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相場が壊れる時は突前訪れる
植田総裁の「チャレンジング」発言で 降って湧いた「円高」。ー 「キャリートレード」の脆弱性。|損切丸 (note.com) あれだけ抵抗していたのに相場が壊れる時はこんなもの。その時は突然訪れる。
まあ筆者も含め「ドル円」に関わった人達は 令和でまたまた復活?「意地の悪い相場」ー 今度はドル円|損切丸 (note.com) で散々振り回されたが、端的に言えば いくら好きでも満腹のゴリラはバナナを食べない。|損切丸 (note.com) の状況に陥っていたと言えよう。
「下」(円高)を見ていた「損切丸」も結構しんどかった(苦笑)。 「キャリートレード」は万能ではない ー 非情の「ドル円相場」|損切丸 (note.com) とわかっていても、崩壊がいつ、どんなきっかけで訪れるかを予測するのは難しい。増してHFT(高頻度取引)とかAIトレーディングとかテクノロジーが進化した今の相場は更に読みにくくなっている。
「お前は損切るのか、それとも我慢するのか」
マーケットに問いかけられているよう。まさにその人の「人となり」が試されるわけで、短い人生を何回も生きている気分だ。相場に30年関わって感じた事だが、リスクを取ると苦しさもある反面「自分探し」には非常に役立つ。もしそう言う事で悩んでいるならFXでも株でも一度やってみることをお勧めする。今まで気が付かなかった「自分」に出会えるはずだ。
こういう訳のわからない相場では、頭を冷やすためにチャートを見てみるのも有効。短期(1ヶ月 ↑ 標題添付)で見ても長期(1年)↓ で見ても「下」向き(円高)のサインしか筆者には読み取れなかった。だからここで@144円台に突っ込んでホッとしている。
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1998年ロシアがデフォルトしてLTCMが破綻危機に瀕した時は100兆円単位の巨額の "ぶん投げ" で3日で▼25円も落ちたが(@145円→@120円)、テクノロジーが進化した今、ポジションの総額は同じか、ひょっとするともっと多いかもしれない。ただ:
①少数の参加者に大型ポジションが集中していない
②サーキットブレーカーなど暴落阻止の措置が取られている
③金融機関のリスク管理(含.資金繰りリスク)が厳格化されている
などから過去のような "クライシス" には至っていない。金融監督当局も含めかなり「学習効果」があったとも評価できる。
そもそも今回の「円安」局面は前日銀総裁の「国債無制限指値オペ」から始まっている。 「円、どんどん売ります!」の免罪符。ー 世界的な「真性インフレ」下、「金融緩和」しているのはトルコと日本だけ。|損切丸 (note.com) を得たファンドや金融機関が積み上げた膨大な「円キャリートレード」が主因。日銀は "尻拭い" を強いられている。
ただ「チャレンジング」発言はきっかけに過ぎない。仮に12月ないし1月の政策決定会合が「現状維持」でもドル円は@150円台に戻るまい。YCCの上限金利を上げたり既に "尻拭い" は始まっている。
加えて 前稿.”チャレンジング" な日銀「資金繰り」 ー 国債買取オペは続行不能?|損切丸 (note.com) で解説したように「バランスシート」「資金繰り」的に限界が来ているのであれば日銀も待った無し。
不思議と相場が壊れる時はこういう様々な条件が揃う。
最近同じ様なネタばかりで恐縮だが、「損切丸」としてはJGBや日経平均、ドル円に限らず、もっと大きなピクチャーで見ている。何しろ 「過剰流動性」の震源地「日本」。 ー ばらまかれた「円」の行方。|損切丸 (note.com) が30年振りにその姿を変えようとしているのだから。
波及経路としてはまず国外に振向けられた約500兆円の「過剰流動性」の恩恵を最も受けていた米国債等ドル建債券と米株、更に「主要通貨ドル」を介して英FTに独DAX、人民元、ルーブル、金や原油、果てはビットコインなど暗号資産にも影響は広範囲に及ぶだろう。いや、「過剰流動性プレミアム」の剥落は既に始まっている可能性が高い。
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「何を大袈裟な」そう思われるかもしれない。だが日本における「ゼロ金利政策」→「ゼロ金利解除」→「異次元緩和」、グローバルには「リーマンショック」→「過剰流動性相場」と実際に現場で相場の変化を見て生きた立場としてはどうしても「逆回転」「巻き戻し」を考えてしまう。
日本からの「お金」がドル建債券を介して米株の急上昇を支えてきたのは間違いない。FRBの「世紀の利上げ」である程度ポジションは整理されたが、日銀の方向転換でどう影響が出るかは未知数。ドル円の急落はプロローグ(序章)に過ぎず、Missing Link(見えない繋がり)があれば次の震源地はアメリカや日本ではないかもしれない。
鍵は世界的「人手不足」から起きている粘着質の「インフレ」。「利下げ」したくてもFRBもECBも金縛りで動けない可能性もある。「意図せざる金利上昇」を招けば相場は大荒れになるだろう。そういう緊張感を持ってJGBやドル円の動きを追っている。我々日本人が想うより「円金利」の世界的影響は大きい。