度か、あるいは邦銀の "都合"(願望?)か、日銀の「利上げ」は「1%」止まりという論調が強いが、本当にそれで済むのか?
この件で思い起こすのが 「キンリが来る」。ー ”2度ある事は3度ある” 「金利@3%運動」再び失敗。|損切丸 FRBが「利上げ」に動いた時、株価低迷で困った「ウォール街」が「金利@2%上限運動」を展開。一度失敗に終わると今度は「@3%運動」。結局政策金利は@5%まで引上げられ、その過程で中途半端に米国債を買い込んだ中堅行シリコンバレー銀行やシグニチャーバンクが次々と潰れた
この「2%」を今の日本の「1%」に置き換えるとわかりやすい。金利情報の発信元が銀行に偏るため、どうしても邦銀の "都合" が反映しがち。「ウォール街」も同じ過ちを犯したが(彼らはちゃんと切り抜けた)「利上げ」局面ではどうしても自分に甘くなる(「損切丸」も経験者)。 ”悪い胸騒ぎ" を反映するなら日本も「3%」ぐらいまでサブシナリオに入れておいた方がいい。数々の "後悔" の経験者として、老婆心ながら
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まあこれで日銀も追加「利上げ」に自信を深めるだろう。繰り返しになるがここから@2%までの ”登り坂” はそんなにきつくない