やっぱりアメリカで燻る「インフレ」の ”種火” 。
(参照) 燻る「インフレ」の ”種火” 。|損切丸 (note.com)
ウォール街の一部は@3.0%まで低下した米CPIを見て歓喜の渦(?)に包まれた。2021年末以降2年間も苦汁をなめてきただけに気持ちはわかる。多くの同僚も業界を去ったことだろう。確かに政策金利の@5%への上昇には達成感があり、相場暴落の危機は去ったように見える。
だがそこは「消費・借金大国」アメリカ。 確かに「利上げ」は止まったが...。ー 「利下げ」まではまだ遠い?|損切丸 (note.com) その事を示唆する消費の先行指標が早くも出てきた ↓
ミシガン大学消費指数の@70台は相当に強い。やはりガソリン代が急激に下がった分「お金」が消費に向かっていると言う事だろう。その辺りの消費行動は良くも悪しくもいつも "次" を心配して「貯金」ばかりする日本人とはかなり違う。「インフレ」の ”種火” は消えていない。
とはいえ2年前のような深刻な「インフレ」の脅威は一旦去っており、NYダウもナスダックもしっかり。ただ「利下げ」一直線の "バラ色のシナリオ" も見えてこない。だから米国債の頭も重い(金利は下げ渋り)。
金利と「インフレ」の綱引きが続きそうで、諸手を挙げてバンザイ!にはもう少し時間がかかる(リセッションならそれも難しいが...)。
一方「インフレ」が顕在化している日本では「増税列車」の暴走が止まらず、国民から悲鳴が上がる。タワマン節税にメスが入ったのに続き、今度はサラリーマンの税控除や通勤手当、そして退職金税制にまで魔の手が伸びつつある。特に退職金税制は場合によっては▼100万円単位の「増税」になるためダメージが大きい=財務省にメリットが大きい。
さて現政権の "財務省ドップリの政治姿勢" に鑑みると「財政健全化至上主義」に寄与しない=財務省にデメリットになる「YCC修正」は7:3でないのではないか、との予想にいきつく。ここまで+7円近く「円高」修正を引っ張ってきたが、そういう雰囲気を察してか、ドル円も@137円割れには踏み込めず@139円手前まで戻している。
とかく現政権は「国民より財務省優先」。そうなると国債利払いが増える「利上げ」などもっての外。ひたすら国民からむしり取ることになる。
ではJGB(日本国債)は盤石か、というと実はそうでもない。例えばTONAR(無担保コールO/N金利)は6月末の@▼0.077%から7/13には@▼0.009%とゼロに急接近しており不安定な状況。
日銀は既に「当座預金」(負債)を大きく上回る「国債」(資産)を600兆円近く保有しており「資金繰り」がきつい(2022年9月以降「国債」>「当座預金」が顕著になっている)。「貸出」の減少も止まっており、これ以上「お金」が足りなくなれば対策 ↓ が必要になる。
日銀が円短期資金市場で「借り手」になるインパクトは小さくない。JGBを買い続けるために市場から「お金」を借り続ければ、 "QT" (量的金融引締)効果を生む。TONARには上昇圧力がかかり、下手をするとゼロを超えてプラス金利に転じる可能性すらある。
「資金繰り」が苦しいからと「国債無制限買取オペ」を止めれば、それは「YCC廃止」に直結。こうなると* ”制御不能” だ。
1994年の ”Foward Looking" (先見的な)「利上げ」で伝説化したグリーンスパン元・FRB議長も学者出身だったので植田総裁にも一縷の望みを託したいが、もう「失敗」できない日銀。|損切丸 (note.com) では厳しいか...。ただマーケットに追い込まれての「利上げ」は「円安」「インフレ」抑止効果が削がれてしまうため、できれば ”Foward Looking" が望ましい。
このままだと本当に「財務省栄えて国滅ぶ」。老人ばかりの ”姥捨て山” になってしまう。個人の感情としては筆者自身の「YCC修正」予想が外れて欲しいが、さて。還暦を迎えて、国の脱出を考えなければいけないのは辛い。アメリカとかイギリスとか「インフレ」の国も嫌だなあ(苦笑)。